「図書館情報資源概論」合格レポート(近畿大学図書館司書)

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本稿では、近畿大学図書館司書コースの「図書館情報資源概論[’19-’20]」における、合格レポートを紹介しています。

※内容をそのままコピー&ペーストするのは厳禁です。あくまでも、解答例および書き方の参考にしてください。

設題

設題は次のとおりです。

(1)ネットワーク情報資源とはなにか、(2)公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例や特徴を述べるとともに、(3)今後の収集の在り方や課題についても述べなさい。(2,000字)

レポート作成上の留意事項・ポイント

・1、2、3や(1)、(2)、(3)などの見出し番号と見出しを付けて記述すること。
・参考文献の著者名、署名、発行所、ページ等を本文の末尾に記述すること。

総評基準についてのメッセージ

・「レポート作成上の留意事項・ポイント」が守られているかどうかを判断する。
・問題についての基礎知識があるか、論文の構成がきちんとなされているか、自己の言葉で書かれているかなどを判断する。

合格レポート

1.序論

 情報通信技術(ICT)の発展により、私たちの暮らしは大きく変化している。パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスが普及し、いつでもどこでもインターネットへとアクセスできるようになった。その結果、情報の質や流通経路、さらには求められるリテラシーにも変化が生じている。とくに、情報資源の収集、管理、保存を行う図書館では、そうした変化をふまえた対応が求められる。とくに本論では、ネットワーク情報資源に着目し、その定義や具体例、特徴、今後の在り方について論じていく。

2.ネットワーク情報資源とはなにか

 インターネット環境およびデバイスの普及により、現代人の情報探索は、主にインターネットを介して行われるようになった。その中身は玉石混淆であるものの、インターネット上には膨大な情報が蓄積されており、日常的に受信と送信が行われている。
 ただそれらの情報は、最初からインターネット上に存在していたわけではない。誰かが発信した情報が、インターネット上に蓄積されているだけである。そのようなインターネット介して提供されるさまざまな情報のことを、「ネットワーク情報資源」という。
 これまで図書館が扱ってきた伝統的な情報資源と比較すると、ネットワーク情報資源は記録情報量に制限がなく、また更新や修正が加えられるという点が特徴的である。さらに、情報の頒布方法が拡張され、大量の情報を即座にかつ一斉に、利用者へと届けられるようになった。
 一方で、情報源や情報そのものの信頼性や正確性、サーバーやインターネットのトラブルによるデータの消失さらには非線形的な情報利用による断片化など、ネットワーク情報資源ならではのマイナス面も押さえておく必要がある。

3.公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例と特徴

 公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の一例としては、「電子書籍サービス事業」がある。電子書籍とは、電子化されたコンテンツ(文字、記号、画像など)としての書籍のことであるが、公共図書館の中には、専用端末を利用者に貸し出して閲覧可能にしているところもある。また「千代田Web図書館」のように、非来館型のサービスとして、インターネット上で貸出・閲覧できるサービスもある。
 一方で、電子図書館サービスやデジタルアーカイブ、機関リポジトリなどを進めている図書館もある。具体的には、テキスト化や画像処理を行ったデータをコンピュータに蓄積し、インターネット上で検索・閲覧できるようにしている。また、文化的な情報資源をデジタルアーカイブとして保管し、収集している図書館もある。「イーハトーブ岩手電子図書館」のように、国の補助金を活用した事例もある。
 その他にも、ホームページを活用したレファレンス事例の共有やパスファインダーの提供、さらにはインターネット閲覧席の設置や各種データベースへのアクセスなど、ネットワーク情報資源を活用した情報提供も行われている。更新や修正の容易さに加えて、速報性や検索性の高さを生かし、利用者のニーズに応えているのが特徴的である。

4.今後の収集の在り方や課題について

 ネットワーク情報資源の特性をふまたうえで、情報収集の在り方として問われるのは、やはり情報の正確性であろう。これまで図書館が収集してきた情報源とは異なり、ネットワーク情報資源は、移ろいやすく変化しやすい。利用するたびに情報の中身が変わる可能性もある。とくにウェブサイトの場合、情報源そのものが消失することも考えられる。
 そのため、ネットワーク情報資源を収集する際には、これまで以上に情報源の信頼性を厳重にチェックしなければならない。ウェブサイトであれば、発信者はもちろん、情報の質、背景、更新頻度などを精査し、収集、管理、保存する必要がある。そのためには、インターネットをはじめとする、ネットワーク情報資源に精通しておくことが望ましい。
 さらに、公共図書館の本来的な役割を考慮すると、住民のニーズや地域社会に配慮した情報を収集することも忘れてはならない。都道府県立図書館、市町村立図書館、さらには中央図書館か地域図書館によって収集するべき資料は異なるが、住民と地域への貢献をベースにネットワーク情報資源を収集することが求められる。

5.結論

 本論で論じてきたように、ネットワーク情報資源の普及は社会全体はもちろん、図書館における情報の収集、管理、保存にも大きな影響を及ぼしてきた。とくにウェブ上の情報は、これまでのような紙媒体のように一定ではなく、その都度アクセスして確認する必要がある。その点をふまえて、図書館業務に従事する者は、情報の信頼度や正確さ、投稿者(発信元)、さらにはコンテンツの質や永続性なども加味しつつ、適切な情報収集、管理、保存にあたる必要があるだろう。その他、電子書籍や電子雑誌、デジタルアーカイブなど、さまざまなネットワーク情報資源への取り扱いに対し、今後はより一層の配慮が求められる。

文字数 2048文字

参考文献

高山正也・平野英俊編『図書館情報資源概論』樹村房,2012
細野公男・長塚隆『デジタル環境と図書館の未来』日外アソシエーツ,2016
日本図書館情報学会研究委員会編『電子書籍と電子ジャーナル』勉誠出版,2014

レポート作成のヒント

レポートを作成する際には、以下の点に留意しています。

1.構成を決める

レポートの構成は、「序論」「本論」「結論」が基本となるため、次のように組み立てています。

1.序論: 現代におけるネットワーク情報資源を取り巻く環境について
2.本論:「 ①ネットワーク情報資源とはなにか」「②公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例や特徴」「③今後の収集の在り方や課題」
3.結論: 本論でまとめた内容に対する、筆者の主張や批判

2.テキストの該当箇所を自分の言葉でまとめる

本レポートは、書くべき内容が 明確に指定されています。該当箇所をテキストで確認し、まとめることで合格に近づけるはずです。

このとき、自分の言葉で記述することが重要かと思います。

3.必要に応じて参考書等を使用する

参考書を参照すると、レポートの内容に補足できます。テキストを読んだうえで、該当箇所をチェックしてみてください。

また、引用する場合は「」でくくり、出典を記載してください。内容の参考にしただけの場合でも、参考文献に記載します。

キーワード

本設題の場合、次のようなキーワードが挙げられます。これらの言葉に着目しつつ、まとめていく必要があるかと思われます。

・ネットワーク情報資源
・ 電子図書館サービス
・ デジタルアーカイブ
・ インターネット、ウェブサイト

参考文献

デジタル環境と図書館の未来: これからの図書館に求められるもの (図書館サポートフォーラムシリーズ)

デジタルが変える出版と図書館―立命館大学文学部湯浅ゼミの1年

電子書籍と電子ジャーナル (わかる! 図書館情報学シリーズ)

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