人生を変える集中力「フロー現象」とは

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フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

「どうすれば卓越した集中力が得られるのか」という課題は、ビジネスや学業などにおいて、高い成果をあげたいと考えているすべての人に共通するものでしょう。ただ、その具体的な方法論については、各人がそれぞれ試行錯誤していることと思います。

その中において、とくに評価されているのは「フロー」という考え方です。フローとは、“集中した精神的、情緒的、身体的活動を通じてもたらされる、世界との完全な一体化の状態”のこと。平たく言えば、深い集中の状態のことです。

チクセントミハイ氏が提唱するこのフロー現象は、すでに世界中で知られています。今回は、フロー現象についてまだ知らない方のために、その具体的な中身と実践する際のポイントについて、『フロー体験入門―楽しみと創造の心理学』より紹介します。

フロー現象が生じるとき

まずは、フロー現象の具体的な定義について確認しておきましょう。

目標が明確で、迅速なフィードバックがあり、そしてスキル(技能)とチャレンジ(挑戦)のバランスが取れたぎりぎりのところで活動している時、われわれの意識は変わり始める。そこでは、集中が焦点を結び、散漫さは消滅し、時の経過と自我の感覚を失う。その代わり、われわれは行動をコントロールできているという感覚を得、世界に全面的に一体化していると感じる。われわれは、この体験の特別な状態を「フロー」と呼ぶことにした。

これがフロー現象です。まとめると、フロー現象が起こる条件は次の通りです。

①目標が明確である
②迅速なフィードバックがある
③スキルとチャレンジのバランスが取れている

フロー現象を生じさせる方法

フロー現象を生じさせるためには、「目標を明確に決め」「フィードバックを得ながら」「スキルとチャレンジのバランスがとれている課題に取り組む」必要があります。その結果、深い集中力が得られます。

この場合のフィードバックとは、自分が正しい行動をできているかどうかを確認することです。スポーツ選手であれば、正しいフォームに則ってカラダを動かせているかを確認し、タイムや記録と比較しつつ、試行錯誤を重ねることです。

また、スキルとチャレンジのバランスについては、チャレンジのレベルが低すぎれば“退屈”となりますし、高すぎれば“ストレス”になってしまいます。あくまでも、自らのレベルに合ったチャレンジを選ぶことが大切です。

さらに深いフローを得るために

目標、フィードバック、スキルとチャレンジのバランス以外にも、フロー現象を得るためのポイントはいくつかあります。

たとえば、

・対象への自己統制感があること(コントロールしている感覚)
・集中を妨げる外乱がシャットアウトされている

などが挙げられます。

要するに、自分がコントロールできる対象に取り組むこと、そして集中力を妨げる環境を改善させることもまた、フローには重要となるわけです。

フローによって人生を変えよう

フロー現象によって集中力を高めることは、悶々と悩み続ける悪癖を解消し、行動することにもつながります。そのように、自分自身にポジティブな変化をもたらすのがフロー現象なのです。

大抵の場合、悩んでいるだけでは何も解決しません。大切なのは行動です。どんな大きな成果も、一歩の行動からもたらされています。思考からではありません。その点、フロー現象を活用することは有用であると言えそうです。

最後に、『フロー体験入門―楽しみと創造の心理学』から次の言葉を引用しておきましょう。

ほとんどの人にとって、自分自身がどのようにあるべきか、何をすべきかについて考えることから得るものはない。熟慮は難しい技術であり、訓練されていない人々は、すぐに落ち込んだり、絶望してしまうことさえある。他方、フローはいわば外側から内面へと人生を変革する。まず、自分のスキルを活用する機会を見つけ、次に、集中して行為する間は我を忘れなければならなくなるようなチャレンジに取り組む。逆説的なことに、こうした出来事が終われば、以前よりも強く自己が意識されるようになる。無為の原理は同様に自己の育成に当てはまる――自分の人生をよりよいと感じるのは、自分自身を変えようとすることによってではなく、実際に変化を行動に表すことによってである。そうすることで自己は苦もなく自然に変化していくのである。

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