書籍ブランディングの効果が期待できるかどうかは、自社の形態や業種だけでなく、受け手である消費者のタイプにもよります。傾向としてどんな人に書籍ブランディングが向いているのかを知っておけば、マーケティングにも役立つのではないでしょうか。
消費者をセグメントで分ける方法は多様にありますが、多いのは年齢(ステージ)で分けるというもの。そこで今回は一例として、高齢者層、具体的には団塊から上の世代にスポットをあて、書籍ブランディングの効果について考えてみます。
団塊以上の高齢者層とは
団塊世代とは、戦後の第一次ベビーブーム世代(1947~50年ごろ)のこと。1947年生まれであれば、2017年に70歳を迎える方々です。戦後の復興を見続け支えてきた層ともいえます。世代人口も他の世代に比べかなり多くなっています。
高度経済成長やバブルの時期を目の当たりにしてきたこの世代を相手にするビジネスでは、書籍出版が特に効果を見込めるのではないかと思います。その理由は主に、次にあげる3つです。順にみていきましょう。
①若者に比べ買い物が好き
いまの若者は物欲がなく、マーケットをつかむのが非常に難しくなっています。人口も少ないため、スケーラブルなビジネスはアップルやグーグルなどのIT系や、よほどの世界的企業でないと難しいでしょう。
団塊の世代は、好景気のときに青春時代を過ごしているため、消費に対する意識が高い傾向にあり、物を買うことが好きです。世代人口が非常に多いこともあり、長年にわたってこの層をボリュームゾーンに、ビジネスを行ってきた企業も多いはずです。
ただし、この世代は「とりあえず買ってみる」といったことがあまりありません。「今流行りのもの」よりも「なじみのあるもの」「自分のこだわり」を重視する人が多いのです。無駄だと思うものは買わないので、しっかりと納得させられるものを提供していく必要があります。
②紙の本に親しんできた
今でこそWeb上で記事が読めたり、電子書籍が広く出回っていますが、上の世代ほど紙媒体に親しんできた歴史があり、書籍の効果は高いと考えられます。
若者が手軽に読めるWebに移るのに対し、上の世代は老眼鏡をかけてでも毎朝届く新聞を読んでいるイメージはありませんか?戦後の出版文化を支えたのもこの世代なので、考えてみればあたり前のことですが、紙の本に対する信頼はとても高いと言えます。
③納得すれば長期顧客になる
商品購買におけるプロセスとしてAIDMAという有名な考え方があります。最近では、ACIDMAとされることが多くなっています。
Attention(注意)
Convince(得心)
Interest(関心)
Desire(欲望)
Memory(記憶)
Action(行動)
からなるプロセスですが、高齢者マーケティングで大切なのはCの得心、つまり、「よくわかって納得すること」です。
なぜなら、高齢者層はひとつめのAであるAttention(注意)だけではアプローチ時間が短すぎて反応できないのです。そのため、情報を整理して自分なりに解釈する時間が必要です。そして、十分に納得してから行動に移します。
そのかわり、一度納得してしまえば心変わりすることが少なく、長期顧客となってくれる可能性が高いということ。高齢者がなじみのお店で同じものを買うのは、それに不満がなく納得しているという証拠です。
若者のように興味が移りやすいということもあまりないので、AttentionよりはConvinceを重視すべきといえます。そうすると、書籍のパワーはより大きく感じられます。
この層(とくに団塊世代)は呼び方に注意!
団塊世代はまだまだ元気です。年齢こそ70歳に近くなっていますが、これまでの70歳とは違い、活動的で精神的に若さのある人が多いのです。そしてそんな方々は、「高齢者」「シニア」と呼ばれることを嫌います。
そのため、「高齢者向け」「シニアのための」という言葉が入っているものにはあまり興味を示しません。それよりも「5,60代向け」「大人のための」などの文言のほうが好まれるかと思います。
ちょっとしたことですが、ブランディングはいかに興味を持ってもらえるかというところが大切です。顧客理解のためにもこうしたアプローチ方法にも注意しておけるといいですね。
まとめ
今回は一例として、団塊から上の世代には書籍ブランディングの効果があるのではないかと述べました。超高齢社会に向かう中で、今後、高齢者マーケティングは必須になるはずです。
人口の多さだけでなく、書籍への親しみがあるというところもポイントです。その意味では、もう少し若い世代(今の40代以上など団塊ジュニアくらいまで)も、効果はあると考えていいと思います。
若い世代でも、前にも書いたように(信頼を構築するために!書籍ブランディングがとくに効果的な業種とは?)、業種や商品の特徴次第では書籍が絶大な効力を発揮します。自社の特徴と合わせて書籍ブランディングを考えてみてはいかがでしょうか。
講談社
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