売れるビジネス書に共通する5つの構成術|ゴーストライターの現場から

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ビジネス書の制作に携わる人にとって、「どうすれば売れるビジネス書をつくれるのだろうか?」という命題は、避けて通れません。

わたし自身、ブックライターとして年間10冊以上の本を書かせていただいておりますが、「売れるビジネス書とは何か?」について、常に考え続けているひとりです。

言わずもがな、それは、自分が考える“いい本”と、“世間で売れている本”とのギャップを埋める作業にほかならないわけですが、なにぶん、正解が用意されているわけではありません。

そうなると、暗中模索しながら、そのときどきの最善を尽くしていくしか方法がないわけで。つまり、過程は残らず、結果だけが残されていくわけですね。

そこで本稿では、これまでの経験をふまえて、現段階でわたしが考えている「売れるビジネス書の法則」について考察したいと思います。

これから書籍を出される方、あるいはビジネス書の関係者等の参考になれば幸いです。

売れるビジネス書とは何か

まずは前提として、売れるビジネス書とは何かについて考えてみましょう。

そもそも、厳密な意味における“売れている本・売れていない本”について、正確に把握できるのは出版社だけですね。本の提供元として、販売状況を管理しているわけですから。

ただし、発行部数と売上部数は必ずしも一致しているわけではなく、たくさん発行している本を「ベストセラー」と呼んでいる場合があることも、加味しなければなりませんね。

そのうえで、流通している書店やAmazonなどのネットショップなどでは、自店舗における当該書籍の販売部数を把握しています。実売という意味では、信憑性のある数字です。

こうした事情をふまえて、本稿で言う売れるビジネス書とは、書店やAmazonなどでの販売部数が多い本(手にとってもらえる本)と定義しておきたいと思います。

売れるビジネス書の「内的要因」と「外的要因」

さて、売れている本の理由・原因を分析するには、「内的要因」と「外的要因」を考えていく必要があります。

内的要因とは、当該ビジネス書そのものに関するもの。外的要因とは、当該ビジネス書を取り巻く環境のことです。

それぞれ、次のような要素を含んでいます。

売れるビジネス書の「内的要因」

・「わかりやすい」:理解が促される

・「役に立つ」:行動につながる

・「おもしろい」:心が惹かれる

・「救われる」:カタルシスを得られる

・「普遍的なテーマ」:人間の根源的な部分

ビジネス書の購入を検討するにあたり、それが顕在化しているかどうかにかかわらず、読者は何らかの目的をもっているはずです。

その目的は、大別すると「解決」「成長」「娯楽」に分類できます。

何らかの問題を解決したいのか、それとも成長(スキル、収入、人間性など)したいのか、はたまた純粋な楽しみを得たいのか。もちろん、それら全てということもあるでしょう。

そして、読者が抱いている目的を達成できる本というのは、読者から支持される、つまり売れる可能性がある、ということになります。

個々の要因について見ていくと、すべての共通するものとして「わかりやすい」ものでなければ、書籍の内容を理解してもらうことはできません。

また、何らかの問題を解決するには、実際の行動につながるような「役に立つ」要素が不可欠となるでしょう。

さらに、娯楽にもつながることですが、「おもしろい」こと、「救われる」こと、さらには誰もが共感できる「普遍的なテーマ」があることが、支持の拡大を促します。

これらの内的要因は、そのどれもが“読者の感情を動かすこと”に結びついています。ここに、売れるビジネス書をつくるための最大のポイントがあります。

売れるビジネス書の「外的要因」

・「著者の知名度」:ブランディング、PR戦略

・「売り方」:販売戦略、マーケティング

・「タイミング」:時流、時勢

誤解を恐れずに言えば、本もまたひとつの商品です。大根やハンガー、パソコンなどとなんら変わりません。売り手があり、買い手があって商売が成り立っています。

そうなると、売れるビジネス書のあり方について、本の内容だけで議論するのは適切ではありません。ここで述べているのは、いい本かどうかではなく、売れるかどうかなのですから。

そのうえで、売れるビジネス書には「著者の知名度」「売り方」「タイミング」が関係していると考えられます。

「著者の知名度」とは、つまりブランディングであり、PR戦略の一環です。すでにファンがいる著者であれば、手にとってもらえる総数が多くなるのは当然でしょう。

また、「売り方(販売戦略)」も重要です。ペルソナやターゲット層の設定、帯やタイトルの工夫、SNSなどのツールの活用、さらには販売チャネル戦略など、多岐にわたります。

そして、「タイミング」です。世間が浮かれているときは、解決より娯楽が好まれるかもしれません。一方で社会が混沌としていると、普遍的な価値が求められることもあるでしょう。

これら外的要因には、著者がコントロールできない要素も含まれています。しかし、外的要因をふまえたうえで、書籍の内容を工夫するということは可能なのです。

「内的要因」に含まれるもの

外的要因がそろいにくいビジネス書を作成する際には、できる限り、内的要因をふまえておく必要があります。

それぞれの要素として挙げられるものは、次のとおりです。

①わかりやすい

理解を促す構成。文章の基本テクニック。図説や図解、挿絵。など

②役に立つ

挑戦できるようになる。行動できるようになる(背中を押す)。具体的な手順がわかる。これまで理解できなかったこと、ぼんやりとしていたことが理解できるようになる。

③おもしろい

新しい知見や視点が得られる。発想が変わる。心が惹かれる。目の前が開ける。変わっている。不思議。感情が動く(喜怒哀楽、恐怖とメリット)。意外性。

④救われる

許される。大切なことを思い出す(本質、真理)。大人になって失われた感情の想起。「ダメな自分を変えたい。人生を変えたい」などコンプレックスの克服。

⑤普遍的なテーマ

生と死。愛。自由。人間らしさ。生き方。など

書くのは論理、売るのは感情。

最後に、ライターとしての視点を少し。

書籍を執筆すること自体は、論理的な営みです。論理のちからを借りなければ、まとまりのある、理路整然とした書籍を書くことはできません。

一方、売れるということに関して言えば、読者の感情を動かすことが大事でしょう。必要性があることを除き、人は、感情が動かなければ、お金を払って物を買おうとしないためです。

そこにライターとしての葛藤があります。論理だけで感情を動かすことはできません。論理で書き、感情で売る。そのような姿勢が求められるのだと、常々、感じています。

残念ながら、「いい本=売れる本」ではない実情をふまえると、売れるビジネス書をつくるという行為は、非常に、多面的な視点が欠かせないのだと実感せざるを得ません。

たしかに、あらゆるビジネス書は、“偉大な古典の焼きまわし”でしかないのかもしれません。しかし、そこに魂がこもることで、無二のものになるのだとわたしは考えています。

そしてそのためにライターができることは、締切に押されながらも、ひとつひとつの作品に最善を尽くすことなのでしょう。これは、あらゆる作品づくりに共通する事柄だと思います。

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