「学問する」とはどういうことか ―学問の基礎としてはじめに学ぶべき3つのこと―

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最初の大学生時代。私は、大学を、「モラトリアム期間を謳歌する場所」であり、かつ「就職予備校」のようなものとして捉えていた。

そのため、“答えの決まっている情報を知っただけで満足したり、まだ答えの出ていない問題を答えが決まっているかのように錯覚したり”していた。

しかしそのような心的姿勢では、さまざまな諸問題に対し、深く思考することはできない。少なくとも、本来的な意味における「学問」はできないだろう。

つまり私は、社会人経験の中において、コミュニケーションスキルや事務作業遂行スキルを含む「業務処理能力」ばかり鍛えてしまっており、知的に成長してこられなかったわけだ。

そこであらためて、「学問とはなにか?」について確認しておこう。

学問の基礎としてはじめに学ぶべき3つのこと

以下、「学問の手引き」を参照・引用させていただく形で、学問の基礎としてはじめに学ぶべきことを整理した。大きく3つある。これから学問をする人は、ぜひ参考にしてほしい。

①知の全体の見取り図

【学ぶべきこと1】:個別の知識がどう関連して、全体としてどういう体系を作っているのか。自分の知りたい情報はどこに分類されているのか。

→知の分類や体系を知る。

※自分なりの「知の地図」をつくる。

②知の臨界

【学ぶべきこと2】:何が「すでに分かっていること」で、何が「まだ議論になっていること」(答えの出ていない問題)か。

→複数の学説がある問題と、その対立点を知る。

※学問において探求する価値のある問題とは、答えが一つに決まらないこと、立場が分かれていること、専門家の間で議論になっていることである。

※答えの決まっていない問題とは、何らかの形で現在の知のあり方、社会のあり方の根本や前提とかかわっているような問題。言いかえれば、どの立場を選択するかで、その人のものの見方や社会とのかかわり方が規定されてしまうような問題である。

③信頼できる情報

【学ぶべきこと3】:何が信頼できる情報で、何が信頼できない情報なのか。

→「情報のための情報」を知る。

※頼りにすることのできる情報は、どこにアクセスすれば、どのリファレンス(参考書、辞書、統計、図書館)を参照すれば手に入るのか。情報の信頼性をどう見分けるかを知る。

※答えが一つに決まる問題、すでに明らかになっている問題は、「情報のための情報」を知っていれば対応できる。

※知的成長とは、問題に対する「答え」を知ることではなく、価値ある「問い」を数多く自分の中に抱え、「問題の木」を成長させることである。

自らの内にある知的好奇心にアクセスしよう

ちなみに、今回の試みは、半ば“必要性(外側)”から生じている一方、自らに内在する知的好奇心や成長意欲などの“欲求(内側)”から膨らんでいったことを付言しておきたい。

(その点、知的な成長はなくとも、知的な“成長意欲”は育っていた(あるいは温められていた)と言える。)

要するに、最初は「何かの役に立つかな」という気持ちで探求していたものの、だんだんそのこと自体が楽しくなり、いまでは「やりたいからやっている」ということだ。

人間、「役に立つこと」から得られるものなどたかが知れている。やはり、自らの内なる欲求(好きなもの)に突き動かされることに、幸福の源泉があるのだろう。

(“リッチな時間・リッチな活動”というのは、人によって異なるということですね)

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