スゴ編。カリスマ編集者から学ぶ7つの仕事力 (デザインビジネス選書)
文章を書く上で「編集能力」は必須だ。とくに、多くの人の目に触れる可能性があるインターネット上では尚更である。なぜなら、自分本位の文章に価値はないからだ。
ブログ、ソーシャルメディア、そして各種 webサイト。それらの媒体に文章を提供している以上、もはや自分本位で文章を書くことは許されない。より真剣に文章に対峙しているからこそ、維持すべき水準、守るべきモラルがあるのだ。
ではどうやって学ぶか。諸先輩方に学ぶのが一番である。
技術よりも心得
もし誰でも短時間で簡単に、最高の編集能力が身に付くノウハウがあるのなら。もしそれが確立された「技術」なら。いや、そんなものはあり得ない。
考えてもみてほしい。売れる商品をつくるノウハウがこの世に存在するだろうか。ヒットするゲームを開発する方程式が存在するだろうか。しかも技術として。体系的まとまったものとして。編集能力もまた然りである。
だからこそ学ぶべきなのは「技術」よりも「心得」なのだ。技術は、日々の業務の中で時間をかけて習得するほか無い。それこそ一万時間の壁に立ち向かった方が、手っ取り早くノウハウを求めるよりも実りはずっと多いだろう。
編集能力をあげるために意識すべきこと
『スゴ編。カリスマ編集者から学ぶ7つの仕事力 』には9人の“やり手”編集者による「仕事で意識していること」が、インタビュー形式で掲載されている。
私が得た編集のエッセンスは次の3つだ。
1.無理矢理にでも仕事を「楽しむ」
ポイントは「無理矢理に」でも。これがなかなかできない。
どんなに好きな仕事でも、億劫な部分もあれば回避したい場面もある。ただし、だからと言って嫌いになってはいけない。好きで始めた仕事なら尚更だ。
だから「無理矢理に」でも楽しむ。好きになる。そうやって工夫して編集することによって、楽しむ姿勢が作品にも表れるのだ。楽しんで創作していない作品が、誰の心を打つというのだろう。最初はフリだけでも良い。
まずは自分が楽しむことだ。
2.少しでも多くの読者に「メリット」を
読者に視点を移せば、重要なのは「メリット」である。
あふれる情報、あふれる文章。そのなかから選んで時間を割いてもらうには、読むべきメリットが必須だ。
もちろんメリットは、直接的な利益だけにとどまらない。楽しい、面白い、ためになる、刺激になる、発想の転換につながる、問題解決のヒントになる。そして読者以外の誰かにも何かしらの影響を与える。
読者のメリットはどこにあるだろうか?そしてそれは、他所にはない価値のあるものだろうか?
なければ盛り込むか、あるなら際立たせるべきだ。
3.「世の中をどうしたいのか」を考える
さらに視野を広げると、対象は「世の中」となる。
編集者としての自分が掲げている「ビジョン」と言い換えても良いだろう。編集を通じて、あなたは世の中にどんな影響を与えたいのだろうか。
常識を変えることか、本質を見定めてもらうことか、あるいは知的な刺激を楽しむことか。
編集に「軸」がある人間の仕事は、ブレない価値のある作品を生み出す。
ヒトコトまとめ
編集能力をあげるために意識すべきことは
「自分×読者(市場)×世の中」の3つの軸で作品をみる、こと。
お付き合いありがとうございました。多謝。
<目次>
クロスメディア・パブリッシング・小早川幸一郎さん/ スカイライター・川辺秀美さん/ PHP研究所・太田智一さん/ ダイヤモンド社・寺田庸二さん/ ディスカヴァー・トゥエンティワン・千葉正幸さん/ ダイヤモンド社・加藤貞顕さん/ タコスタジオ・岡部敬史さん/ PHP研究所・横田紀彦さん/ 三笠書房・清水篤史さん
<著者>
編集者.jp
株式会社デジカルが運営する「編集」の仕事について考えている方のためのブログメディア。優れた著作を世に送り出そうと奮闘する編集者や、ベストセラーとなった書籍に焦点をあて、本作りの最前線から出版業界の展望を探る。同社は「売れる・読まれる本作り」と「Webサイトのメディア化」を通して、新しいコンテンツ流通のプラットフォームを作ることを目指している。