誰にでもできる論理的な文章の書き方『入門 考える技術・書く技術』山崎康司

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入門 考える技術・書く技術

入門 考える技術・書く技術

  論理的な文章が書ければ、ビジネスは円滑に進んでいく。

そもそもビジネスは、論理的な要素にあふれている。戦略立案も交渉もマーケティングも、すべてが論理的である。感情に訴えかけるのは表面的な部分だけだ。アプローチは華々しくても、裏を返せば論理に満ちている。

しかし、現場で交わされている企画書や報告書、ビジネスメールなどの文章は、必ずしも論理的なものばかりではない。 そこに大きな問題がある。

論理的な文章が書ければ、ビジネスパーソンとして、もっと活躍できるのに。


「書く」と「考える」をわける

論理的な文章が書けないひとに共通しているのは、「考えながら書いている」ということだ。

論理というのは筋道である。頭の中で細かい筋道をきっちり描けるひとは、考えながら書くこともできるだろう。しかし、たいていのひとはそれができない。

無理もないことだ。なぜなら、書くことと考えることとは、もともと別の作業なのだから。考えてから書くクセを身につけるだけでも、文章は論理的になる。

論理的な文章の書き方

『入門 考える技術・書く技術』には、さらに踏み込んだ論理的な文章の書き方が記載されている。基本はピラミッドを描く方法だが、詳しい内容は本書に譲ることにしよう。

ここでは、ポイントだけを抜粋する。

1.読み手の疑問・関心に向かって書く

論理的な文章を書くうえで一番大切なことは、「読み手の疑問・関心に向かって書く」ということだ。

映画館で映画を観ると、本編の前に予告編が流れる。あなたもご覧になったことがあるだろう。なかには長い予告編にイライラさせられることもある。

私は、ここである意味「見せられた」予告編の効果は、ほとんどないのではないかと思っている。なぜか。関心が無いからだ。誰が本編を見終わったあとに予告編の話をするだろうか?誰もしない。

読み手の疑問・関心を考慮していない文章は、退屈なだけである。

2.「So,what(何が言いたいのか)」をくり返す

いくら読み手のことを考えても、あなたは読み手自身になることはできない。

だからこそ、つねに客観的に自分の文章をみることが大切だ。そのためには「So,what(何が言いたいのか)」をくり返すと良い。

書き手は書いている文章の裏にある「情報」を知っているだろう。しかし読み手は知らないことの方が多い。何が言いたいのかをくり返し自問しよう。

3.メールの場合は「感謝の言葉にPDF」

最後にビジネスメールに適したフォーマットをご紹介しよう。その名も「感謝の言葉にPDF」だ。

これはそのままビジネスメールの「ひな型」となっている。つまり書く順番を

  1. 「感謝の言葉」
  2. 「P:目的ステートメント(主メッセージ)」
  3. 「D:Detail(詳細)」
  4. 「F:フォロースルー(フォロースルー)」

とするのだ。

ご連絡ありがとうございます。(感謝の言葉)

詳細、拝見致しました。承ります。(P)

○月○日の○時頃までに、○に関する記事を納品致します。(D)

つきましては貼付資料に掲載されている質問事項にお答えいただき、返信していただければと思います。(F)

よろしくお願い致します。

このフォーマットを真似するだけでも、誤読はかなり減るだろう。

ヒトコトまとめ

論理的な文章の書き方とは

「So,what(何が言いたいのか)」をくり返し自問しつつ、読み手の疑問・関心に向かって書くこと。

お付き合いありがとうございました。多謝。

<目次>

まえがき 日本語のハンディを乗り越える

序章 誤解だらけのライティング

日本人がロジカル表現を苦手とする本当の理由

誰も教えてくれなかったレポート・ライティング
●誤解1 書きたいことを書きなさい
●誤解2 起承転結で書きなさい
グローバル・スタンダードを学ぶ
●レポートを受ける立場になって読んでみる
●考えるプロセスと書くプロセスを分ける

1章 読み手の関心・疑問に向かって書く

OPQ分析で読み手の疑問を明らかにする

読み手は何に関心を持ち、どんな疑問を抱くのか
読み手の関心を呼び起こすには
読み手の疑問を明らかにする「OPQ分析」
OPQ分析のコツ

2章 考えを形にする

メッセージを絞り、グループ化する「ピラミッドの基本」

メッセージの構造を明らかにする
●一度に覚えられる数には限界がある
●メッセージ構造をそのまま文書へ
グループ化と要約メッセージ
●メッセージが一般論にならないようにする
要約メッセージを文章にするときの「4つの鉄則」
●鉄則(1)名詞表現、体言止めは使用禁止とする
●鉄則(2)「あいまい言葉」は使用禁止とする
●鉄則(3)メッセージはただ1つの文章で表現する
●鉄則(4)「しりてが」接続詞は使用禁止とする
「So What?」を繰り返す

3章 ピラミッドを作る

ロジックを展開する、チェックする

帰納法でロジックを展開する
●帰納法の仕組み
●「同じ種類の考え」を前提とする
●帰納法は「つなぎ言葉」でチェックする
●結論を先に述べる
演繹法でロジックを展開する
●ビジネスで演繹法を使う際の注意点
●演繹法は「前提」をチェックする
ピラミッド作成のコツ
●コツ(1) 1つの考えを短く明快に
●コツ(2) 縦と横の「二次元」を意識する
●1対1の関係に要注意
●1対1の番外編「イメージによる説得」

4章 文書で表現する

導入から結びまで、気をつけるべきポイント

文書全体の構造はピラミッドに同じ
●ケース「X事業投資」
●主メッセージの位置
●目次のつけ方
段落表現のビジネス・スタンダード
●段落は「改行+大きめの行間」で
文章のわかりやすさは「接続詞」次第
●ロジカル接続詞
●「しりてが」接続詞の使用ルール
●曖昧な接続詞は誤訳のモト
読み手を引きつける「導入部」
●OPQ分析を使って導入部を作る
「結び」で今後のステップを示唆する

終章 メール劇的向上術

毎日のメールでピラミッドが身につく一石二鳥作戦

メールが見違えるように変わる「感謝の言葉にPDF」
「1日1回ピラミッド」×4カ月

巻末付録 ピラミッドの基本パターン

<著者>

山嵜康司(やまさき・こうじ)
隗コンサルティングオフィス株式会社代表。豊富な経営コンサルティング経験を元に、さまざまな大企業にて、『考える技術・書く技術』関連(ビジネス思考、ライティング、スライド作成、事業計画書作成)の教育・研修を実施している。著書に『オブジェクティブ&ゴール』『P&Gに見るECR革命』、訳書に『考える技術・書く技術』『不合理のマネジメント』『仕事ストレスで伸びる人の心理学』『正しいこと』など。1980年ペンシルベニア大学ウォートン・スクール卒業(MBA)、1976年東京大学建築学科卒業。福岡県出身。

http://kai-consulting.jp/

<類書>

『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』

『考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉』

入門 考える技術・書く技術

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