この春からビジネスパーソン・新社会人になった人は、少しずつ仕事や職場環境にも慣れながら、日々、頑張っていることでしょう。一方で、「企画」や「提案」に活用する企画書の書き方に苦労している人も多いかと思います。
とくに、これまで論理的な文章の書き方を学んでこなかった人にとって、企画書の提出は憂鬱ですよね。そこで今回は、すぐに結果を出したい社会人・ビジネスパーソン向けの“企画書の書き方”をご紹介しましょう。良い企画書を書くのに、文才は必要ありませんよ。
企画書の目的とは
そもそも、ビジネスパーソンや社会人に求められる企画書・提案書の目的とはなんでしょうか。簡単に言うと、「会社の売上や利益を向上させるために、現状を踏まえたうえで、必要な新規事業や商品について理路整然と提案すること」となります。そのために必要なのは、事実や数字などの客観的なデータです。
目的を理解すれば、書くべき内容もおのずと決まってくるとわかります。つまり、データや論理的推論など、客観的な事実に基づく“提案”を組み立て、自らの主張を適切に提供していくこと。それが、企画書・提案書の目的にあった文章の書き方となります。
具体的なポイントとしては、「客観的であること」「論理的であること」「現状分析を踏まえていること(自社、競合他社、市場)」の3点です。これらのポイントを意識しつつ、主観的な意見が中心の作文や感想文にならないよう注意し、上司や上役をうならせる企画書・提案書を書きましょう。
日頃の情報収集がものを言う
ビジネスパーソン・社会人に求められる企画書・提案書に書くべき内容を理解するとともに、大切なのが日頃の情報収集です。できることなら、普段から自分なりの情報網を構築しておき、意識することなくインプットできる体制を整えておくといいですね。
いまから短時間で情報収集したいという場合には、信頼でき、かつ有益な情報を配信している媒体を厳選することが大切です。たとえば朝日新聞の電子版サービス「朝日新聞デジタル」 などは、基本の情報ソースとなるでしょう。
また、定量データについては、政府や各機関が公表している統計データをチェックすることをオススメします。こちらの記事に、使えるサイトをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。数値データを盛り込めば、レポートの質も高まります。
企画書を書くための3つのステップ
それでは、実際に企画書・提案書を書く際の手順について見ていきましょう。企画書を書く手順には、大きく次の3ステップがあります。
1.現状分析
最初に、企画書の前提となる現状分析を行いましょう。具体的には、自社がどのような状況にあるのかを把握しつつ、市場や競合他社との関係性、さらにはこの先進んでいくべき方向性を踏まえて、求められる商品やサービスについてイメージしていきます。
たとえば、企業を取り巻く外部環境と内部環境を踏まえたうえで、「特定の分野・顧客層に弱い(売上が少ない、シェア率が低い)」という現状が浮き彫りになったのなら、「どうすればその課題をクリアできるだろうか?」という点に着目します。その点に絞って、企画書・提案書をまとめていきます。
2.情報収集と精査
次に、現状分析を経て、とくに必要だと思われる情報を収集しましょう。具体的には、競合他社の商品やサービスに関する資料や、市場の動向を明らかにするためのデータ、さらには新商品開発につながる自社の情報など、可能な範囲で深堀りしていきます。書くべき内容に適した材料を集めるのがポイントです。
たとえば、「新商品の開発」についての企画書を書くのであれば、「①既存商品(自社・他社)」「②顧客ニーズと市場環境」「③社内のリソース」の3点から現状を洗い出し、必要に応じて情報を収集・精査し、企画書に仕上げます。
3.構成の決定
現状分析と情報収集・精査が終わったら、基本となる構成をつくります。企画書の構成には基本形がありますので、事項で詳しく見ていきましょう。
企画書の基本的な構成を知ろう
企画書の基本的な構成は「提案」「概要と根拠」「今後」の三段構成となります。作文などで使用される起承転結を使うこともできますが、企画書・提案書には馴染みにくいため、「提案・概要と根拠・今後」を使うようにしてください。
それぞれのパートに盛り込みたい内容は次のとおりです。
提案:この企画書で行う提案の内容(簡潔に)
概要と根拠:提案内容の詳細と、その提案を行う根拠を示す
今後:提案内容を踏まえた今後の方向性を提示する
「提案」ではシンプルに、そして簡潔に、その企画書・提案書における提案内容を提示します。レポートや論文で言われるところの「結論」を先にもってくることで、読み手の時間を短縮し、より伝わるように工夫します。
次に「概要と根拠」では、その提案内容の詳細について示しつつ、なぜその提案をするに至ったのかについての根拠を提示します。現状分析と情報収集の内容を反映し、「3つのポイント」にまとめるなど、説得力を高めましょう。
最後に、あらためて提案内容を提示し、今後の方向性を示します。再度、提案内容を振り返ることで印象を強化しつつ、その提案が採用された場合の具体的な行動指針(方向性)についても明らかにしておけば、無駄がありません。
