書籍ライターとして10年、私が担当した代表作とその舞台裏

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書籍原稿の構成メモに向き合うライターの手元とノートPC。プロの書籍ライターとしてのリアルな制作風景を切り取った一枚。

「この本、誰が書いたんだろう?」

書店で手に取ったビジネス書や自伝本を読みながら、そう思ったことはありませんか?著者名は表紙に大きく書かれているものの、実は「もう一人の書き手」が存在することも少なくありません。それが書籍ライター(ゴーストライター)です。

書籍ライターとして10年以上、100冊以上の書籍制作に携わってきた私が、これまで担当した代表的な作品とその制作裏話をお伝えします。「実際にどんな仕事をしているの?」「どうやって著者の想いを本にするの?」そんな疑問にお答えしながら、書籍制作の舞台裏をリアルに描いてみたいと思います。

書籍ライターの役割とは?意外と知られていない仕事の全体像

書籍ライターは、主にビジネス書・実用書・自伝・対談本などの分野で、著者に代わって執筆・構成・編集を行う職業です。依頼主は企業経営者、専門家、タレント、医師、研究者など多岐にわたります。

彼らには豊富な知識や経験があっても、それを「読みやすい本」にする時間やスキルが不足していることがほとんど。そこで私たち書籍ライターが入り、著者の想いを読者に届けるのです。

具体的な業務内容

取材・ヒアリング 著者との面談を複数回実施し、考えや体験を深掘りします。1回2〜3時間、通常3〜6回程度行います。

構成設計 取材内容をもとに全体の流れを設計。章立て、各章の内容、読者が理解しやすい順序を組み立てます。

執筆 構成に沿って本文を執筆。著者の語り口調や専門性のレベルに合わせて文体を調整します。

編集者との調整 出版社の編集者と連携し、市場性や読者層を意識した内容調整を行います。

校正・修正対応 初稿提出後の修正要請や校正作業にも対応します。

案件によって関与度は異なりますが、著者の頭の中にある「伝えたいこと」を本という形に落とし込むのが私たちの役割です。

担当した代表作の紹介:3つの事例から見る制作の実际

これまで担当した100冊以上の中から、特に印象深い3冊をご紹介します。それぞれ異なるジャンル・手法で制作しており、書籍ライターの仕事の幅広さを感じていただけるかと思います。

事例1:上場企業創業者の自伝本「継承される想い」

概要 建材販売会社の2代目社長による自伝。引退を機に「経営哲学を次世代に残したい」という想いから企画がスタートしました。

制作データ

  • 制作期間:取材4回(各3時間)+ 執筆3ヶ月
  • ページ数:220ページ
  • 出版社:地方出版社
  • 販売部数:初版3,000部→重版により計5,000部

制作のポイント 単なる成功談ではなく、家族間の葛藤や事業継承での苦悩も含めて描くことで、読み物としての深みを持たせました。社員への追加取材も実施し、「経営者の人間性」が伝わる構成にしています。

苦労した点 創業時の詳細な記録が残っておらず、当時を知る古参社員や取引先への聞き取りが必要でした。また、家族間のデリケートな話題もあり、どこまで書くか著者・編集者と慎重に調整しました。

成果 地元新聞での書評掲載、全国書店での流通を実現。何より著者から「自分の想いが正確に伝わる本になった」と喜んでいただけました。

事例2:YouTuber「〇〇チャンネル」のメソッド本

概要 登録者数120万人のビジネス系YouTuberによる、動画制作・マーケティング手法をまとめた実用書です。

制作データ

  • 制作期間:リモート取材6回 + 構成・執筆2ヶ月
  • ページ数:180ページ
  • 出版社:大手ビジネス書版社
  • 販売部数:初版で完売、現在3刷

制作のポイント 著者が「文章化が苦手」ということで、全編を対談形式で構成。YouTubeでの話し方の特徴を活かしながら、書籍として読みやすい文体に調整しました。

工夫した点 単なる動画制作テクニックではなく、「なぜその手法を選ぶのか」という思考プロセスを重視。読者が応用できるような内容設計を心がけました。

成果 SNSでの拡散効果もあり、発売1週間でAmazonランキング上位入り。著者の次作執筆も決定し、継続的な関係を築けています。

事例3:専門医による医療エッセイ「患者さんから教わったこと」

概要 総合病院の内科医が、30年の臨床経験から得た「医療と人生」について綴ったエッセイ集です。

制作データ

  • 制作期間:月1回の取材を6ヶ月 + 執筆4ヶ月
  • ページ数:200ページ
  • 出版社:医学系出版社
  • 販売部数:医療従事者を中心に2,000部

