経営戦略にはいくつかの種類があります。そのうち代表的なものとしては、「アンゾフの戦略計画論」と「ミンツバーグの創発的戦略」が挙げあられるでしょう。
では、それぞれの経営戦略にはどのような特徴があり、それぞれどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。こちらの記事では、そんな経営戦略の違いについて解説しています。
アンゾフの戦略計画論とは
アンゾフの戦略計画論とは、事前にトップマネジメントや戦略チームが策定する、計画された戦略のことです。これを「意図された戦略」と言います。
つまり、あらかじめ意図された戦略を実現することが、アンゾフの戦略計画論となります。“事前に”、“意図・計画された”、という点がポイントです。
ミンツバーグの創発的戦略とは
ミンツバーグの創発的戦略とは、事前に計画されたものではなく、現場社員の行動によって事後的にパターン化された戦略のことです。これを「実現された戦略」と言います。
具体的には、予期しない環境変化にともない、それを新たな事業機会としてとらえ、創発的に戦略を創造していくことを指します。“事後的に”、“創発する”、という点がポイントです。
※創発:自律的な要素が集積し組織化することにより、個々のふるまいを凌駕する高度で複雑な秩序やシステムが生じる現象あるいは状態(人事労務用語事典)
それぞれのメリット・デメリット
では、それぞれの経営戦略にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。両者の違いに着目しつつ、詳しく見ていきましょう。
アンゾフの戦略計画論のメリット・デメリット
- メリット:どのような会社を目指すのか明確になり、従業員の行動を規定することができる。また、行動に対する不確実性が減るだけでなく、従業員のモチベーション管理にも役立つ。
- デメリット:ただ計画に従うだけの組織には、現場での学習がない。状況に応じて試行錯誤しながら働いてもらうことで、環境の変化に即した柔軟な組織づくりが必要となる。
ミンツバーグの創発的戦略のメリット・デメリット
- メリット:予期しない変化を事業機会としてとらえることができるなど、柔軟な対応が可能となる。米国の3M社など、社内ベンチャー制で成功している企業はまさに、創発を生かしていると言える。
- デメリット:トップマネジメントや戦略チームによる計画的な戦略がないと、会社が目指すべき方向性を共有できず、社員の行動に一貫性がなくなってしまう危険性がある。
まとめ
以上のとおり、経営戦略にはそれぞれメリット・デメリットがあります。それぞれの違いを理解し、特徴を理解したうえで活用することが大切です。
ちなみにミンツバーグは、計画的なだけで学習のない戦略はなく、逆に、創発的で計画性のない戦略もないとしています。計画と創発、それぞれのバランスが大事ということです。