執筆の妨げになる「やる気」の正体とは

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 「なんだか今日はやる気がしないなあ……」「やる気が出るまで机になんか向かえないよ……」。ものを書くとき、そのように考えている人も多いかと思います。たしかに、やる気がないときに机に向かうのは大変ですよね。

 とくに、文章を書くのが“好き”な人ほど、やる気がない自分を責めながら、しかしやる気が出るのを待ってしまうのではないでしょうか。私自身、よくやる気の有無を自問自答し、その度に苦悩しています。

 ただ、考えれば考えるほど、やる気というのは執筆の妨げになってしまいます。そう、やる気が執筆を邪魔するのです。なぜなのでしょうか。そのことを理解するには、やる気の正体を知ることからはじめなければなりません。

■やる気とは何だろう?

 そもそも「やる気」とは何でしょうか。「気」という言葉がついていることからも明らかなように、気持ちに焦点があたっていることがわかります。つまり、何らかの対象を「やる」ことに対する「気持ち」が、やる気ということです。

 生理現象(食事、睡眠、排泄など)など、人間が生きていくうえで必要な行為・行動においては、やる気が問題になることはありません。なぜなら、やろうとする気持ちがなくても、結果的にやってしまう(やらざるを得ない)からです。

 また、自分がとにかく好きなことで、どうしようもなくやりたいことに関しても、やる気は問題になりません。たとえば、趣味の読書や工作が大好きな人は、やる気など考えることなくその趣味に没頭してしまうことでしょう。

 その点やる気というのは、「生理現象でもなく、好きなことでもない」ものが対象のときになるとわかります。具体的には、「やりたくないこと」「根気が必要なこと」「着手が億劫なこと」などが対象になると思われます。

■やる気に頼ることの弊害

 そこで多くの人は、「やる気を引き出すにはどうすればいいのだろうか」と試行錯誤しはじめることになります。食べ物や飲み物を工夫したり、環境を整備してみたり、音楽を聴いてみたりなど、さまざまな方法を試します。

 その中には、短期的にやる気を引き出す効果があるものもあるでしょう。ただ、慣れてしまうとやる気が起きてこなくなり、また別の方法を模索する。そのくり返しです。そしていつまで経っても、やる気の問題から逃れられなくなってしまいます。

 ただし、私たちが悩むべきなのは、本当に「やる気」に関してだったのでしょうか。そうではないはずです。むしろ、やる気うんぬんではなく、対象とする行為(仕事だったり執筆だったり作業だったり)に向けられるべきではないでしょうか。

 そうなると、やる気を気にしすぎていたり、場合によってはやる気に頼りすぎたりすること自体が、作業に対する弊害になるとわかります。より望ましいのは、やる気を気にせず作業し続けられる工夫でしょう。

■やる気に頼らずに成果をあげるには

 では、どうすればやる気に頼らず成果をあげることができるのでしょうか。方向性はいくつかありますが、大事なのは「考えないようにする」ことに尽きます。作業に着手するとき、いちいち考えてしまうとそれだけで中断のもとになるためです。

 考えないようにするというのは、仕事の中身を考えないということではなく、仕事を「やるか・やらないか」を考えないということです。つまり、着手するタイミングとやる時間、休憩などをあらかじめ決めておくのです。

 そうすることによって、やるかやらないかを考えることなく、作業に没頭することができます。使える時間やタイミングは人によって異なりますが、「いつやるか・どれだけやるか」を事前に決め、それに従うようにしてください。

 最初のうちは根気が必要ですが、続けていくことによって、やらなければ気持ちが悪い状態がつくれます。そうなれば、やる気など関係なく、その作業に自然と没頭できるようになります。まずは、そこを目指しましょう。

 もしどこかの段階で「書きたくないな」「やりたくないな」と思ってしまったら、やる気に頼ると逆効果であることを思い出し、仕組みの方に目を向けてみてください。そのうえで、「いつやるか・どれだけやるか」を再考しましょう。

■まとめ

・「やる気」とは物事に向かう気持ちのこと。
・やる気に頼っていると、やるべきことが忘れがちになる。
・大切なのは「やるか・やらないか」を考えないこと。
・「いつやるか・どれだけやるか」だけを考えよう。

 やる気に頼ることなく、自動的に執筆できる環境整備を進めましょう!

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