本稿では、近畿大学図書館司書コースの「図書・図書館史[’19-’20]」における、合格レポートを紹介しています。
※内容をそのままコピー&ペーストするのは厳禁です。あくまでも、解答例および書き方の参考にしてください。
設題
設題は次のとおりです。
日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度)を述べてください。(2,000字)
レポート作成上の留意事項・ポイント
・テキストをよく読んで、各時代の概要(特徴)をまとめてください。
・各時代の図書館の役割を考察してください。
・情報伝達媒体や図書館利用者の変化に注目してください。
総評基準についてのメッセージ
・具体的、簡潔に要点が整理されているか。
・各時代のバランスがよいか。
・図書館の存立を支えてきた歴史的社会背景にも注目しているか。
合格レポート
1.序論
本論では、西洋における図書館の歴史を、古代、中世、近世、近代以降に分類し、それぞれの概要と役割、利用者、情報伝達媒体の変化に着目しつつ論じていく。
2.西洋における図書館発展の特徴
・古代
世界最古の図書館は、メソポタミアの古代アリッシアの首都ニネヴァにある王室図書館である。ここでは20人以上の専門職員が粘土板の図書を管理し、主題別に分類されていたことから、体系的な文献収集が行われていたのがわかる。
一方、エジプトの北部、ナイル川のデルタ地帯に建設されたアレクサンドリア図書館は、知識の生産所や学問のメッカとして知られていた。収集されたパピルスの巻軸図書は10万巻にも達し、ギリシャ文化の保護と発展に貢献した。加えて、目録の編成や辞書類の編集、資料の保存、研究なども行われていた。
その他、パーチメント(羊皮紙)を書写材料として使用したペルガモンの図書館では、パピルスのような巻物ではなく、冊子形式で保管されていた。蔵書は実に20万巻以上あったといわれている。さらに、10万巻というキリスト教に関する大量の資料を収集し、一般に公開していたウルピアノ図書館は、貴族も奴隷も一緒に利用することができた。
・中世
中世の図書館で特筆すべきなのは、キリスト教会の修道院に付随した修道院図書館であろう。たとえば、6世紀に聖ベネディクトが創設したモンテ・カシーノ修道院図書館では、ギリシャ・ラテンの古典文学を含む多数の写本が収集されていた。修道院は図書生産の中心であり、文化保存の場でもあったのだ。古代ギリシャの文化遺産の承継にも大きな役割を果たしている。
また、イタリア南部のカラブリヤに建てられたヴィヴァリウム修道院図書館は、宗教・非宗教を問わず、あらゆる図書が収集されていた。宗教外の著作についても、写本を作ることが義務付けられていたのである。
修道院図書館では、図書を専門に扱う人が置かれるようになり、図書の整理や貸し出し、保存なども行われ、また書写によって出版社としての機能も兼ねていた。12世紀の大学出現まで、教育の橋渡しとして機能していた点も見逃せない。
・近世
近世は、書写から刊本の時代であった。ヨハン・グーテンベルクによって発明された活版印刷術は、図書館に隣接していた書写室の消滅につながった。活版印刷術の発明が、宗教改革によってもたらされたという見方もある。たとえば宗教改革運動を推進したマルチン・ルターも、大学図書館で1冊の聖書を見つけたことをきっかけに、自らの著書を次々と出版するに至っている。
また、修道院図書館の多くは宗教戦争によって破壊され、やがて町の市立図書館となった。ドイツのニュルンベルクやフランクフルト、リューベック、ハンブルクなどの市立図書館がその代表例である。これらは王侯たちの文庫となり、後に大学図書館へと発展した。
加えて、16、17世紀には、新教の教会図書館も出現した。これらは、修道院図書館とは趣を異にしており、布教を目的とした通俗図書館として人々に利用された。
・近代以降
近代以降、世界各国で図書館文化が根付いていった。
フランスでは、フランソワ1世の代になり、フランス王室図書館の基礎が確立された。フランソワ1世は文庫の強化に努め、1537年のモンペリエ勅令によって納本制度を開始した。この王室図書館は、後にフランス国立図書館として発展していく。17世紀以降になると学生に公開され、図書は広く一般に公開すべきという公共性の認識が広まるとともに、新しい市立図書館も設立されていった。
またイギリスでは、1650年に王室図書館の司書であるジョン・デューリーが図書館学に関する小冊子を出し、当時としては斬新的な考えを述べた。1662年には納本制が定められ、王室文庫は1万冊に達した。1759年には大英博物館の一般公開がはじまり、当時の議会の法令では、図書館の基本的な原則が述べられている。また18世紀後半になると、会員制図書館が登場し、職工学校の図書館とともに、無料公共図書館が制度化されるまでの先駆的存在となった。
3.結論
本論では、西洋における図書館の歴史を、古代、中世、近代、近代以降に分類し、それぞれの特徴について論じてきた。時代ごとに、使用されていた情報伝達媒体や利用者などに変化があった一方、資料の整理、収集、記録、さらには後世への伝達という意味においては、現代の図書館と変わらない。また、研究と学習をより深めるべく、図書館が利用されていたという点においても同様だ。
加えて、さまざまな情報媒体で記録された図書が、人々の精神を豊かにしてきたことも現代と同じである。情報の保存や記録、宗教上の理由など実務的な部分も多く担ってきた図書館だが、そこに人が集い、知の探究という人類普遍の営みに身を投じていたことを考えると、根源的な欲求に裏付けされた人類の有り様が見て取れる。そこに、脈々と続く図書館の意義と価値が詰まっているのだ。
文字数 2039文字
参考文献
綿拔豊昭『図書・図書館史』学文社,2014
千錫烈編著『図書・図書館史』学文社,2014
レポート作成のヒント
レポートを作成する際には、以下の点に留意しています。
1.構成を決める
レポートの構成は、「序論」「本論」「結論」が基本となるため、次のように組み立てています。
1.序論:本論でふれる図書館史の概要について
2.本論:古代、中世、近世、近代以降の図書館史
3.結論: 本論でまとめた内容に対する、筆者の主張や批判
2.テキストの該当箇所を自分の言葉でまとめる
テキストを中心に、古代、中世、近世、近代以降の図書館史についてまとめました。
まとめる際には、各時代の特徴と図書館の役割、情報伝達媒体や図書館利用者に着目しています。
3.必要に応じて参考書等を使用する
テキストだけでは不十分だと思われる部分に関しては、参考書籍を参照しました。
とくに、図書館の歴史的・社会的背景について、参考書を中心にまとめています。
キーワード
本設題の場合、次のようなキーワードが挙げられます。これらの言葉に着目しつつ、まとめていく必要があるかと思われます。
・王室図書館
・ キリスト教会の修道院
・ 活版印刷術
・ 会員制図書館
参考文献
図書・図書館史 (JLA図書館情報学テキストシリーズ 3-11)
図書・図書館史―此処に無知終わり,「知」始まる (実践図書館情報学シリーズ)
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