論文の構成から考える!論文作成に必要な3つのこと

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論文を作成するとき、「何から手をつければいいのだろうか……」と悩んでいる人も多いことでしょう。実は、論文の作成には、一定の手順があります。

そもそも論文とは、「ⅰ自ら問いを設定し、ⅱ客観的な論理やデータに基づいて、ⅲ自分なりの立場や主張を論証したもの(1)」のことです。

そのことからも明らかなように、論文に必要なのは「①問い」「②データ」「③論証」の3つです。それぞれを適切な手順で用意することで、論文は自然と構成されていきます。

■テーマを決めて資料を集める

ただし、論文に必要な問いやデータを用意するためには、まず、「何についての論文を書くのか(何について研究するのか)」ということを明確にしなければなりません。

言い換えれば、あらかじめ「テーマ」を決めたうえで、論文・研究を進めていくことになります。テーマの決め方については、こちらを参考にしてください。

・自分にあった最適な研究テーマを見つける方法

■論文作成に必要な3つのこと

では、論文の作成に必要な「①問い」「②データ」「③論証」の3つを準備していきましょう。

具体的な手順としては、「1.資料の収集と整理(サーベイ)」「2.問いの設定(リサーチ・クエスチョン)」「3.論証(アウトラインに基づいた執筆)」という流れになります。

1.資料の収集と整理(サーベイ)

資料の収集と整理(サーベイ)とは、つまり“先行研究”のことです。

学術的な研究は、すべて先行研究をふまえたうえで行われます。そのことは、「standing on the shoulders of Giants(巨人の肩の上に立つ)」という言葉にも象徴されていますね。

ちなみに、Googleの文献検索サービス「Google Scholar」のトップページにも、その言葉が刻まれています。(English版では“stand”になっています)

さて、そのような研究の基本をふまえたうえで、研究の参考となる書籍や論文を収集し、これまでに行われた研究(研究史)を整理しましょう。

収集するべき資料には、「教科書的な資料」「同分野の古典(名著)」「過去の研究結果(原著論文など)」が挙げられます。それらの資料が、問い、データ、論証のもとになります。

2.問いの設定(リサーチ・クエスチョン)

次に、先行研究に内在する課題から、“リサーチクエスチョン”を抽出します。

とくに経営学分野の論文に関して、大木(2016)は「筋の悪いリサーチクエスチョン」を次のように定義しています。

1.学術的ではないビジネスレポート的リサーチクエスチョン
ⅰ特定の事象の現状を明らかにしたもの
ⅱ特定の事象が引き起こされた理由を明らかにしたもの
ⅲ特定の事象が今後どのようになっていくかを予想するor今後どのようになっていくべきかを提言するもの

2.学術的だが筋の悪いリサーチクエスチョン
ⅰ「無知」によるリサーチクエスチョン
ⅱ「無謀」なリサーチクエスチョン
ⅲ「無理矢理」なリサーチクエスチョン

そもそも研究というのは、学問としての知の獲得(新規性)を前提としています。そこから外れるものは、リサーチクエスチョンとして適切ではないということです。

さらに、学術的ではあったとしても、すでに結論が出ている課題を指摘していたり、調査不可能な課題を取り上げていたりする研究は、筋が悪いものとされてしまいます。

あくまでも、複数の回答が可能な問いを立て、自らの立場を明確にし、根拠を用いて論証できるようなリサーチクエスチョンを設定しましょう。

3.客観的なデータに基づいた論理的な記述(アウトライン)

資料を収集し、問いを設定したら、実際に論証していきます。

論文における論証とは、アウトラインに沿った執筆のことを指します。流れとしては、大きく「序論・本論・結論」の三段構成を意識しておくのが基本となります。

信頼できる情報源としての根拠を提示し、事実と意見、さらには自分の意見と他人の意見とを明確に分けたうえで、アウトラインに沿って執筆・推敲を重ねていきましょう。

■論文の構成

最後に、論文の構成について確認しておきましょう。

とくに学術的な論文は、「IMRAD(Introduction, Materials and methods, Results, And Discussion」で構成されているのが一般的です。

具体的には、

「緒言(イントロ)」:研究内容の背景(研究史の整理と課題の設定)
「方法(マテメソ)」:どのような材料と方法で研究を行ったのか
「結果(リザルト)」:得られた結果
「考察(ディスカッション)」:結果についての議論・考察

という4つの項目と、前後に「Abstract(概要)」や「参考文献・謝辞」などを加えて構成されています。IMRADという基本構成をふまえたうえで、論文を完成させていきましょう。

参考
・学術論文の書き方
・筋が悪いリサーチクエスチョンとは何か?

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