起業の歴史|ベンチャー、スタートアップ、VC

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ベンチャー企業やスタートアップはどのような経緯で生まれ、どのような推移を経てきたのか。その背景となる歴史を知ることは、起業について考えるうえで重要です。過程があるから今がある。少なくとも、起業に携わる人はその歴史からさまざまな知見を学ぶべきでしょう

そこでこちらの記事では、ベンチャー企業やスタートアップをはじめとする「起業の歴史」について解説しています。

第一次創業期:明治維新後

15世紀から17世紀半ばまで続いた、ヨーロッパの国々によるアジア・アフリカ・アメリカ大陸への大規模な航海。いわゆる「大航海時代」を経て、世界は現在のような体系へと形づくられていきます。日本で言えば戦国時代から江戸時代初期のころです。

その後、1968年の明治維新により、およそ260年続いた江戸幕府による幕藩体制が終焉。日本は近代国家として歩みはじめます。その当時、活躍したのが日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一や三菱グループの創始者である岩崎与太郎。まさに、近代の「元祖起業家」たちです。

ちなみに渋沢栄一は、第一国立銀行(現:みずほ銀行)、東京海上火災保険、東京ガス、清水建設、王子製紙、新日本製鉄、サッポロビール、帝国ホテルなど、500にのぼる企業の創設や育成に携わりました。渡航先のフランスで学んだ株式会社制度を、日本で実践したのです。

第二次創業期:大戦前後

その後、日本は二つの世界大戦を経ることになります。大正から昭和初期、とくに第一次世界大戦後に生まれた企業には、マツダ、トヨタ自動車、クボタ、ブリヂストン、松下電器産業など、数多くの世界的企業があります。

第二次世界大戦後に登場するのは、ホンダの生みの親である本田宗一郎やソニーの井深大・盛田昭夫などの起業家たちです。積水化学工業、パイオニア、オムロン、ワコール、村田製作所のような独立系企業が誕生したのもこのころです。

そして日本は、わずか数十年で世界の経済大国へと成長してきます。ちなみに、VCの前身が誕生したのは1920年代ごろのアメリカにて。その後、1946年にAmerican Research & Development(ARD)が設立され、VCのビジネスモデルが確立されていきました。

第一次ベンチャーブーム

日本で「第一次ベンチャーブーム」が到来したのは、終戦から25年が経過した1970年のこと。日本電産やキーエンスなど、高度な技術を活用したハイテクベンチャーがいくつも誕生しています。背景にあるのは、日本におけるベンチャーキャピタル(VC)の創設です。

1970年代前半は、まさに、ベンチャーキャピタルの黎明期と言える時期です。大手金融機関の子会社としていくつものVCが生まれています。また、高度成長期、列島改造ブーム、脱サラによる独立開業の増加など、時代的背景もまたベンチャーブームの要因とされています。

「ベンチャー」という和製英語が生まれたのもこのころです。ハイテクベンチャー以外にも、アデランス、大塚家具、ぴあ、コナミ、コナカ、モスフードサービスなどの有名企業が誕生しています。第一次ベンチャーブームは、1973年のオイルショック(第一次)まで続きます。

第二次ベンチャーブーム

製造業を中心とした二次産業から、流通・サービス業を中心とした三次産業へと産業構造が移行していった1980年代。ジャスダック市場の上場審査基準が緩和されるなど、ベンチャー企業にとって追い風となる条件も重なり、「第二次ベンチャーブーム」が起きます。

ベンチャー・スタートアップで有名な米国シリコンバレーでベンチャーブームが起こったのもこのころです。背景にあるのは、産業構造の転換によってイノベーションを求める気運が高まったこと。とくにエレクトロニクスや新素材、バイオの分野でベンチャーが誕生しました。

有名なところで言えば、ソフトバンク、カプコン、スクウェア、アイフルホームなどがこの時期に設立されています。しかし、1985年のプラザ合意によって日本は円高不況に。急成長を遂げた大型ベンチャーが相次いで倒産し、第二次ベンチャーブームは収束していきました。

第三次ベンチャーブーム

バブル経済が崩壊した1990年以降、規制緩和をはじめとする「ベンチャー優遇政策」が打ち出されていきました。とくに1995年の「中小企業創造法の施行」や「第二店頭市場の開設」など、行政が主導することで起こったのが「第三次ベンチャーブーム」です。

背景にあるのは、バブル崩壊による経済の落ち込みです。企業数の減少に歯止めをかけるために、とくにアメリカ型の「創造型企業」を多数排出することを目指し、さまざまなベンチャー支援策が講じられました。東証マザーズや札証アンビシャスが開設されたのもこのころです。

米国ではアマゾン、Yahoo!、GoogleなどのIT企業が生まれ、日本でも1999年からいわゆる「ITバブル期」に突入。楽天、光通信、GMO、ライブドア、サイバーエージェント、DeNAなど、話題になりやすく、栄枯盛衰を経ている企業も多いのが特徴です。

そして、第四次ベンチャーブームへ

ネットバブルの崩壊や巨大ベンチャー企業の不祥事による余波も収束し、ニュータイプのベンチャー・スタートアップが生まれているのが2013年以降の「第四次ベンチャーブーム」です。とくに欠かせないのはグローバル化への対応です。

2013年に設立された官民ファンドやCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドは、日本の経営資源を生かすための支援とも考えられます。大企業が担えない柔軟なグローバル化への対応やニッチ市場への進出、イノベーションの創出が期待されています。

また、社会的なインパクトを重視するベンチャー・スタートアップも増えています。世界や地域の課題を解決し、より良い社会を実現する。「企業は社会の公器である」という松下幸之助の言葉や、「私利を追わず公益を図る」と考えた渋沢栄一に通底するものがありそうです。

まとめ

以上が、近代の日本におけるベンチャー・スタートアップのおおまかな経緯です。とくに、現代でも生き残っている企業について考察すると、ポイントをまとめると次のとおりです。

  • 時流をとらえて成長している
  • 社会の要請に応えている
  • 私利私欲にまみれていない

ローマ期の軍人、政治家のスキピオは、次のような言葉を残しています。

ローマ人は、負けたときもくじけず、勝ったときも傲(おご)らない

参考

https://job.mynavi.jp/conts/2017/tok/p/1951/

http://www.v-tsushin.jp/column/archive/850.html

http://libir.josai.ac.jp/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-18801536-0703.pdf

https://vbcc.jp/wp-content/uploads/2015/01/Industrial-Policy-ja.pdf

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