現状に満足してしまえば、それ以上の成長は望むべくもありません。かと言って、どこかしらで一定の満足を得ながら生きていかなければ、ストレスばかりが溜まってしまう。人生というのは、なんとも難しいものです。
新しい刺激を追い求めれば、新しい痛みがともなう。無菌室で暮らしていれば、あまりにも退屈で死んでしまう。結局のところ、どこかで思い切るか、あるいは何かをあきらめなければならない。単純に考えてもそうなんだから、できることなら、明日が最後かもしれないと挑戦し続けたいものです。
ただ、本当に明日が最後だと言われれば困ってしまうわけで。まじめにシュミレーションすればするほど、本物の覚悟を胸に抱きながら、なんとか今日のうちに明日の人生を変えなければならない。そういう結論にいたるわけです。そこで、ぼくが「明日から人生を変える3つの方法」を提案するのなら、以下のようになるでしょう。
- 苦手や恐怖を克服する
- 無意識をうたがう
- 凡人としての自覚をもつ
順番に説明していきましょう。
<1.苦手や恐怖を克服する>
だれにだって、苦手なことや恐怖に思うことが1つや2つある。なかには、10個とか20個とか、あるいは100個以上あるなんて人もいるかもしれない。とにかく、人生を変えたいと思うなら、それらを克服するしかない。
水がなければ死んでしまうかもしれないと、井の中にとどまっていては、いつまで経っても新しい世界を知ることはできないのです。自明の理ですね。たいていの人は「そんなことできっこない」「自分には才能がないから」などと、一生懸命、自分自身に言い訳をしてしまうのですが、必ずしも、そこで説得されてしまうことはないのです。なぜなら、明日が最後だから。
つまり、実感をともなうというのは、こういうことを言うのですね。あたり前の決断を、あたり前にしない。無理や不可能に、真っ向から挑んでいく。まあそうは言っても、やっぱり恐いですよね。ぼくの場合、文章を書くのは得意ですが、人前で話すのは死ぬほど苦手です。だからなるべく避けたい。
ただ、人生を変えるために、なんとか行動してみる。最初は簡単なことでもいいんです。「話術とはなんぞや」と本を読んでもいいですし、親しい友人を相手に「これが質問力じゃ!」と、いろいろな手法を試してみてもいい。まずは一歩踏み出すこと。敵を知れば、あんがい苦手や恐怖も取るに足らないもの、かもしれません。
<2.無意識をうたがう>
「常識をうたがう」という人は多いかもしれませんが、無意識をうたがう人はあまりいないのではないでしょうか。実は、これが結構楽しいんです。たとえば、歯磨きひとつとってみてもそう。今考えるととってもアホなことなんですが、ぼくは歯磨きをするとき、「必ず一回で磨ききらなければならない!」と、無意識に決めていたのですね。つまり、「歯ブラシをとる→歯磨き粉をつける→口をゆすぐ」というルーティンを、なぜか厳密に守っていた。ただただ無意識に。
でも、歯磨きをする目的って、ルーティンを守ることではありません。最終的に、虫歯や口臭を防ぐことが目的です。その目的を達成するためなら、何回歯磨き粉を付け直してもいいわけですし、何回口をゆすいだっていい。場合によっては、食事の回数にかかわらず、何度だって磨いていい。
目的をベースに考えれば、今まで自分に課していた無意識の制約がただの無意味なことだと気づく。これって、ある意味では人生が変わる体験となり得ます。なぜなら、目的ベースで「もっといいやり方はないか?」と、考えられるようになるのだから。とくに、時間やお金の使い方の面で、自分の無意識をあらためてみれば、より具体的に変化を感じ取ることができるでしょう。
<3.凡人としての自覚をもつ>
そして最後は「凡人としての自覚をもつ」ということ。べつに、誰もが自分を特別だと思っているとは言いませんが、凡人、あるいはそれ以下だと自覚している人は少ないのではないでしょうか。ぼくもかつてはそうでした。これはなにも、自尊心を失えと言っているのではありません。
凡人なんだから、「ダメでもともと、失敗してあたりまえ、できなくて当然」、と自覚することです。そして、そんな自分がいろいろなことに挑戦するのは、地位や名誉や権力を得ている人よりもよっぽどハードルが低い。だって、どうせ凡人なんですから。結果なんて誰も気にしちゃいません。
そもそも凡人は、周囲の人からとくだん注目されていません。なんとなく見られることはあっても、3秒経てば忘れられる。みんな自分のことに忙しいのです。凡人の一挙手一投足になんか、いちいち構っていられません。ためしに、群衆の只中で大声でも出してみてください。注目されるのはほんの一瞬のことで、すぐに気にされなくなりますよ。
ウジウジ考えて行動できないひとは、まず、自分を凡人として認めてあげることですね。べつに悲観することではありません。凡人が成功しないなんて、いったい誰が決めたんですか。
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