数ある節税対策のなかでも、多くの税理士がオススメする「小規模企業共済」。ただ、その内容はもちろん、存在すら知らない人も少なくありません。
そこでこちらの記事では、最強レベルの節税対策である小規模企業共済について、わかりやすくまとめました。題して「3分でわかる小規模企業共済」です。
参考:中小機構
節税対策における問題点
ベンチャー企業の社長や個人事業主など、事業者であればだれしも一度は考えるのが「節税」です。なぜ節税が必要なのかと言うと(誤解を恐れずに言えば)、「納税はビジネスに直接的な貢献をしない」からです。同じ出ていくお金である「経費」とはえらい違いです。
しかし、納税は“義務”です。支払わなければなりません。どんなに事業が苦しくとも、創業したてでも関係ありません。また、「そもそも起業にはリスクがともなうのに……」と嘆いていても仕方がありません。だからこそ、節税を検討することになるのです。
だからと言って、ムダな経費を支出するのは本末転倒です。それでは経費を支出するためにビジネスをしているようなもの。本来であれば、資金をプールする必要もありますし、事業も大きくしたい。また、起業家・個人事業主本人もそれなりの見返りを受けたいと思うはずです。
小規模企業共済とは
そこで活用できるのが、「小規模企業共済」です。小規模企業共済には次のような特徴があります。
・払い込んだ掛金の分だけ節税できる(1,000円~70,000円)
・掛け金の受取方法が選べる(一括、分割(10年、15年)、一括と分割の併用)
・受け取るときも「退職所得控除」などによる節税効果がある
・無担保/無保証の貸付が受けられる(払い込んだ掛金の範囲内で)
・運営主体は「中小機構(経済産業省所管の独立行政法人)」
上記のような特徴があることからも分かるように、小規模企業共済は「節税対策ができて、しかも退職金を積み立てられる制度」なのです。
何も考えずにただ納税するよりも、事業者にとって、大きなメリットがあることは言うまでもありません。(※納税を否定しているわけではありません)
小規模企業共済のメリット
小規模企業共済に加入するメリットは主に次のとおりです。
1.掛金の幅が広い
掛金の幅は1,000円~7万円まで。期間に応じて受け取れる金額の割合も変わるので、まずは少額からスタートし、状況に応じて金額を調整していくといいでしょう。
2.ダブルの節税効果
払い込んだ掛金は全額所得控除の対象になり、さらに共済金を受け取る際には「退職所得控除」などの節税効果があります。まさにダブルの節税です。
3.無担保/無保証の貸付
税金を納めても国がお金を貸してくれるわけではありませんが、小規模企業共済なら、掛金の範囲内で無担保・無保証の貸付が可能となります。
で、いつお金もらえるの?
掛金を受け取れるのは以下の場合です(※諸条件あり)。
①共済金として
「廃業時(法人は解散)」「病気や怪我による退職時・老齢給付」「事業譲渡・法人成り・役員の退任時」など
②解約手当金として
「任意解約時」など
受け取れる金額はそれぞれの条件ごとに異なります。
とくに、任意解約時などに受け取る「解約手当金」は注意が必要です。解約手当金として受け取れる金額は掛金の80%~120%となり、掛金納付月数が240ヶ月(20年)未満の場合は、掛金合計額を下回ります。
小規模企業共済の注意点
さらに、「②解約手当金」の場合、共済金のように「退職所得」や「公的年金等の雑所得」としてではなく、「一時所得」として扱われる場合があります。
しかも、払い込みをした掛金の総額は、支出した金額(下記参照)に算入できません。
☆一時所得とは(国税庁)
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。計算方法は次のとおりです。
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
そして一時所得は、その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。
このため、必然的に、節税効果は限定的となってしまいます。
まとめ
このように、節税効果の高い小規模企業共済ですが、こと法人の役員をしている方(ベンチャー・スタートアップなどの起業家)であれば、使い方が難しい側面もあります。
同じ中小機構が提供している「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」などと合わせて、活用を検討してみてください。
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