最高の戦略とは「あらゆる活動を有機的につなげる」こと! ポーターの『新訳・戦略の本質』

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『Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2011年 06月号』 に掲載されている、マイケル・E・ポーターの論文『[新約]戦略の本質』

この論文に書かれているのは、ひとり歩きしている“戦略”という言葉の、より実践的な再定義と言えそうです。つまり、そもそも戦略とはなんだったのか、ということ。

たしかに、戦略が大事というかけ声はよく耳にしますが、実際に戦略を有効活用できている企業は多くはないように思えます。そこで本稿では、ポーターの言う戦略について考えます。

業務改善と戦略のちがい

冒頭でポーターが指摘しているのは、「業務改善」と「戦略」とのちがいです。端的に言えば、業務改善とは効率性を追求すること。つまり、より良い現状の模索、です。

一方で戦略とは、改善とは異なります。ポーターによると、戦略とは次のとおりです。

他社にない「独自性」に優れたポジショニングであり、これを担保する「活動システム」の構築であり、そのために「トレード・オフ」を受け入れることであり、したがって「何をやり、何をやらないのか」を選択することだ

独自のポジションを担保する活動システムを構築するために、トレード・オフを受け入れる。つまりは、「やらないことを決める」こと。業務改善とは大きく異なります。

競争戦略とは「他社と異なる存在になる」こと

とくに重要なのは、「独自性」です。他社と同じことをやり、同じ市場で勝負するのであれば、量や質、あるいは価格で競争するしかありません。しかし、それは戦略ではないのです。

ポーターは、次のように述べています。

競争戦略とは、他社と異なる存在になることである。あえて異なる活動を選択することで、価値を独自に組み合わせ、これを提供できる。

戦略を遂行した結果、うまれるのが「差別化」であるなら、他社と異なる存在になろうとすることはとうぜんの帰結と言えそうです。

「適合性」による競争優位と持続可能性の強化

もっとも、ポーターは「戦略の本質は活動にある」とも言っています。独自の存在になることを目指すのに変わりはありませんが、あくまでも活動を軸に変えていくということです。

では、どのように活動を変えていけばいいのか。ヒントは「適合性(フィット)」です。自社の活動に適合性をもたせ、その結果、全体として競争優位と持続可能性を強化する。

つまり、あらゆる活動を有機的にむすびつけることで、他社にはない非凡な価値を生み出すのです。そうすれば、競合他社が模倣するのもむずかしくなります。

まとめ

あらためて、自社の活動を見返してみると、さまざまな活動がバラバラに機能しているということがよくあります。社内がひとつになっておらず、高い価値を生んでいないのです。

では、どうすればいいのか。いま一度、すべての活動を洗い出し、トレード・オフを受け入れて、やるべきこと、やるべきでないことを取捨選択するのです。

そのうえで、活動の適合性を強化していくこと。これがただしい戦略です。業務改善とは、そのように戦略がただしく機能していてこそ、意味をもつのかもしれません。

参考文献

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