「一生のうちに一度でいいから本をだしてみたい」という人は多いことでしょう。ただ、「10万文字の文章なんてヘッチャラ」という人は少ないのではないでしょうか。
10万文字というと、何だか途方もない挑戦のように思えます。400字詰め原稿で250枚。10枚書くのだって大変なのに、その25倍ともなると、まるで一生の仕事のようです。
一方で、書籍の文章を書くプロ、いわゆる「ブックライター」ともなると、この10万文字を1ヶ月ほどで書き上げてしまいます。そこには、独自のテクニックが隠されているのです。
こちらの記事では、10万文字の文章を書くための秘訣について紹介しています。
1冊の本(10万文字)を書き上げるために必要なこと
まず、1冊の本(10万文字)を書くためには、本の全体像を知らなければなりません。千里の道も一歩から。全体を俯瞰することによって、攻略法が見えてきます。
書籍の構成を知る
書籍の構成を知るには、「目次」を見るのがもっとも手っ取り早いです。どんな本でも構いません。10万文字ぐらいある本(250ページほど)の目次を見てみてください。
そこには大きく「部」「章」「節」などがあるはずです。これが書籍の構成です。つまり、10万文字が「2万文字→5000文字→1000文字」などと分けられた結果、本ができています。
目次に沿って細分化してみる
10万文字と聞くと途方もない数字に聞こえるかもしれませんが、「1000文字を100個」「2000文字を50個」と考えてみれば、時間さえかければ書けるような気がしませんか?
そうです。どの本も、何も考えずに10万文字書かれているわけではありません。とくにビジネス書は、細かく分類された1000文字や2000文字がまとまって、書籍となっているのです。
10万文字を小さくする
たとえば、1日2000文字の文章を書いていれば、50日で本が1冊できることになります。もう少しがんばって、1日4000文字書けば25日。つまり、1ヶ月かからずに本が完成します。
「2000文字も書くのは大変だ!」というのなら、その2000文字をさらに細かくしてみましょう。500文字を4つでどうでしょうか。これなら、無理なく書いていけるはずです。
1冊の本(10万文字)を書き上げるための手順
書籍の構成をイメージできたところで、10万文字の文章を書くための具体的な手順について見ていきましょう。以下のとおりです。
1.準備(材料集め)
1000文字にしろ2000文字にしろ、50~100個の文章を書くのは大変です。一つのテーマに精通している人でも、それだけのコンテンツを考えながら書くのは至難の業です。
そこで、あらかじめ準備をしておきます。本をつらぬく大きなテーマから、中テーマ、少テーマへと細分化していき、必要な材料を集めます。目安は50~100個です。
2.整理
材料を集めたら、それらを改めて整理・分類していきます。その過程で分類された項目ごとに、目次構成を考えていきます。ビジネス書であれば、「論理的な構成」が基本です。
たとえば、「問題提起」にはじまり、「問題の背景」「現状の課題」「解決策」「事例」「まとめの提言(結論)」などの構成が一般的です。そのようにして、構成を固めていきます。
3.執筆(初稿と推敲)
材料がそろい、構成が決まったら、あとは書き進めていくだけです。材料が50個なら各項目は2000字。材料が100個なら各項目は1000字を目安に書いていきます。
すべての項目を書き上げれば、初稿の完成です。このままでは書籍としての完成度が低い可能性があるので、全体のストーリーや文章のリズム、誤字脱字をチェックします(推敲)。
1冊の本(10万文字)を書き上げるテクニック
書籍の構成を知り、細分化した上で、具体的な手順を踏んでいく。それだけで、10万文字を書くのは容易になります。最後に、いくつかのテクニックを紹介しましょう。
結論・理論・事例
書籍の構成が大きく「結論」「理論」「事例」で分類されているように、各項目の文章についても、「結論」「理論」「事例」意識してみてください。
たとえば、「雨が降れば地面は固まります」「なぜなら、地面が水分を吸収することで固さを増すからです」「実際に観察したところ、雨後の地面は◯%も固くなりました」などです。
文章の論理構成を意識する
このように、文章の論理構成を意識しておけば、1000~2000文字の文章はすぐに書けてしまいます。ひとつのテーマに対して、どのような文章を提示するべきかと考えてみてください。
あとは、いきなり書き進めるのではなく、タイトルや見出しをきちんとつけること。タイトルでテーマを確認し、見出しで文章を分ければ、スラスラと書き進められます。
※論理的な文章の書き方についてはコチラ
わかりやすい文章を
あとは、できる限りわかりやすい文章を書くように意識してみてください。その際、読者の視点で物事を考えるようにするといいでしょう。
「読者は何を知りたいのか?」「読者はどんな疑問をもっているのか?」「どういう言葉を使えば、より伝わるだろうか?」。そのように掘り下げることで、文章は平易になります。
まとめ
10万文字という文章を書き上げるのに、いちいち細部まで気にしていたら、いつまで経っても完成しません。ですので、しっかりと準備をしたら、何も考えずに書いてしまうことです。
そして、書き上げたあとで、じっくりと細部まで確認していく。そのようにすれば、意外とすんなり10万文字書けてしまうものです。ぜひ、チャレンジしてみてください。