ホームページやオウンドメディアの更新、大変ですよね。
しかし、定期的に更新しなければ、サイトの新鮮さを保つことはできません。ひいては、新しい読者を獲得できなくなってしまいます。
そこで、自分自身や社内のノウハウを抽出して、新鮮なネタを獲得する“しくみ”を構築しましょう。そのときに役立つのが「インタビュー」です。
本稿では、インタビューの有用性から具体的なやり方、手順まで、詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
インタビューのメリットについて
インタビューのメリットはたくさんありますが、特筆すべきなのは「情報を引き出せること」です。
文章にするのが難しくても、話すことならできるという人は多いものです。インタビュイーによって引き出されたネタは、あらゆる媒体において、情報発信のもととなります。
また、利用シーンに応じて、インタビューは幅広く活用できます。
自社のWEBサイトに掲載したり、広告やPR文章にしたり、あるいは書籍にしてまとめるなど、インタビューによってより魅力的な記事を書くことが可能となります。
インタビュー記事の種類
インタビュー記事には、大きく次の3つがあります。
一人称形式
インタビューで収集した情報をライターが編集し、インタビュイーが1人で語っているような体裁に整えたものが「一人称形式」です。インタビュイーの言葉や人柄をストレートに届けたい場合に適しています。
例:株式会社彩ファクトリー 内野 匡裕CEOへのインタビュー|一般社団法人festivo
対話形式(Q&A)
インタビュアーが質問した内容にインタビュイーが答える。その一連の過程を記載したものが「対話形式(Q&A)」です。質問内容が込み入っていたり、あるいは対談風な記事にしたい場合に用いられます。
ルポ形式
インタビューによって得られた情報をもとに、ライターが第三者視点から記事をまとめたものが「ルポ形式」です。ニュースや情報を“報告する”というスタンスになりますので、内容(テーマ)にフォーカスしたい場合に適しています。
インタビューの基本的な流れ
次に、インタビューの流れについて見ていきましょう。おおむね、次のとおりです。
- 企画立案・打ち合わせ
- アポ取り・事前準備
- インタビュー本番
- テープ起こし・編集
- 先方チェック・推敲
1.企画立案・打ち合わせ
企画立案の段階では、「目的」を考えるところからはじめます。目的がないと、なぜインタビューをするのかがボヤけてしまい、質問事項にも影響が及びます。
なんのためにインタビューをするのか、なぜインタビューが必要なのかを、あらかじめ明らかにしておきましょう。
2.アポ取り・事前準備
インタビューの目的が決まったら、インタビュイーを選定し、アポ取りを行います。記事の内容はもちろんのこと、予算やスケジュールを加味しつつ、複数の候補をあげておけばムダがありません。
インタビュイーが決まれば、本番に向けて事前準備を行います。質問事項の立案および資料作成に加え、インタビュイーの経歴や過去のインタビュー記事、刊行物のチェックなどもあわせて行います。
3.インタビュー本番
インタビュー本番でもっとも注意したいのは初見、つまりあいさつです。このあいさつがしっかりできるかどうかによって、インタビュー全体が決まると言っても過言ではありません。TPOにあわせた服装は基本中の基本ですが、目を見てハキハキとあいさつすることも忘れないようにしましょう。
インタビューを開始する前に、概要の説明、質問事項の確認、録音の許諾を行います。時間に関しても、再度、確かめておいたほうがいいでしょう。インタビュアーはタイムキーピングする必要があります。進行状況などを、適時、時間で把握しておきましょう。
また、インタビュイーはあくまでも人なので、それぞれ特性が異なります。話し好きの人もいれば、寡黙な人もいるでしょう。インタビュアーは、それぞれの特性に応じて質問を考えなければなりません。話し好きの方であれば黙って聞く、寡黙な人であればツッコミを多く入れる、などです。
そうは言っても、インタビュアーがするべきことは、おおむね次の2つに集約されます。
①質問をする
②話をうながす
この2つだけを意識しておけば、おおむねインタビューの目的は果たせます。質問はこちらが聞きたいことをあらかじめ用意しておけば問題ありませんし(少し多めに用意しておくと良いでしょう)、話をうながすには「具体的にはどういうことですか?」と聞けば問題ありません。
加えて、適時、「まとめ」を入れると親切です。よほどインタビューに慣れた相手でない限り、インタビュイーは話の内容に不安をもっているもの。その不安を払拭するために、「ここまでのお話はつまり、~~ということですね」と確認する。
