
「主観が強すぎます」「もっと客観的に書きましょう」——レポートでこんなコメントをもらったことはありませんか?
主観的すぎるレポートは「感想文」とみなされ、大幅に減点されます。 しかし、主観を完全に消す必要はありません。重要なのは「主観の見せ方」です。
この記事では、主観的すぎるレポートを客観的な学術文章に修正する具体的な方法を、20の例文と実践的なステップで解説します。今日からすぐに使えるリライトテクニックが満載です!
なぜ「主観的すぎる」レポートは減点されるのか?
大学レポートは「論理的説明」が求められる
大学のレポートは、あなたの「感想」や「印象」を書く場所ではありません。教授が求めているのは、事実やデータに基づいた論理的な分析です。
教授が評価するポイント
- ❌ 「私はこう思う」という個人的な感想
- ✅ 「このデータからこう言える」という根拠に基づいた主張
つまり、評価されるのはあなたの意見そのものではなく、その意見を裏づける根拠やデータを示せるかなのです。
主観的すぎると「感想文」になる
主観的な表現が多いレポートは、以下のように判断されます:
- 「事実と意見が区別できていない」
- 「データに基づいた分析ができていない」
- 「学術的思考力が不足している」
結果として、内容が良くても大幅に減点されることになります。
あなたのレポートは主観的すぎる?【5秒チェックリスト】
以下の項目に2つ以上当てはまる場合、あなたのレポートは主観的すぎる可能性があります。
主観的レポートの5つの特徴
| チェック項目 | 判定 |
|---|---|
| ☐ 「私は〜」「〜だと思う」「〜に感じた」が5回以上ある | 主観的すぎる |
| ☐ データや出典がほとんどない(3つ未満) | 根拠不足 |
| ☐ 感情的な表現(すごい・悲しい・素晴らしい)が多い | 評価語過多 |
| ☐ 「〜すべきだ」「〜に違いない」など断定的 | 主張が強すぎる |
| ☐ 自分の体験談や個人的エピソードが中心 | 客観性不足 |
2つ以上当てはまったら、今すぐリライトが必要です!
主観的表現を客観的に変える基本ルール
主観的なレポートを客観的にするには、「根拠」を追加することが最も効果的です。
ルール1:「〜だと思う」を「〜とされる」に変える
感想を述べる表現を、一般的事実を述べる表現に変更します。
修正例
| ❌ 主観的な表現 | ✅ 客観的な表現 |
|---|---|
| 私は地域交流が大切だと思う | 地域交流は高齢者の孤立を防ぐ効果があるとされる(総務省, 2023) |
| 環境問題は深刻だと感じる | 環境問題は国際的に深刻な課題として認識されている(IPCC, 2023) |
| SNSは便利だと思う | SNSは情報伝達の効率性において優位性があると評価されている |
ポイント: 「思う」「感じる」を「〜とされる」「〜が指摘されている」「〜と評価される」に置き換える。
ルール2:感情語を中立的な学術用語に置き換える
感情的な評価語を、客観的な分析用語に変換します。
修正例
| ❌ 感情的な表現 | ✅ 中立的な表現 |
|---|---|
| 〜はすごく重要だ | 〜は特に重要視されている |
| 〜は悲しい現実だ | 〜は社会的課題として認識されている |
| 〜は素晴らしい取り組みだ | 〜は効果的な施策として評価されている |
| 〜はひどい状況だ | 〜は深刻な問題として指摘されている |
| 〜が良いと思う | 〜が有効であるとされる |
ポイント: 「すごい」「悲しい」「素晴らしい」などの感情語を「重要」「課題」「効果的」「深刻」に変える。
ルール3:「私」を主語にせず、事実を主語にする
文の主語を「私」から「データ」「研究」「事実」に変更します。
修正例
| ❌ 私が主語 | ✅ 事実が主語 |
|---|---|
| 私はAが最も重要だと考える | Aは〜という理由から最も重要視されている |
| 私の経験から〜だと思う | 先行研究によれば〜と報告されている |
| 私は〜すべきだと主張する | 〜の必要性が複数の研究で指摘されている |
ポイント: 「私は」を削除し、「調査では」「研究によれば」「データから」などを主語にする。
【実践】主観的レポートを修正する3ステップ
