論文や小論文、レポートをはじめとする文章は、論理的でなければならない。論理的に書かれていなければ、論旨を読み手に伝えることはできないだろう。
しかし一方で、世の中には、論理的に書かれていない論文も数多く存在している。とくに、学生が書く論文には、こうしたものが多いようだ。つまり、下手な論文である。
では、下手な論文にはどのような特徴があるのだろうか。本書『読み手を100%納得させる 論理的な小論文を書く方法』では、次のように書かれている。
・伝えたいことがない
・書き手自身の意見がない
・書き手自身の「その人らしさ」がない
・わかりやすく、正確に伝えようとする意思・能力がない
・支えるものがほとんどない
・スペシフィックでない
・リーズニングが幼稚か、間違っている
・「1つのもの」になっていない
・論ずるフォームになっていない
・知識不足、経験不足
伝えたいことがない論文は、論文とは言えない。主張があり、それを支える根拠があり、かつ著者の意見があってこそ、論文と言えよう。
そのことは、論文のフォームにもつながっている。「序論、本論、結論」というように、論ずるフォームに沿って書かれていれば、自ずと主張・根拠・意見は埋まるはずだ。
また「その人らしさ」とは、オリジナリティのことである。誰でも知っていること、あるいは誰かがすでに述べていることを書いても、優れた論文とは言えない。
さらに、ハッキリとした論調(スペシフィック)や、主張と根拠のつながり(リーズニング)もまた、論文の要素として重要である。
かつ、ひとつの論文ではひとつの主張のみを提示し、知識不足や経験不足が露呈しないよう、論文を書く下地としてのスキルを醸成しておきたい。
上記の点に留意しておけば、少なくとも“下手な論文”とは言われないはずだ。論文を書く際には、これらの点に留意しておこう。