制作のポイント 医学的正確性を保ちながら、一般読者にも理解できる表現に調整。患者さんのエピソードは個人情報に十分配慮した記述にしました。

特徴的だった点 著者の感情表現が豊かで、「泣きながら話す」場面も多々ありました。その感情の温度感をいかに文章で表現するかが腕の見せ所でした。

成果 医療関係者だけでなく、患者家族からも多くの感想をいただき、著者の診療へのモチベーション向上にもつながったそうです。

書籍ライターの現場で求められる5つのスキル

10年間の経験から、書籍ライターに必要なスキルを整理してみました。単に「文章が書ける」だけでは務まらない、奥深い仕事だと実感しています。

1. 傾聴力と要約力

著者の話は往々にして脱線し、時系列が前後し、同じ話が繰り返されます。その中から本質を見抜き、整理する力が不可欠です。

私は取材中、「発言内容」と「言外の想い」を分けてメモを取ります。後者こそが、読者の心に響く文章の源泉になるからです。

2. 構成・設計力

書籍の成否は構成で決まります。読者の関心を引く導入、論理的な展開、印象的な結論まで、全体を見通して設計する力が求められます。

私は必ず初回取材後に「仮構成」を作成し、著者・編集者との三者でブラッシュアップします。この工程を怠ると、後々大幅な修正が必要になります。

3. 文体調整力

著者の性格、専門分野、ターゲット読者に応じて、最適な文体を選択する必要があります。硬めのビジネス書調から、親しみやすいエッセイ調まで幅広く対応できることが重要です。

4. コミュニケーション力

忙しい著者から短時間で最大の情報を引き出すには、事前準備と臨機応変な対応が必要です。また、編集者との役割分担を明確にし、プロジェクト全体を円滑に進める調整力も欠かせません。

5. 専門知識の吸収力

医療、法律、IT、経営など、様々な分野の書籍を手がけるため、短期間で専門知識を身につける学習力が必要です。表面的な理解では、深みのある文章は書けません。

高単価案件を継続的に獲得するための3つの工夫

書籍ライターとして安定的に収入を得るには、単価向上と継続受注が重要です。私が実践している工夫をご紹介します。

ポートフォリオの戦略的活用

実績は単にタイトルを並べるだけでなく、「どんな課題をどう解決したか」まで示すことが重要です。私のWebサイトでは、ジャンル別に実績を整理し、それぞれに簡単な制作秘話も添えています。

専門分野の確立

「何でも書きます」より「この分野なら任せて」の方が、高単価案件につながります。私は経営者系の書籍を多く手がけることで、「経営書に強いライター」としてのポジションを確立しました。

長期関係の構築

一度良い仕事をすれば、同じ編集者や出版社から継続的に依頼が来ます。納期厳守、柔軟な対応、品質の安定性を心がけることで、「安心して任せられるライター」として認識してもらっています。

書籍ライターを目指す方へ:実践的なスタートガイド

「書籍ライターになりたいけど、どこから始めれば?」という相談をよく受けます。私の経験をもとに、現実的なステップをお伝えします。

最初の1冊は「身近なところ」から

私の初仕事は、知人の税理士からの依頼でした。マネー系実用書の執筆で、制作会社経由での出版でした。「誰かの紹介」「小さな案件」でも、まずは実績を作ることが重要です。

必要な準備

ポートフォリオサイトの構築 書籍ライターは実績が命です。関わった書籍の表紙画像、担当範囲、出版社名を整理したページを作成しましょう。

取材スキルの向上 インタビュー経験がない方は、地域の経営者や専門家にインタビューをお願いし、記事として公開する練習をおすすめします。

編集者とのネットワーク構築 出版業界のイベントやセミナーに参加し、編集者との接点を作ることが案件獲得の近道です。

収入の目安

参考までに、書籍ライターの収入目安をお伝えします:

  • 構成協力のみ:10〜30万円
  • 部分執筆:30〜80万円
  • 全編執筆:80〜200万円
  • 有名著者・大手出版社:200万円以上

ただし、制作期間やページ数、出版社の規模によって大きく変動します。

まとめ:書籍ライターという仕事に込める想い

表紙に名前が載ることはない書籍ライターですが、著者の想いを読者に届ける架け橋として、確かな価値を提供できる仕事だと確信しています。

「自分の経験を本にしたい」「専門知識を多くの人に伝えたい」——そんな著者の想いに寄り添い、形にするお手伝いができることに、10年経った今でもやりがいを感じています。

これから書籍ライターを目指す方、すでに活動されている方にとって、この記事が「リアルな現場」を知る参考になれば幸いです。

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