「わかってもらう」ための説明スキル。誰かを動かすためには、そのような“理解してもらうための”コミュニケーション能力が問われることとなります。
では、どうすれば理解を促すような説明ができるのでしょうか。自分が理解することはできても、相手に理解してもらうのは……。という人も多いことでしょう。
そこで、本書『東大院生が開発! 頭のいい説明は型で決まる』から、「わかってもらう」を実現するための型を紹介しましょう。具体的には、7つのステップから構成されています。
わかってもらえない3つの原因
本書では、わかってもらうことの前提として、“わかってもらえない3つの原因”が紹介されています。次のとおりです。
1.相手が聴く姿勢をとれていない
2.そもそも自分自身が内容をよく理解していない
3.相手のもっている知識を自分が把握していない
このことからも明らかなように、相手の聞く姿勢、自分の理解、そして相手の知識を把握することが、わかる説明をするための近道となるわけです。
そして、そのための手法が7つのステップとなります。
「わかってもらう」を実現するための7ステップ
本書で紹介されている、わかってもらう説明の7ステップについて見ていきましょう。本書では、英語の頭文字をとって「IKPOLET法」と名付けられています。
1.興味をひく(Interest)
2.聴き手のもっている知識や認識にアクセスする(Knowledge)
3.目的を示す(Purpose)
4.大枠を見せる(Outline)
5.つなげる(Link)
6.具体化、事例、証拠を示す(Embodiments,Example,Evidence)
7.転移(Transfer)
それぞれの概要は以下のとおりです。
1.興味をひく(Interest)
説明の冒頭では、人間なら誰もがもつ“欲”や“恐怖”を刺激します。そうすることで、聴き手の姿勢をこちらに向けることができるようになります。
「これがわかると、こんなことができるようになるんです!」
「これをわかっていないと、こんな悲惨な結果になってしまいます」
2.聴き手のもっている知識や認識にアクセスする(Knowledge)
実際の説明では、相手がわかるレベルを確認したうえで、理解してもらえるよう噛み砕いて説明します。また、専門用語や業界用語はできるだけ使わないようにします。
「○○についてご存知ですか?」
「○○についてあなたが知っていることを教えてくれますか?」
3.目的を示す(Purpose)
説明をより理解してもらうためには、目的を示すのが効果的です。目的を示し、共有することで、お互いのベクトルを合わせることができます。
「これは○○するために必要なことなんです」
「この目的は○○だから、そのためにはこうやればいいんだよ」
4.大枠を見せる(Outline)
とくに込み入った説明をしなければならないときには、先に、話全体の大枠を提示しておきます。そうすることで、説明の輪郭をイメージしてもらえます。
「今から○○についてお話しします」
「いま話している○○は、全体のここに該当します」
5.つなげる(Link)
説明するとき、別の話と関連付けることで、より理解が促されます。これは、本能的に関連付けたがる人間の性質を利用した手法です。
「これとこれは、こんな関係があります」
「○○の原因は□□です」
6.具体化、事例、証拠を示す(Embodiments,Example,Evidence)
難易度の高い説明や、抽象的な話を理解してもらうためには、具体例をあげて説明すると効果的です。事例や証拠を提示するようにしましょう。
「具体的に言うと……」
「たとえば……」
7.転移(Transfer)
転移とは、教えた内容が、別のところでも使えると理解してもらうことを指します。そうすることで、多面的に理解してもらえるだけでなく、聴き手は理解し直す手間が省けます。
「実はこの考え方って、こっちでも使えるんだよ」
「この考え方を○○にあてはめると……」
まとめ
あらためて、本書で紹介されている、「わかってもらう」を実現するための7ステップについて確認しておきましょう。次のとおりです。
1.興味をひく(Interest)
2.聴き手のもっている知識や認識にアクセスする(Knowledge)
3.目的を示す(Purpose)
4.大枠を見せる(Outline)
5.つなげる(Link)
6.具体化、事例、証拠を示す(Embodiments,Example,Evidence)
7.転移(Transfer)
実際に活用する際には、これらすべての項目をひとつずつ踏んでいくというよりは、全体として、流れをイメージしておいたほうが良さそうです。
冒頭で興味をひきつつ相手の認識を理解し、目的や大枠を提示したうえで、具体的に理解を促していく。そして、転移によってその価値を感じてもらう、という流れです。
本書では、これら7つのステップに加えて、わかってもらうためのテクニックがたくさん紹介されています。興味がある方は、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。