自衛官(自衛隊)にとって、乗り越えなければならないものに「試験」があります。とくに、体力や精神力には自信があるという方でも、まとまった文章を書かなければならない「作文試験」はどうも苦手、という人も多いのではないでしょうか。
とくに、これまで文章の書き方を学んでこなかった人にとって、自衛官候補生や一般曹候補生の作文試験は憂鬱ですよね。そこで今回は、結果を出したい自衛官(自衛隊)候補生向けの“作文の書き方”をご紹介しましょう。良い作文を書くのに、文才は必要ありませんよ。
作文試験の目的とは
そもそも、自衛官候補生に求められる作文試験の目的とはなんでしょうか。簡単に言うと、「自衛官の任務をこなすために必要な作文スキル(明確にかつ論理的に文章を書く能力)があるかどうかをチェックすること」となります。そのために必要なのは、作文を書くための基本ルールを知ることです。
目的を理解すれば、書くべき内容もおのずと決まってくるとわかります。つまり、「原稿用紙の使い方」や「句読点の打ち方」など、基本的な文章作成スキルをきちんと身につけておくこと。それが、自衛官作文試験の目的にあった文章の書き方となります。
具体的なポイントとしては、「作文の基本ルールを守る」「求められた文字数で書く」「読み手を意識する」の3点です。これらのポイントを意識しつつ、箇条書きや単なる感想文になってしまわないよう注意し、試験管を納得させる作文を書きましょう。
日頃の情報収集がものを言う
自衛官試験に求められる作文に書くべき内容を理解するとともに、大切なのが、日頃の情報収集です。できることなら、普段から自分なりの情報網を構築しておき、意識することなくインプットできる体制を整えておくといいですね。
短時間で情報を収集したいという場合には、信頼でき、かつ有益な情報を配信している媒体を厳選することが大切です。たとえば朝日新聞の電子版サービス「朝日新聞デジタル」 などは、基本の情報ソースとなるでしょう。
また、定量データについては、政府や各機関が公表している統計データをチェックすることをオススメします。こちらの記事に、使えるサイトをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。数字を使うと説得力も高まります。
作文を書くための3つのステップ
それでは実際に、自衛官試験の作文を書く際の手順について見ていきましょう。作文を書く手順には、大きく次の3ステップがあります。
1.作文の基本ルールを知る
最初に、作文の前提となる基本ルールについて理解しておきましょう。具体的には、「原稿用紙の使い方」「句読点の打ち方」「改行の仕方」「一文一意の原則」などを確認しておくようにしてください。
これらはあくまでも、作文を書くための基本となります。つまり、内容の善し悪しではなく、その前提としての基礎知識です。ただ、基礎がなっていなければ評価は下がります。だからこそ、まずは基本をマスターしましょう。
以下のページに、それぞれの内容をわかりやすくまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
※その他、文章の基礎知識についてはコチラ
2.よく問われるテーマについて勉強する
次に、自衛官の作文試験でよく問われるテーマについて確認しておきましょう。よく問われるテーマには、主に、次のようなものが挙げられます。(『自衛官作文試験対策問題集』参照)
- 自分のこと
- 社会問題
- 国際問題
- 自衛官の職務
これらの項目を参考に、それぞれについての知識を入手しつつ、「自分についてどう書くか?」「社会問題についてどう考えているか?」などを普段から考えておきましょう。それが、作文の質を向上させてくれます。
3.作文の構成を理解する
「作文の基本ルール」と「よく問われるテーマ」について理解したら、次に、基本となる作文の構成について学びましょう。作文の構成には基本形がありますので、事項で詳しく見ていきましょう。
作文の基本的な構成を知ろう
作文の基本的な構成は「起承転結」の四段構成となります。文章の構成には起承転結以外にも「序破急」や「三段構成」などがありますが、作文試験には馴染みにくいため「起承転結」を使うようにしてください。
それぞれのパートに盛り込みたい内容は次のとおりです。
起:どのようなテーマについて書くのかを示す(導入)
承:テーマについての具体的な内容について書く(本題)
転:「承」の内容を転換させる(トラブル→解決)
結:全体の締めくくり(まとめ)
「起」ではシンプルに、そして簡潔に、その作文がどのような内容について述べているのかを書きます。たとえば自分のことについて書くのなら「かつて野球部に所属していた」「人を助けたことがある」などが挙げられます。
「承」では、「起」で示したテーマについて具体的に掘り下げていきます。たとえば、「私が野球部に所属していた高校生の頃、日々、厳しい練習に明け暮れていた。辞めたいと思ったことは何度もある」などです。
「転」では、「承」の内容を受けてとくに伝えたい内容について書いていきます。たとえば、「しかしあるとき監督から「◯◯」と言われ、その言葉に感銘を受けてからは、どんなに辛いことでも乗り越えられた」などです。
