「副業」や「兼業」が広がりつつある昨今。「フリーライターとして活動してみたい」「文章を書いて収入を得たい」という人も増えているのではないでしょうか。
ぼく自身、かれこれ10年近くフリーライターのような活動をしていますが、現場では、フリーライターに対する評価は本当にまちまちです。いわゆる玉石混交なのでしょう。
そこでこちらの記事では、自戒もこめて、あるいは今後の精進のために、フリーライターが身につけておくべき所作やスキル、考え方についてまとめました。
フリーライターが身につけておくべき「所作」
所作とはつまり「たちふるまい」のことですが、この部分が実は、かなり重要だと思います。なぜなら、フリーライターの最大の武器は、その人の人となりだからです。
企業には企業の“顔”があるように、フリーライターにはフリーライターの“顔”があります(要するにルックスですね)。ただそれは、見た目だけではなく、内面を含むものです。
1.清潔感のあるルックス(服装、髪型、所有物)
人は誰しも、美男や美女が好きです。ただ、誰もが美男や美女になることはできません。それならば、少なくとも清潔感のある人間になりましょう。
清潔感のある人間になれば、嫌われる可能性が少なくなります。服装、髪型、所有物まで、できるだけ小奇麗にして、好印象を与えることが大切です。
2.30分前行動
タイム・イズ・マネー。時は金なり。もちろん、自分の時間もそうですが、何より相手の時間を守るという意識がなければ、信頼を得ることはできません。
5分前行動でもいいですが、5分という限られた時間ではどうしたって無理があります。ミスをすることもある。人生のうち30分を、信頼獲得のために使うのです。
3.納期前に仕上げる努力
〆切を守らずに謝って許されるのは、一流作家だけです。“インスタント”なぼくらフリーライターは、つねに、代替される可能性を考慮(あるいは憂慮)しなければなりません。
納期に遅れないようにするには、納期前に仕上げておくしかありません。直前でもいいのです。いつでも送付できる準備さえしておけば、納期厳守は維持できます。
4.営業マンのような立ち振る舞い
「作家」と「ライター」は明確に異なります。前者は芸術家であるのに対し、後者はビジネスマンです。フリーライターとは、ビジネスとして文章を書いている存在なのです。
そう考えると、所作として学ぶべきなのは、一流の営業マン。彼らは、どんな相手であっても、スマートに対応します。文章が書ければいいなんてのは、作家だけでしょう。
5.情報収集網の確立
いつ何時、どんな仕事が舞い込むのかわからないのがフリーライターです。だからこそ、つねにあらゆる情報を浴びておくことが、仕事に直結します。
そのようなことを考えて、自分なりの情報収集網を構築しておけば、自然に情報が集まります。本でも雑誌でもスマホでもいい。自分なりの情報収集網をつくりましょう。
フリーライターが身につけておくべき「スキル」
専門的な記事を書くライターであれば当然、その分野に関する専門知識を身につけておくべきなのは言うまでもありません。こちらでは、専門的なものではなく、基礎について考えます。
つまり、どの分野の記事を書くライターであったとしても、身につけておくべきスキルは何か、という視点です。いわゆる“物書きに必要なもの”、と言ってもいいかもしれません。
1.傾聴力
人の話を聞かない相手を、好きになる人はいません。一方で、話を聞いてくれる人に対しては、つい、心を許してしまうものです。
その点、傾聴力はライターに欠かせないスキルです。相手の話を引き出すための、“真剣に聞いていますよ”という態度。それが傾聴の基本です。
2.取材力
具材がなければ料理ができないように、材料がなければ文章は書けません。ライターにとって、材料を集める作業はつまり取材です。
どこでどうやって材料を手に入れるか。インターネット時代である現代において、いかに他人とは異なる材料を効率的に集められるかが、文章の質に影響します。
3.読書力
まだまだ侮れない活字の情報。とくに、深く狭いコンテンツを集約した書籍という媒体は、ライターにとって、避けて通れない存在です。
もちろん、読書が好きだからフリーライターになったという人もいるでしょう。読書のスキルを高めて、本を味方につければ、文章力もまた上がっていくものです。
4.精神力
フリーライターにとって、文章を書くことは仕事です。仕事だからこそ、ときには、理不尽な要求にも応じなければなりません。これもまた、作家との違いです。
そして、そのような理不尽な要求に対し、忍耐強くあれるスキルこそ精神力に他なりません。つねに精神力を鍛え、自分との戦いに負けないようにしましょう。
5.自立力
とにかく書くことしかできない。あとのことは任せたい。そういう人は、企業でライターになることを目指しましょう。フリーライターは、すべてを自分でやらなければなりません。
それこそ、雑務から営業まですべてです。それができて、フリーライターとしてやっていけるようになります。自立力がなければ、長く続けていくことは難しいでしょう。
フリーライターが身につけておくべき「考え方」
実は、この“考え方”というものが、いちばん大事だったりします。なぜなら、その人を規定するものは、“その人の考え方”に他ならないためです。
考え方がフリーライターにそぐわない場合には、企業に勤めたり、あるいは自分で会社を興して社員に働いてもらう方が向いているはずです。
1.書くことに対して真剣であることを恐れない
ぼくは、世界で一番文章力があるかと言われれば「うーん」と唸ってしまいますが、書くことに対して真剣であるかどうかについては、「はい」と即答できます。
世の中には、あまりに真剣すぎる人を馬鹿にする風潮もありますが、ことフリーライターは、文章に真剣でいいのです。オタクでいいのです。それがアイデンティティなのですから。
2.自分本位のこだわりは捨てる
文章に対して真剣であることと、文章へのこだわりをもっていることとは、意味が違います。前者は心的姿勢であり、後者はただの頑固さでしかありません。
もちろん、作家であればその頑固さが味となるかもしれません。しかしフリーライターの場合、頑固さは邪魔なものでしかありません。大切なのは、相手の立場に立つことです。
3.つねに文章の素人であることを忘れない
フリーライターとして活動していると、「自分も少しは文章が書けるようになったかもしれない」と思うことがあります。ぼくはその度に、名文にふれるようにしています。
そして、打ちのめされる。自分はまだ、文章について、何も知らない。そうやって自分をニュートラルにして、また愚直に勉強していく。つねに素人であることを忘れません。
4.毎朝、鏡の前で自問自答する
「文章を書くことが好きだったけど、仕事にした途端に嫌いになってしまった」。そのような人もいるかもしれません。それなら、辞めてもいいのです。
人の気持ちは変わります。モチベーションが上がらないのなら、別の仕事をしてもいい。毎朝、鏡の前に立ち、「自分が本当にしたいことは何だろう?」と自問自答してみましょう。
5.いつでも独立初日に立ち返える気持ちを
ぼくは、独立する前日に撮影した写真を、今でもプロフィール写真として使っています。あのときの自分も、今の自分も、同じ“じぶん”です。それを忘れないようにしているのです。
いつでも初心に帰ることができれば、自惚れることはありません。昨日よりもっと、努力することができます。だからこそ、いつでも“あの日”に帰れるようにしておきましょう。
まとめ
フリーライターとして活躍するためには、「体力」「気力」「精神力」など、総合的な人間力が問われることになります。それは、他のプロフェッショナルな仕事全般に言えることです。
今回、紹介した「所作」「スキル」「考え方」は、あくまでも理想です。ぼくだって、すべてできているわけではありません。しかし、つねに、意識はしています。
どの世界においても、卓越した人というのは本当に素晴らしいものです。人を感動させることができます。そこを目指して歩んでいくことが、ぼく達にできる唯一の努力かもしれません。