世の中には、たくさんの「伝えたい」があふれています。「恋人に愛を伝えたい」「自分のことを知ってもらいたい」「自社製品をPRしたい」。どれもすべて「伝えたい」です。
しかし、それらすべての想いがかならずしも成就されるとは限りません。なぜなら、伝えたい対象はつねに忙しく、あふれる情報と対峙しているからです。ライバルは多いのです。
そこで、ライター(文章家)の出番です。ライターは、適時・適切な言葉によって、伝えたいあいてに伝える工夫をする専門家。つまりライターの仕事は、「和文和訳」なのです。
どうしたら想いが伝わるか
そもそも、どうしたら伝えたい想いを伝えることができるのでしょうか。まず、大切なのは、対象をしっかりと見定め、五感に訴えかける努力をすることです。
幸いなことに、現代では電話やメール、チャットなど、対面以外のさまざまな伝えるツールがあります。しかもスマートフォンを使えば、24時間どこにいても伝えられます。
ただし、いくら便利なツールがあったとしても、適切な言語、つまり伝わる言葉によって伝えなければ意味がありません。同じ日本語だからといって、伝わるとは限らないのです。
和文和訳の意義
では、ライターの仕事はなにか。ライターは、伝える専門家であり、言葉のプロフェッショナルです。伝えることに特化し、言葉をつねに研究し、しのぎを削っています。
どのようなあいてに対し、どのようなタイミングで、どのような言葉をつかってアプローチするか。最適なワードやツールはなにか。文量、文調、文体はどれがいいのか。
そういった、伝えるための文章に関する、さまざまな試行錯誤ができるからこそ、クリエイティブであると言えます。ライターが書いているのは、“伝えるための”言語なのです。
情報の波にのまれない方法
情報が氾濫している現代。実際のところ、氾濫どころか、堰を切っていたるところにあふれかえっています。必要なのは、情報収集ではなく、取捨選択です。
そのような状態において、いかに特定のひとに伝えたいことを伝えられるか。むずかしい課題ではありますが、それを考えるのがライターの仕事です。つまり情報の波をわたりきること。
だからこそ、ライターは言葉にこだわり、対象をじっくりと観察し、取材、インタビュー、考察などを経て、絞り出すかのように文章をつむぎます。そこに命をかけるのです。
まとめ
だれが、どのように、どのような言葉で、どのタイミングで、どの程度の頻度で伝えるか。あふれる情報のなか、わかりにくいメッセージもあれば、社会に溶け込む思想もあります。
つねに学び、まだ学び、それでも飽きたらず学び続けた結果、ちょっとだけひとよりも理解できるようになる。そのうえで、精一杯くふうをこらし、文章をつくりこむ。
それがライターの仕事だと思います。和文和訳と言えば、その必要性に疑問をもつ方もいるかもしれません。しかし背景にあるのは、人々の「伝えたい」という想いそのものなのです。