文章は、”わかりやすいこと”が大前提だ。
どんなに立派な文章でも、どれだけ時間や労力を費やした文章でも、読み手に伝わらなければ意味がない。書き手の才能や苦労、おかれている境遇など、読み手にとってはいっさい関係がない。
それを理解していないために、どれだけの文章が無駄になっていることか。
読み手が理解できない文章、読み手に伝わらない文章を書くということは、雑踏の中で独り言を言うようなものだ。 「振り向く人はいるかもしれないが、気に留める人はいない。」
だからこそ、初心にかえって、わかりやすい文章を書こう。 注意すべきポイントは少なく、コツをつかめば誰にでもできる。
もくじ <わかりやすい文章を書く13の秘訣>
- 何よりも読み手を第一に考える
- 目的をはっきりさせる
- 誰に伝えるのかを明確にする
- 読み手に何を期待しているのかはっきりさせる
- 最も伝えたいことを強調する
- 難しい言葉を使わない
- 根拠となる事実やデータを示す
- 読み手に語りかける
- エピソードや具体例、例え話を盛り込む
- 文章の順序に気をつける
- 読者を補助する
- 無駄を削る
- より具体的な表現を心がける
わかりやすい文章とは?
わかりやすい文章とは、「読み手が理解できる文章」のことである。 そのためには、論理的で、説得力があり、正しい表現が使われている必要がある。 具体的には、以下の13項目をひとつひとつ確認してほしい。
1.何よりも読み手を第一に考える
わかりやすい文章は、読み手を第一に考えることから始まる。 「想定されるどの読み手が読んでも、理解できるかだろうか?」 まずは、頭の片隅に、この質問を刻み込んでほしい。
2.目的をはっきりさせる
目的がない文章は、焦点を欠いた、読み応えのないものになる。
- 購買をうながすのか?
- 想いを伝えるのか?
- 支払いの請求をするのか?
- 上司に報告するのか?
- 世間に問いかけるのか?
目的をはっきりさせて、文章の方向性を明確にしよう。
3.誰に伝えるのかを明確にする
この文章は、誰に伝えるものなのか? 相手が専門家なら、専門用語をバシバシ使うべきだし、中学生なら、漢字を減らして、注釈をつけるべきだ。 年齢は、性別は、職業は、ライフスタイルは、趣味は、人間性は。 できるかぎり具体的に特定しよう。 また、ターゲットの他に、「想定される読者」も把握しておこう。 既婚者の男性がターゲットなら奥さん。企業の社長なら、部下や秘書だ。
4.読み手に何を期待しているのかはっきりさせる
その文章を読んだ人に、何を求めているのかをはっきりさせよう。
- ハンコがほしいのか?
- 問い合わせの電話をしてほしいのか?
- 気持ちに対する応えがほしいのか?
- 自分を支持してほしいのか?
読み手に「だからなんだ」と、思わせてはいけない。
5.最も伝えたいことを強調する
最も伝えたいことは、強調して、読み手に明示しよう。
- アンダーライン
- 字下げ
- 太字
- 斜体
- マーカー
- 色つき
- 囲み
- 吹き出し
- 追伸
方法はたくさんある。
6.難しい言葉を使わない
専門用語、漢字、カタカナ語、省略語はなるべく使わないようにしよう。 また、あいまいな言葉や言い回しにも注意が必要だ。 とくに二重否定のような、余計な表現は避けよう。
私はリンゴを食べたくないとは思わない→私はリンゴが食べたい
7.根拠となる事実やデータを示す
主張をただ並べただけでは、相手に理解されにくい。 文章に説得力が足りないと感じたら、根拠となる事実やデータを示そう。 また、権威のある人の言葉も効果的だ。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に掲載されたチャールス・K・ラモンド氏の記事によると、 広告はわかりやすいほど効果が高いということが、実験によって認められている。
8.読み手に語りかける
語りかけるとは、いわゆる「会話調」の文章だ。 堅苦しい文章よりも、シンプルな言葉と「あなた」という呼びかけのほうが、はるかに読みやすい。 目の前の読み手に語りかけるように書こう。 そうすることで、文章に感情がこめられる。
9.エピソードや具体例、例え話を盛り込む
エピソードや具体例は、読み手のイメージ力を助ける。 情景を思い浮かべてもらうことで、左脳だけでなく右脳にも訴えかけられるのだ。 とくに、将来像やそれを手にした自分をイメージさせると良い。 誰しも、自分が現状よりも望ましい状態にあることを好むからだ。 またエピソードには、文章を面白くする効果もある。
10.文章の順序に気をつける
文章は論理的でないと、読み手が理解しにくい。 よって、文章の順序は
- 単純→複雑
- やさしい→難しい
- 基本→応用
という流れにしよう。 最初から、読み手が知っている情報ばかりではないと、肝に銘じることだ。 また、小見出しを使って区切ることで、文章が整頓される。 一つ一つのセクションを、コンパクトにまとめられるのだ。
11.読者を補助する
どうしても理解しにくい用語や表現を使わなければならない場合は、読者を補助しよう。
- 注釈
- 用語解説
- 参考資料
- 補足
などが使える。
また、
- この文章にはどんなことが書いてあるのか
- とくに重要な点は何か
- 覚えておく必要があるのは何か
- まとめ
を盛り込むことも、読者の理解を助ける。
12.無駄を削る
無駄な表現は、どんどん削ろう。 読み手は時間がない。 ただ、勘違いしないでいただきたいのは、「短ければ良いわけではない」ということだ。 場合によっては、事細かく説明しなければ伝わらないこともある。 また、順序立てて丁寧に説明することで、説得する方法もある。 セールスレターが長いのには理由があるのだ。
13.より具体的な表現を心がける
表現はより具体的にしよう。 「たくさんの人が長時間頑張っている」 よりも 「100人体制で24時間対応している」 の方が効果的なのは、火を見るよりも明らかだ。 確認するときには、より具体的な表現に変更できないか、チェックしよう。
まとめ
<わかりやすい文章を書く13の秘訣>
- 何よりも読み手を第一に考える
- 目的をはっきりさせる
- 誰に伝えるのかを明確にする
- 読み手に何を期待しているのかはっきりさせる
- 最も伝えたいことを強調する
- 難しい言葉を使わない
- 根拠となる事実やデータを示す
- 読み手に語りかける
- エピソードや具体例、例え話を盛り込む
- 文章の順序に気をつける
- 読者を補助する
- 無駄を削る
- より具体的な表現を心がける
いかがだろうか。
新しい文章を書き始める前に、ぜひ上記のポイントを確認してほしい。 そして、既存の文章は、わかりやすく書きなおしてみてほしい。
文章は、相手に伝わって、初めて意味があるのだから。
コジゲン一言メモ
文章も言葉も、「わからなけれ」ば「伝わらない」よ! わかることと伝えることは、表裏一体なんだ!
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