起業を検討する際、欠かせないのが「資金調達」についてです。ただ、かつてのように、必ずしも起業には資金が必要ないのが実情です。たとえば、パソコンさえあれば仕事ができるビジネスであれば、自己資金だけで起業することも可能です。
こちらの記事では、そんな資金調達と起業の分類について解説しています。
資金調達の有無と起業の分類
起業を資金調達という側面からみると、次の2つに分類されます。
①資金調達が必要な起業
②資金調達がいらない起業
「①資金調達が必要な起業」というのは、従来型の起業です。店舗、オフィス、設備投資をはじめとする初期投資(イニシャルコスト)や、研究開発費、採用、広告費などをかけ、ビジネスの急速な拡大を目指す場合です。いわゆるベンチャー、スタートアップ型の起業となります。
一方、「②資金調達がいらない起業」というのは、インターネットが普及した90年代ごろから生まれた起業のかたちです。製品や設備などを用意する必要がなく、生産や在庫管理などのノウハウも不要。そのため、経営管理の知識や減価償却の計算も必要ありません。いわゆるフリーランス、個人事業主、ひとり経営者型の起業となります。
立ち位置で変わる投資家・金融機関との関係
資金調達の有無による起業の分類において、もっとも重要なのは投資家・金融機関との関係性です。
そもそも投資や融資は、「お金が返ってきてナンボ」の世界です。つまり、株式であれば将来にキャピタルゲイン(売却益)を生むかどうか、貸付金であれば利息と元本がきちんと返ってくるかどうかが判断基準になるのです。
もちろん、なかには起業を促進させるために出資や融資をする、志の高い投資家や金融機関もあることでしょう。ただ、起業がビジネスである以上、そこに何らかのリターンがなければ、継続性がありません。
大切なのは、起業家や中小企業を助けるのが投資家・金融機関の仕事ではないということです。それは、志高く設立された新銀行東京(吸収合併による解散)や日本振興銀行(経営破綻)の現状をみれば明らかです。
起業当初から資金調達が可能な理由
では、ベンチャー企業やスタートアップはなぜ、起業当初から資金調達が可能なのでしょうか。実績も売上もない状態で、なぜ資金を獲得できることを不思議に思う方もいるかもしれません。
たしかに、銀行などの金融機関から借入れをするのは、起業当初は難しいです。それだけ銀行が堅い商売をしている証拠でもありますし、審査は厳しいのが実情です。
そこで頼りになるのが投資家です。とくに「エンジェル投資家」と呼ばれる創業まもない企業に投資してくれる個人や法人の存在は、ベンチャー・スタートアップのパトロン的存在になり得ます。
そのような投資家がみているのは、投資対象となるベンチャー・スタートアップの“可能性”です。具体的には「起業家の経歴」「掲げているビジョン」「事業計画書の内容」などから個別に判断し、投資の可否を決めています。
もし、投資家からの資金調達ができていないのであれば、それは“起業の可能性”を、目に見えるかたちで提示できていないのかもしれません。
参考
日本実業出版社
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