具体的な修正手順を、実例とともに解説します。
ステップ1:主観的な表現を全て抽出する(5分)
Word/Googleドキュメントの検索機能(Ctrl+F)を使って、以下のキーワードを検索します。
検索すべき主観的表現
- 「私は」「私が」「私の」
- 「思う」「思います」「思われる」
- 「感じる」「感じた」
- 「〜べきだ」「〜べきである」
- 「すごい」「とても」「非常に」(程度を示す副詞)
これらをリストアップして、修正対象を明確にします。
ステップ2:根拠となるデータ・研究を探す(10分)
各主張に対して、裏付けとなる客観的情報を探します。
根拠の探し方
- Google Scholar(https://scholar.google.co.jp/)で論文検索
- 政府統計(総務省統計局、厚生労働省など)でデータ検索
- 信頼できるニュースサイト(NHK、大手新聞社)で事例検索
- 大学図書館のデータベースで学術文献検索
見つからない場合の対処法
- 「〜と考えられる」程度の控えめな表現に変更
- その主張を削除して、別の根拠のある主張に差し替える
ステップ3:文章を「事実+分析」の構文に組み替える(15分)
主観的な文を、以下のパターンに従って書き直します。
基本構文パターン
[事実・データ] + [接続詞] + [分析・解釈]
具体例:修正前→修正後
例1:SNSと孤独感
❌ 修正前(主観的)
私はSNSが若者の孤独を助けていると思う。
友達とつながれるのでとても良いと感じる。
✅ 修正後(客観的)
SNSは若者の孤独感を軽減する傾向があることが、
複数の研究で報告されている(山田, 2022; 佐藤, 2023)。
特に、オンライン上での共感的なコミュニケーションが
心理的サポート機能を果たすことが指摘されている。
一方で、過度な依存が対面コミュニケーション能力の
低下を招く可能性も示唆されており(田中, 2021)、
使用方法には注意が必要である。
改善ポイント
- 「私は〜思う」→「〜が報告されている」に変更
- 「とても良い」→具体的な効果(孤独感軽減)に変更
- 反対意見も併記してバランスを取る
- 出典を明記して客観性を担保
例2:環境問題の重要性
❌ 修正前(主観的)
環境問題は本当に深刻だと感じる。
私たちは今すぐ行動すべきだ。
✅ 修正後(客観的)
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書(2023)によれば、
地球温暖化は加速しており、今後10年間の対策が
決定的に重要であると指摘されている。
特に、産業部門でのCO2排出削減と
再生可能エネルギーへの転換が急務とされる。
改善ポイント
- 「深刻だと感じる」→具体的なデータ(IPCC報告)に置き換え
- 「すべきだ」→「〜が急務とされる」に変更
- 具体的な対策内容を追加
例3:教育の意義
❌ 修正前(主観的)
教育は人生で最も大切なものだと私は考える。
教育を受けることで幸せになれると思う。
✅ 修正後(客観的)
教育が個人の生涯所得や社会的地位に
大きな影響を与えることは、数多くの実証研究で
明らかにされている(OECD, 2022)。
特に、高等教育を受けた者は、
受けていない者と比較して平均生涯所得が
約1.5倍高いというデータもある(厚生労働省, 2021)。
このことから、教育投資の経済的・社会的意義は大きいと言える。
改善ポイント
- 「最も大切」→具体的な影響(所得、社会的地位)に変更
- 「幸せになれる」→測定可能な指標(生涯所得)に置き換え
- 数値データで客観性を強化
主観的表現→客観的表現:置き換えリスト20選
そのまま使える置き換え表現を一覧にしました。
意見・評価の表現
| ❌ 主観的表現 | ✅ 客観的表現 |
|---|---|
| 1. 私は〜だと思う | 〜と考えられる / 〜とされる / 〜が指摘されている |
| 2. 〜すべきだ | 〜の必要性が指摘されている / 〜が求められる |
| 3. 〜に違いない | 〜の可能性が高い / 〜と推測される |
| 4. 明らかに〜だ | 〜であることが明らかになっている |
| 5. 絶対に〜だ | 〜である蓋然性が高い / 一般的に〜とされる |
