「文章がうまく伝わらない」「論理が飛んでいると言われる」「話が整理できない」——
こうした悩みの原因は、“語彙力”や“表現力”ではなく、「構成力」の不足かもしれません。
構成力とは、情報を順序立てて整理し、わかりやすく伝える力。
この力があるかどうかで、文章の伝わり方は大きく変わります。プレゼン・資料作成・レポート・メールなど、ビジネスのあらゆる場面でも役立つ“汎用スキル”です。
この記事では、構成力を高めるための名著を5冊厳選してご紹介します。
ただ読むだけでなく、「どのように書かれているか」に注目しながら読むことで、あなたの文章力は確実に変わります。
1. 『日本語の作文技術』(本多勝一)
順序が文章のすべてを決める——構成の原理を学ぶ定番書
文章を読んでいて「何が言いたいのかよくわからない」と感じるとき、それはたいてい語順や文構造の問題です。
この本は、「主語と述語の一致」「修飾語の位置」「段落構成の基本」など、日本語の構造的なミスを徹底的に指摘し、論理的な順序の組み立て方を解説してくれます。
古典的な一冊ですが、**文章の構成に悩む人にとっての“バイブル”**です。
2. 『論理トレーニング101題』(野矢茂樹)
文章の「論理の骨格」を見抜く力を養う問題集
構成とは、論理の順序と整合性に他なりません。本書は、哲学者・野矢茂樹が書いた「論理力のトレーニング問題集」です。
たとえば、
- ある意見の“前提”と“結論”を見分ける
- 論点のズレやすり替えを指摘する
- 正しい主張の筋道をたどる
といった問題を、実際に自分で解いていく構成です。
「読解力と構成力は紙一重なのだ」と気づかされる、非常に密度の高い一冊です。
3. 『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』(山田ズーニー)
構成とは「論理」だけでなく「思い」を伝える順序である
小論文指導のプロ・山田ズーニーが書いた、伝わる文章の根本原理。
この本では、「何を言うか」だけでなく「なぜそれを書くのか」に重きを置いています。
つまり、構成とは“気持ち”を論理に乗せて相手に届ける作業であるという発想です。
読者に問いかけ、動かし、共感を得るための順序設計を、具体的な手法とともに学べます。
4. 『世界は贈与でできている』(近内悠太)
思想書にして「構成美」の傑作——問いの導線を読む
本書は「贈与論」という一見哲学的なテーマを、ストーリー仕立てで展開していく作品です。
一章ごとに、問いが立ち上がり、具体例で深まり、次章へと自然につながっていく。その構成の妙はまさに小説や映画の脚本のよう。
「構成力は、名文を読むことで養われる」と言われる所以を、肌で感じられる一冊です。
5. 『考える技術・書く技術』(バーバラ・ミント)
論理的思考と文章構成を体系的に学ぶ世界的ロングセラー
“ピラミッド構造”で有名な、ロジカルライティングの原点。
- 結論→理由→根拠の順序
- 横並びの要素は同じレベルでそろえる
- 論点は上位と下位で因果関係を持つ
など、文章構成を“階層構造”として整理する方法が示されています。
ビジネス文書や企画書・プレゼン資料を論理的に構成したい方には必読。難解な部分もありますが、図解を見ながら読むことで理解しやすくなります。
構成力を高めるには「構成を意識して読む」ことが第一歩
本で学ぶ構成力は、「知識」ではなく「視点」です。
何がどういう順序で語られているのか、なぜその順序なのか——そうした“骨格”を意識することで、自分の文章も自然と整理されていきます。
ぜひ、本記事で紹介した名著を手に取り、「構成」という眼差しで読んでみてください。
その繰り返しが、あなたの言葉を変え、文章を変え、伝える力を根本から変えてくれます。