そうすると、インタビュイーが話の全体像を確認できますし、必要があれば補足をしてもらえます。質問をする、話をうながす、適時まとめる。それ以外は、「傾聴」の姿勢を保ちましょう。“目で聞く”ことも忘れてはいけません。
もし、質問事項がうかばない、あるいは途中で質問がなくなってしまった場合には、想定する読者になり変わって考えてみましょう。「読者はこんな悩みや願望をもっているのですが……」と聞いてみれば、さらに話を掘り下げることも可能です。
すべての質問事項を聞き終わったら、聞き漏らしがないか、あるいは補足事項がないかも確かめて、インタビューは終了です。最後まで気を抜かないようにしましょう。
4.テープ起こし・編集
インタビューが終わったらテープ起こしをし、編集をかけます。テープ起こしは外注することも多いかと思いますが、できれば編集を担当する人間(ライターなど)が行うと良いでしょう。編集を意識してテープ起こしをすると、内容の精度が高まります。
編集時に意識したいのは、「インタビュイーが言いたいこと」および「読者が聞きたいこと」を「わかりやすく表現する」ことです。迷ったら、つねにこの3つのポイントを思い出してください。そうすることで、目的に沿った文章になります。
5.先方チェック・推敲
先方チェックにおいて大事なのは内容の正誤です。加えて、文章にしてほしくない内容が含まれていないかどうかも確認してもらいましょう。記事になってから直すのは手間がかかります。
最後に推敲をします。推敲とは、文章をさらに磨くこと。言い回し、話の前後、使っている言葉、文章の長短などを、丁寧に確認していきます。場合によっては、誤字脱字などの細かい部分まで確認する校正も行えば、より文章の質は高まります。
いずれにしても、大切なのは文章を良くしようとする姿勢です。作家の村上春樹は、『職業としての小説家』 のなかで次のように述べています。
つまり大事なのは、書き直すという行為そのものなのです。作家が「ここをもっとうまく書き直してやろう」と決意して机の前に腰を据え、文章に手を入れる、そういう姿勢そのものが何より重要な意味を持ちます。
質問力を磨くための4つの方法
質問力をより高めるには、次の4つのポイントを意識しておきましょう。
1.事前準備で質問内容を練る
インタビューの成功は、取材前の下準備でほとんどが決まるといっても過言ではありません。取材対象者のプロフィールや経歴を調べるのはもちろんのことですが、質問内容を事前にしっかりと考えておくこともとても重要です。
ここを曖昧なままにしておくと、取材当日に「聞きたいことを聞けなかった」という事態に陥ってしまうこともあります。
取材対象者について調べた後に、「どんな切り口で質問するか」を考えて質問項目をつくっていきましょう。最終的にどんな答えにたどり着けばいいのかを意識しながら、構成を考えてみるといいと思います。
2.答えをシミレーションしておく
質問項目ができたら、相手からどんな答えが返ってくるかをシミュレーションしてみましょう。慣れている人は大丈夫だと思いますが、インタビュー初心者やまだ経験が浅い人には特におすすめの方法です。
相手の答えに対して、「なるほど」「そうですね」などの返事だけでは話は広がりません。
「この商品をつくったきっかけは何ですか?」
「本を読むときに不便を感じてこの商品を作りました」
このような答えが返ってきたら、「どのような不便を感じましたか?」と相手の答えの中からまた質問を考えていく、という流れをつくるようにしましょう。すると、どんどん会話に広がりができてくるはずです。
こうしたシミュレーションは、質問力を磨くいいトレーニングになるので、ぜひ実践してみてください。
3.オープンクエッションを増やす
質問するときには、オープンクエッションを心がけること。オープンクエッションとは、相手が自由に返答できる質問のことです。YES、NOで答えられるクローズドクエッションが続くと、一問一答形式になってしまい、会話に広がりができません。
特に話を掘り下げたい場合は、5W1Hを意識して質問を考えていくこと。5W1Hは「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」のことです。
例えば、5W1Hを使って質問すると以下のようになります。
「この商品を開発したきっかけは?」(Why)
「本を読むときに不便を感じたからです」
「どんなところに不便を感じましたか?」(What)
「ページをめくりにくいところです」
「ページをめくりやすくするために、どのような方法を思いついたのですか?」(How)