感情・評価の表現
| ❌ 主観的表現 | ✅ 客観的表現 |
|---|---|
| 6. すごく重要だ | 特に重要視されている / 重要な位置を占める |
| 7. とても良い | 効果的である / 有効性が認められる |
| 8. 素晴らしい | 高く評価されている / 優れた成果を示している |
| 9. ひどい状況だ | 深刻な状況にある / 問題が顕在化している |
| 10. 悲しい現実だ | 憂慮すべき状況である / 課題として認識されている |
体験・感覚の表現
| ❌ 主観的表現 | ✅ 客観的表現 |
|---|---|
| 11. 私の経験では | 事例研究によれば / 先行研究では |
| 12. 〜に感じた | 〜という印象を受ける / 〜と認識される |
| 13. 実感する | データから確認できる / 観察される |
| 14. 〜が好きだ | 〜に対する関心が高い / 〜が支持されている |
| 15. 心配だ | 懸念される / リスクが指摘されている |
推測・憶測の表現
| ❌ 主観的表現 | ✅ 客観的表現 |
|---|---|
| 16. たぶん〜だろう | 〜の可能性が示唆される / 〜と推測される |
| 17. 〜かもしれない | 〜の可能性がある / 〜が考えられる |
| 18. きっと〜だ | 〜と考えるのが妥当である / 〜が予想される |
| 19. 〜だと言える | 〜であることが明らかである / 〜と結論づけられる |
| 20. 当然〜だ | 〜は一般的に認識されている / 〜は広く受け入れられている |
「主観ゼロ」は間違い!正しい主観の見せ方
誤解:主観を完全に消さなければならない
これは間違いです。 大学レポートでも、あなたの意見や考察は必要です。
正解:主観を「根拠に基づいた分析」として表現する
重要なのは、主観を「感想」ではなく「分析」として見せることです。
良い主観の使い方
【悪い例:感想】
私は環境問題に関心がある。
【良い例:分析】
環境問題は個人の生活習慣と密接に関わるため、
日常的な関心事として重要性が高いと考えられる。
実際、環境意識の高い個人ほど、
持続可能な消費行動を取る傾向があることが報告されている(Green, 2022)。
ポイント: 自分の意見を述べる場合も、必ず根拠や先行研究とセットにする。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「〜と考えられる」も主観的ではないですか?
いいえ。「〜と考えられる」は学術文章で広く使われる表現で、客観的な推論を示します。「私は〜と思う」とは異なり、一般的な論理に基づいた判断を表しています。
Q2. 全ての文に出典をつける必要がありますか?
いいえ。一般的に知られている事実や常識については出典不要です。ただし、統計データや専門的な主張には必ず出典をつけましょう。
Q3. 「私」という言葉は一切使ってはいけませんか?
いいえ。「考察」のパートでは「本研究では〜と考える」のように使うことは許容されます。ただし、「私は〜が好き」「私は〜だと思う」のような感想は避けましょう。
Q4. 出典が見つからない主張はどうすればいいですか?
以下の対処法があります:
- 「〜と考えられる」など控えめな表現に変更
- その主張を削除する
- 別の根拠のある主張に差し替える
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まとめ:主観を活かして論理的に書く
主観的すぎるレポートも、適切なリライトで高評価レポートに変わります。
この記事の重要ポイント
- 「〜だと思う」を「〜とされる」に変えるだけで印象が変わる
- 感情語を「課題」「効果」「傾向」などの中立語に置き換える
- 主観は「根拠+分析」の形で表現する
- 必ず出典を1つ以上引用して客観性を担保する
教授が求めているのは、あなたの感想ではなく、根拠に基づいたあなたの分析です。 このテクニックを使って、今日から客観的で説得力のあるレポートを書きましょう!
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