いま、企業経営者や個人事業主が、書籍を出版することが増えています。その多くが、書籍出版によって事業や自己をブランディングし、経営課題を解決することを目的としています。
この書籍出版(書籍ブランディング)が、なぜ経営に効果的であるのでしょうか。また、書籍という媒体には、経営上どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で解説していきます。
書籍ブランディングとは
まず、「書籍ブランディング」とはどういうものか。
簡単に言えば、「企業が伝えたいこと」を書籍にまとめて発信し、読者に共感を促したり、企業・商品への信頼感を育てようとすることです。
たとえば、ブランディング出版(企業出版)を専門に行っている幻冬舎メディアコンサルティングでは、書籍という媒体を以下のように位置付けています。
自由な発想でメッセージを発信できる手法として、書籍以上の情報量を有する媒体は見当たりません。そして、書籍が本来持っている信頼性や普遍性は、読者へ「深く」メッセージを浸透させる力をもっています。
引用元:http://www.gentosha-mc.com/service/blanding/
書籍というのは、テレビやネットなど、現在、広告手法のメインとなっているメディアに比べ、とてつもなく長い歴史があります。情報収集方法が限られていた時代は、本が情報収集の希少リソースとして重宝されてきました。
また、書籍を出版するためには編集・校正・校閲などの過程を経ていなければなりません。つまり、世に出るまでに何人もの目に触れて、その内容が承認されていく必要があるということです。
そのような経緯もあり、書籍の情報は多くの人に「正確で信頼できる」と考えられています。同じ内容でも、書籍で読むのと、ネットで読むのとでは受ける印象が違う、ということを無意識に感じている人も多いのではないでしょうか。
これこそが、書籍ブランディングのポイントなのです。
コンテンツマーケティングの一環として
最近は各企業で、コンテンツマーケティングへの関心が高まっています。
コンテンツマーケティングとは、「読者にとって価値のある情報をコンテンツとして提供することで、ニーズを捉え、顧客やファンになってもらうことを目指す一連のマーケティング手法(http://kojigen.com/post-7186-7186.html)」のことを言います。
このコンテンツマーケティングの一環として、書籍ブランディングを活用する企業も多くあります。書籍は企業への信頼を獲得することに貢献するため、見込み客が既存客やファンとなる段階で大きな効果が期待できると考えられているのです。
また、書籍出版のハードルは、以前に比べて下がっています。出版不況と言われる現在でも、書籍の発行点数は増え続けており、編集者は新しい著者を探しています。
これは著者になれる人が増えているということでもあり、企業や個人が信頼度抜群の書籍をマーケティング目的で出版するチャンスでもあるのです。
広告との違いは?
書籍における広告と違うところを挙げると、
- 「読者が自ら情報を取りに行く」
- 「まとまった情報を伝えられる」
- 「価格がある」
などがあります。
読者自らが主体的に情報を得るということは、それだけその企業や商品・サービスに関心があるということに他なりません。また、書店に本が並ぶことで、今まで意識していなかった層の目に留まり、潜在顧客を掘り起こす可能性が高まります。
まとまった情報を伝えられることで、読者に自社への深い理解を促すこともできるようになります。書籍経由の顧客は、自社のことを理解したうえで購入を申し出ているため、質の高い顧客である可能性が高くなります。
さらに、価格があるということは、書籍というコンテンツそれ自体で売り上げになるということです。ベストセラーを出すとなると容易ではありませんが、少なからず書籍自体がお金になるということは、他の広告にはないポイントです。
「社史」になる
マーケティングという視点以外にも、書籍ブランディングは効果を発揮します。
経営者が「創業のいきさつから今までの紆余曲折」をまとめた書籍を出版した場合、それが「社史」となり、社内外へのブランディングも可能になることがあります。
社内でいえば、エース社員は書籍制作に協力させるなどすることで、さらなる使命感ややりがいになりますし、新入社員には書籍を配布し、会社の歴史や存在意義を知らせることによって、モチベーションアップのきっかけになります。
社外の取引先にとっては、自社への信頼を高める効果があり、良好な関係を継続していく一助になるはずです。もちろん、採用への効果もあります。
そして、社史をただ年度ごとに行ったことを羅列するのではなく、書籍という形にすること。
それによって、企業が持っている「想い」や「ミッション」を効果的に伝えることができるのです。
まとめ
以上のように、企業経営者や個人事業主にとって書籍ブランディングは、価値あるものとなっています。
最近では、「企業出版」という「経営課題を解決するための出版」を支援する出版社が増えていますし、企業出版専門の出版社も出てきています。
このように、間口が広がっている今だからこそ、書籍ブランディングとしての「出版」を考えてみるのはいかがでしょうか。
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