いくつかの事例から論理的な結論を導きだす! 「例証」のやり方

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普段の暮らしのなかで観察したいくつかの事象が、あるひとつの共通点をもっていた。そして、それを理論として提唱することで、あたらしい気づきや発見につながる。

これはまさに、「例証」を用いた論証と言えます。いくつかの観察事項から、普遍的な法則を導きだす方法は、「帰納法」とも呼ばれています。帰納法は、論証の代表格です。

では、どのような例を用いて、どのように論証するとより説得力がある文章になるのでしょうか。本稿では、例証による論理的な文章の書き方について解説します。

例証とはなにか

そもそも例証とは、いくつかの例をあげて、自分の主張を論理的に説明することです。論理的な文章には「主張」「理由(前提)」「根拠」が必要ですが、そのうちの根拠になります。

たとえば、先進国で格差が広まっているという事例があったとしましょう。そこから導き出される結論は、「世界は格差社会に向かっている」というものになります。

ただし、観察された事項をそのまま提示するだけでは、説得力のある文章になりません。数値データ、年数、歴史、国ごとの違いなど、より納得できるよう、さらなる深掘りが必要です。

例証には複数の事例が必要

とくに例証による論証を行う場合には、複数の事例を提示するよう心がけなければなりません。確かな事例があったとしても、1つだけでは「たまたま」とも考えられます。

たとえば、「ある不動産が相場よりもはるかに高い価格で取引されていた。これはバブル期にも起こった事象だ。だからもうすぐバブルがはじける」という論証は、あまりに短絡的です。

論理的に結論を導きだすためには、必ず複数の事例を用いることが必要となります。また、取り上げる事例を精査する場合には、可能なかぎり的確なものを選ぶことが大切です。

ただしい前提の事例を取り上げる

いくらもっともらしい事例を取り上げて論証しても、その事例における背景がただしくなければ、論証もまたただしいものとなりません。背景情報の妥当性もまた、重要なのです。

たとえば、「候補者Aはある地域で8割を超える指示を得ている」。この事例から、「Aは国の代表に選ばれるだろう」という結論は得られるでしょうか。いいえ、前提が不十分です。

なぜなら、その地域の支持率だけでは、有権者全体の支持率がわからないからです。結論と整合性のある事例を取り上げ、例証をしなければ、論理的な文章とはならないのです。

まとめ

的確な事例を複数あげ、論理的な帰結を導いたとしても、反論される場合があります。ですので、反論に対してどのように答えるのかについても、考えておかなければなりません。

例証によって論証しただけでおわるのではなく、反対意見についても考慮し、その反対意見に対する反論(再反論)まで考慮しておけば、文章の論理性はさらに高まります。

あるいは、気づいていないだけで、世の中には反例があるかもしれません。そのような事態も想定しながら、修正を重ねていくことで、論証そのものに磨きがかかっていきます。

参考文献

論理的に書くためのルールブック

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル

非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?

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