企画書のひな型・テンプレート
企画書・提案書の基本構成をふまえて、実際に文章を組み立てていきましょう。文頭から順番にみると、次のようになります。
①提案
現状、◯◯には◯◯のような問題がある。その背景には◯◯があると考えられうため、本レポートでは◯◯について調査し、その結果を提示する。②概要と根拠
調査の結果、3つのことがわかった。1つ目は◯◯(説明)。2つ目は●●(説明)。3つ目は□□(説明)である。③今後
結果をふまえ、問題解決には◯◯が必要である。また今後の課題としては◯◯が挙げられる。(参考文献リスト)
短いレポートの場合、序論に調査結果の概要を記載しつつ、本論で詳しく解説するというのでも構いません。「序論・本論・結論」という三段構成を軸に、できるだけシンプルにまとめましょう。
「おっ!」と言わせるテクニック
次に、文章をプロっぽくみせるテクニックをご紹介しましょう。それは「漢字をひらく」ことです。漢字をひらくとは、漢字をひらがなにすることですね。とくにパソコンで文章を書いていると、なんでもかんでも漢字にしてしまう人がいますが、それでは視認性が低くなってしまいます。
たとえば、「事(こと)」「丁度(ちょうど)」「何故(なぜ)」「殆ど(ほとんど)」「頂く(いただく)」「諦める(あきらめる)」「下さい(ください)」「致します(いたします)」などですね。間違いではありませんが、視認性を高めるにはひらくことをオススメします。詳しくは漢字とひらがなのベストバランスをご覧ください。
慣れてくれば、文章全体の漢字とかなのバランスを考慮して、“ひらく”か“ひらかない”かの判断をしてもいいでしょう。ただし、同じ用語を一部で漢字にしたり、一部でひらがなにするようなことは避けるべきです。常用漢字か常用外漢字かについては、辞書もチェックしてみてください。
(ひらく漢字については、こちらの表も参考にしてみてください:『ハフィントンポスト』)
論理的な文章を書くための材料を探そう
より知的で論理的な企画書を書くためには、幅広い知識や知見が必要となります。それほど専門的な内容ではない企画書ではそこまで求められないかもしれませんが、できることなら教養を身につける努力もしておきましょう。
また、各界の権威によって提唱されている理論などは、文章の論理性を高めるために、おおいに活用できます。たとえば、書籍から幅広い教養を得てみてはいかがでしょうか。
『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』
世界のエリートが学んでいる知識を応用するのもいいでしょう。
身につけた知識や理論をレポートに応用するためには、論理的な文章である「論文の書き方」についてまとめている書籍を参照するのも有効です。
企画書の質を高めるために活用できるサイト
企画書の基本やテクニックを身につけたら、あとは周囲との差別化です。企画書の結果を左右するのは、基本的なスキルをマスターしていること、評価されるだけの素養を身につけていること、そして周囲との違いを強調できていることが重要です。
ビジネスは競争の連続です。日々の活動の先にあるのは、受験戦争さながらの競争環境です。そこでは、基本と応用だけでなく、違いを明確にしてアピールする必要があります。
では、どうすれば周囲との差別化ができるのか。ポイントは、他人とは異なる情報を得ていることです。そのためには、周囲が閲覧していない情報ソースをウォッチし、フルに活用すること。それが情報社会における差別化につながります。
たとえば、朝日新聞デジタルなどの新聞を活用すれば、日常的な情報からさらに深掘りした情報まで入手することができます。
また、実際に活躍するプロからの情報を得られるのが、ワークショップが1400件以上 ストリートアカデミー です。1次情報を得るには、直接おそわるのがいちばんです。
その他、インターネット広告やネットショップ、オウンドメディア、営業支援、顧客管理ツールの導入に関してはIT開発関連書とビジネス書が豊富な翔泳社の通販『SEshop』、新興市場の情報については新興市場ドットコム など、ニッチなサイトをチェックしておくのもいいでしょう。
もちろん王道として、内閣府のページや国の統計、各種白書などをチェックすることも忘れないようにしてください。
企画書の作成はプロへの依頼も考慮して
どうしても企画書を自分で書けないという方は、クラウドソーシングを利用して、プロに依頼してみましょう。たとえばココナラなら、ワンコインから文章作成を依頼することができます。
より専門的な企画書を依頼したい場合には、最大手のクラウドワークスやランサーズ 、Bizseekがオススメです。ただし、プロに書いてもらったものをそのまま提出するのは止めましょう。
反対に、身につけた論文のスキルでお小遣いを稼ぎたいという場合には、受注側になることも可能です。その場合には上記のサービスに加えて、【チームワーカーズ】などを活用しましょう。
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