ベンチャー大学が世界の教育を変える！『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』

2018/10/25 2019/11/11

世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ

「既存の大学に価値はない」「大学に行っても意味がない」。

巷では、そのような言説がささやかれています。とくに先進的な発現をくり返している人を中心として。ただ、こと日本においては、その代替案が未だに模索されている状態です。

そんななか、既存の大学が抱えている質的・制度的な問題に対し、果敢に挑戦し、世界のエリートから大いに支持されている大学があります。

それが、本書『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』で紹介されている「ミネルバ（ミネルヴァ）大学」です。

ミネルバ大学は何がスゴいのか？

ミネルバ大学には、次のような特徴があります。

・校舎がない(4年間で世界の7都市をめぐる)

ミネルバ大学の舞台は、「1年目：サンフランシスコ」「2年目：ソウル→ハイデラバード（インド）」「3年目：ベルリン→ブエノスアイレス」「4年目：ロンドン→台北」です。

つまり、ミネルバ大学に在籍している4年間で、世界の主要都市を巡ることができるのです。定期的に留学しているかのようですね。

こうした体験から得られるものは計り知れません。文献や動画などで表面的に知るのではなく、実際に住んで体感すること。それこそ、真の学びと言えそうです。

・教師は「講義」も「テスト」もしない

ミネルバ大学には「講義」も「テスト」もありません。基礎科目は無料のMOOCで学んでもらいつつ、より“実践的な知恵”を提供するカリキュラムが組まれています。

ここで言う実践的な知恵とは、「個人の知的満足ではなく、現実の社会における課題経解決に応用できる認知ツール」と定義されています。まさに、“実践的”というわけですね。

とくに既存の大学教育で問題視されているのは、大学での学びと、実社会で必要となるスキル・能力の乖離でしょう。ミネルバ大学は、その乖離を減らす努力をしているのです。

・全寮制なのに、授業はすべてオンライン

ミネルバ大学は全寮制でありながら、授業のすべてがオンラインで行われています。特筆すべきなのは、オンライン授業の中で行われている“教授法”です。

通常の大学は、教授が一方的に話をする「講義」スタイルで授業を進めています。しかしミネルバ大学では、教授ではなく、学生の能動的で質のよい発現を増やす工夫がされています。

たとえば、授業中に教授が話せる時間を連続4分、授業全体でも10分以内と定めています（90分授業）。教授にとってではなく、学生にとって最適な授業を目指しているためです。

ミネルバ大学は時代に最適化された学府である

その他にも、教員のテニュア（終身雇用権）を廃止していたり、入試方法や授業料、さらにはプロモーション活動も工夫されていたりなど、注目点が多いミネルバ大学。

そんなミネルバ大学についてもっと知りたい方は、ぜひ、本書を手にとってみてください。きっと、真の教育改革を実現する仕組みについて知ることができるでしょう。

また、序章において、ミネルバ大学創立者のベン・ネルソン氏についても触れられています。ベンチャーが世界を変えている姿、そしてその方法論にも注目です。

第2章なぜミネルバ大学は、「最高の教育を、適正な価格で」実現できたのか?
――世界のエリートを惹きつけるカリキュラム、仕組み、テクノロジー
2-1 大学を取り巻く4つの問題
2-2 ミネルバ大学は、何をどう教えているのか
――技術と仕組みでつくった新しい教育のかたち
2-3 世界7都市をキャンパスにする
――「当たり前」を捨てたことで得た可能性

第3章なぜ実績ゼロの新設大学に、世界のエリートが集ったのか?
──学生、教員、スタッフがミネルバで得たもの

第4章ミネルバ大学は、本当に教育に革命をもたらせるのか?
――“学生の学び”を軸とした教育に立ち返るための提言
4-1 ミネルバ大学は既存の大学とどう違うか?
――ブルーオーシャン戦略で見えた6つの特徴
4-2 ミネルバ大学の2つの課題と、さらなる可能性
4-3 ミネルバ大学のカリキュラムは日本の大学でも導入できるか?

第5章ミネルバは日本でどのように展開したのか?
――産官学の垣根を越えた連携が、教育に新しいうねりをもたらす