最後の「結」では、これまでの内容を踏まえて、どのような学びや気付きを得たのかを書いていきます。たとえば、「私は自衛官の活動においても、同様の志を持って、どのような困難でも乗り越える所存である」などと結びます。
作文のひな型・テンプレート
作文の基本構成をふまえて、実際に文章を組み立てていきましょう。文頭から順番にみると、次のようになります。
①起
私はかつて野球部に所属していた。②承
野球部に所属していた高校時代、日々、厳しい練習に明け暮れていた。辞めたいと思ったことは何度もある。③転
しかし、あるとき監督から「◯◯」と言われ、その言葉に感銘を受けてからは、どんなに辛いことでも乗り越えられた。④結
私は自衛官の活動においても、同様の志を持ち、どのような困難でも乗り越える所存である。
長い作文の場合、具体的なエピソードをいくつか羅列しながら、より詳しく説明しても構いません。「起承転結」という四段構成を軸に、できるだけわかりやすくシンプルにまとめましょう。
「おっ!」と言わせるテクニック
次に、文章をプロっぽくみせるテクニックをご紹介しましょう。それは「漢字をひらく」ことです。漢字をひらくとは、漢字をひらがなにすることですね。とくにパソコンで文章を書いていると、なんでもかんでも漢字にしてしまう人がいますが、それでは視認性が低くなってしまいます。
たとえば、「事(こと)」「丁度(ちょうど)」「何故(なぜ)」「殆ど(ほとんど)」「頂く(いただく)」「諦める(あきらめる)」「下さい(ください)」「致します(いたします)」などですね。間違いではありませんが、視認性を高めるにはひらくことをオススメします。詳しくは漢字とひらがなのベストバランスをご覧ください。
慣れてくれば、文章全体の漢字とかなのバランスを考慮して、“ひらく”か“ひらかない”かの判断をしてもいいでしょう。ただし、同じ用語を一部で漢字にしたり、一部でひらがなにするようなことは避けるべきです。常用漢字か常用外漢字かについては、辞書もチェックしてみてください。
(ひらく漢字については、こちらの表も参考にしてみてください:『ハフィントンポスト』)
論理的な文章を書くための材料を探そう
より知的で論理的な作文を書くためには、幅広い知識や知見が必要となります。それほど専門的な内容ではない作文ではそこまで求められないかもしれませんが、できることなら教養を身につける努力もしておきましょう。
また、各界の権威によって提唱されている理論などは、文章の論理性を高めるために、おおいに活用できます。たとえば、書籍から幅広い教養を得てみてはいかがでしょうか。
『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』
世界のエリートが学んでいる知識を応用するのもいいでしょう。
身につけた知識や理論をレポートに応用するためには、論理的な文章である「論文の書き方」についてまとめている書籍を参照するのも有効です。
作文の質を高めるために活用できるサイト
作文の基本やテクニックを身につけたら、あとは周囲との差別化です。作文の結果を左右するのは、「①基本的なスキルをマスターしていること」「②評価されるだけの素養を身につけていること」そして「③周囲との違いを強調できていること」が重要です。
自衛官の世界は競争の連続です。日々の活動の先にあるのは、受験戦争さながらの競争環境です。そこでは、基本と応用だけでなく、違いを明確にしてアピールする必要があります。
では、どうすれば周囲との差別化ができるのか。ポイントは、他人とは異なる情報を得ていることです。そのためには、周囲が閲覧していない情報ソースをウォッチし、フルに活用すること。それが差別化につながります。
たとえば、朝日新聞デジタルなどの新聞を活用すれば、日常的な情報からさらに深掘りした情報まで入手することができます。
また、実際に活躍するプロからの情報を得られるのが、ワークショップが1400件以上 ストリートアカデミー です。1次情報を得るには、直接おそわるのがいちばんです。
その他、インターネット広告やネットショップ、オウンドメディア、営業支援、顧客管理ツールの導入に関してはIT開発関連書とビジネス書が豊富な翔泳社の通販『SEshop』、新興市場の情報については新興市場ドットコム など、ニッチなサイトをチェックしておくのもいいでしょう。
もちろん王道として、内閣府のページや国の統計、各種白書などをチェックすることも忘れないようにしてください。
作文の作成はプロへの依頼も考慮して
どうしても作文を自分で書けないという方は、クラウドソーシングを利用して、プロに見本を書いてもらいましょう。たとえばココナラなら、ワンコインから文章作成を依頼することができます。
より専門的な作文を依頼したい場合には、最大手のクラウドワークスやランサーズ 、Bizseekがオススメです。ただし、プロに書いてもらったものをそのまま提出するのは止めましょう。
反対に、身につけた作文のスキルでお小遣いを稼ぎたいという場合には、受注側になることも可能です。その場合には上記のサービスに加えて、【チームワーカーズ】などを活用しましょう。
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