「自分は意志が弱いなぁ……」「来年こそは……」。この時期、今年を振り返って、そのように自分を戒めている方もいるかもしれません。実にすばらしいことです。
しかし、もし昨年も同じことを考えていたとしたら、注意が必要です。なぜなら、問題の根幹にあるのはあなたの意志力ではなく、方法論かもしれないからです。
そこでこの記事では、「悪癖をやめる」「目標を達成する」際に活用できる、「論理と感情へのダブルアプローチ」をご紹介します。
「人を動かす」前に、自分を動かそう
組織に属していると、「人を動かす」能力を身につけたいと思うのは自然なことです。とくに仕事上の悩みは、人が動かないために生じていると言っても過言ではありません。
・部下が指示通りに動かない
・上司が提案を受理してくれない
・取引先が契約を結んでくれない
・外注先が望む仕事をしてくれない
これらはすべて、人が動かないために生じている問題です。部下も、上司も、取引先も、外注先も、あるいは事務員や受付嬢、あるいは合コンの相手から彼氏彼女、そして友人知人まで……。
ただ、人ひとり動かすのも大変です。もしこれらすべての人を思い通りに動かしたいのなら、人生の悩みは尽きることはないでしょう。
ではどうすればいいか。答えはひとつです。自分を変えること。つまり、「自分自身を動かす」のです。
なぜ自分が思い通りに動かないのか
そもそも、「やめたい悪癖がある」「達成したい目標がある」というのは、まさに、自分を変えることに他なりません。また、他人が動かなくて悩んでいるなら、悩んでいる自分自身を変えてしまえばいいのです。わざわざ他人を変えることに時間と労力を使う必要はありません。(時間も労力も使ってけっきょく変わらないのが他人ですから)
しかし、そのたびに失敗してしまう。三日坊主になってしまう。「なぜ、あれほど強く念じたのに失敗してしまうのか」、と。そうして、自分の意志の弱さをのろってしまう。ただ、意志が弱いことをなげいても、何もはじまりません。むしろ、自己評価を下げてしまうぶん、マイナスに作用する可能性もあるのです。
自分を「言うことを聞かない猟犬」だと考えてみよう
そこで、まずは、自分を「言うことを聞かない猟犬」だと考えることをオススメします。いざ獲物を目の前にすると、怖じ気づいて逃げてしまう。リードを引っ張れば引っ張るほど、その場にとどまろうとする。それが自分の姿だと思うのです。
たしかに見た目はよくないでしょう。でも、生物として、命の危険を感じたら逃げようとするのは当然です。間違ったことではありません。それをムリに戦わせようとしているのですから、かわいそうですよね。自分の意志もまた、同じではないでしょうか。
論理と感情のダブルアプローチとは
ただし、私たちには犬と違った能力もあります。それが「工夫すること」です。怖じ気づく心に対して、適切にアプローチするために。「論理と感情へのダブルアプローチ」をご紹介しましょう。
原理はカンタンです。過去、決意して挫折した経験を思い返してみてください。そのとき、どのように決意したでしょうか。おそらく、次の2タイプに分類できるかと思います。
1.論理的な決意
2.感情的な決意
「1.論理的な決意」とは、「お酒を飲みすぎたら肝臓に悪い→お酒をひかえよう」というもの。つまり、因果関係をもとに、ロジカルに思考した結果の決意です。
一方、「2.感情的な決意」とは、「お酒を飲み過ぎたら気持ちが悪くなる→お酒をひかえよう」というもの。つまり、イメージをもとに、感情的に思考した結果の決意です。
左脳派は感情から、右脳派は論理からアプローチするべし
とくに、左脳派(論理思考が得意)の人ほど、論理的に決意してしまいがちです。ボクはまさにこちらのタイプですが、ロジックに考えて決意した結果、感情に邪魔されてしまうことが多々ありました。つまり、感情へのアプローチが不足していたのです。
反対に、右脳派の方はイメージが得意です。ある意味においては、感情に配慮する人であるとも言えます。こうした人は、自分の感情をもとに決意することが多いのではないでしょうか。その場合には、論理的に物事を考えて、決意してみてください。
いずれの場合にも、大切なのは、「2つの側面からアプローチする」ということです。「悪癖をやめられない」「目標を達成できない」という方の多くは、おそらく「なぜ、論理的に正しいのにやめられないのか」「なぜ、達成したらうれしいのに続けられないのか」と思っているはずです。
実は、それが落とし穴です。そのように考えていると、裏を返せば
・論理的に正しいけれど、感情的にはしたくないからやめてしまおう
・感情的に正しいけれど、論理的(物理的)にできないからやめてしまおう
となってしまう可能性があるということです。そこで、「感情的にも意義がある」「論理的(物理的)にもやれる方法がある」と思い返すことで、それが二重のストッパーになります。
自分を管理できてはじめて周囲をリードできる
自分を管理できない人は、他人を動かせません。もっと言えば、自分を管理できてはじめて、他人をリードできるようになるのです。まずは、論理と感情の両面から、自分の心にアプローチしてみてください。
その次のステップは、もちろん、行動です。「論理(思考)・感情の矯正」と「行動の矯正」をくり返すことにより、それがあたり前になり(あたり前だと脳に認識され)、習慣となる。習慣となれば、やることが苦にならず、むしろやらないと苦痛を感じるようになります。
そのようにして自分が変わります。そう、人は変われるのです。
インターシフト
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