このように会話を広げていく時に、5W1Hの質問方法はとても役に立ちます。質問項目を考えるときの参考にしてみてください。
4.取材対象者を好きになる
テクニックも必要ですが、最終的には「取材対象者にどれだけ興味がもてるか」が大事です。興味をもつために、相手のことを好きになること。
好きになった相手のことは、どんどん知りたいという気持ちがわきます。「どんな質問をしようか」と悩む前に、「こんなことが聞きたい!」という気持ちになるはずです。
プロフィールや過去の記事、書籍、SNSなどをチェックして相手のことを調べていけば、「どんな人生観なのか」「好きなものは何なのか」がおおよそ分かってきます。その中であなたが「好きだな」と思えるところを見つけてみましょう。どんな人にも良い所は必ずあります。
その部分を見つけて、相手を好きになることがインタビューでは一番大事なことかもしれません。
インタビュー取材前のチェックリスト
また、インタビュー取材をする前に、準備しておきたい項目についても確認しておきましょう。
1.取材対象者の情報をあつめる
取材が決まったら、まずはインタビュイー(取材を受ける人)の情報をあつめましょう。
仕事内容や経歴はもちろんのこと、著書、新聞、雑誌やインターネット記事などを調べ、過去にインタビューを受けているようであれば、その記事にも目を通しておきます。その人がどんな人かを下調べするのです。
何も知らない状態でインタビューをすると、「こんな事も知らないのか」と思われてしまうかもしれません。すべてを知っておく必要はありませんが、「下調べなし」という状況は避けましょう。
事前に知識が入っていた方が質問内容を決めやすいという点もあります。過去に答えたことのある質問を避けることも出来るでしょう。
同じような質問をすると、同じような記事になってしまうので特徴がなくなってしまいます。オリジナルを出すためにも、新しい切り口を考えておく必要があります。
また、その人の「好きなもの」や「嫌いなもの」などを知っておくと、ふとした会話のきっかけにもなります。インタビュー取材は初対面の相手とおこなう場合が多いものです。そうした相手とまずは、いかに打ち解けて話を聞くことが出来るかが重要になってきます。
インタビュアー(取材をする人)は短い時間の中で相手との信頼関係を結び、情報を引き出していかなくてはいけません。そのために相手の情報を調べておくことは、とても大切になるというわけです。
2.質問内容をまとめる
対象者の情報を集めたあとは、その情報を整理して、インタビューの時の質問事項を考えます。依頼者からの要望もふまえた上で、どんな質問をするかを考えるのはインタビュアーの仕事です。
記事を掲載する媒体の読者層はどんな人なのか。どんなことを求めている人なのか。どんなことを伝えたいのかを念頭において、質問内容を考えなくてはいけません。
ゴールを決めずにインタビュー取材にとりかかると、話が脱線して、結局なにを伝えたかったのかがよく分からない記事になってしまいます。
インタビューは限られた時間の中で、1回しか行われません。その時間を無駄にしないためにも、大まかな質問の展開は考えておくといいでしょう。
インタビュアーは会話の舵をとり、聞きたいことに答えてもらえるよう話を誘導していきます。質問の構成はそのうえで必要になるルート地図のようなものです。
3.取材道具を揃える
インタビューをする時に必要なものは以下の通りです。
・ペン
・メモ
・質問事項を書いたメモ
・資料
・ICレコーダー
ペンとメモは、インタビューをしながら重要だと思うところや専門用語の覚え書きをするために必要になります。
ただし、あまりメモばかりを取っていると相手の表情を見落としてしまいます。あくまでもインタビュー中は相手の目を見て、しっかりと話に耳を傾けることに集中して、詳細はあとでICレコーダーを聞くようにしましょう。
いくら取材といえどもこちらの方を見向きもせず、メモを取るのに必死になってばかりいたら、相手も気分がいいものではありません。「きちんと聞いています」という姿勢を見せることも、インタビューでは重要なのです。
ICレコーダーは、途中で充電が切れてしまわないようにフル充電しておくこと。もしもの時のために、予備があると安心です。同様に、ペンとメモも予備を用意しておくことをおすすめします。
質問事項を書いたメモは、手元にあった方がいいでしょう。いざ取材を始めると、何を質問するか忘れてしまうこともあるものです。資料は、細かい数字や年代を示すときにあると便利です。
インタビュイーも細かいことまでは覚えていないことも多いので、資料を参考にしながら話を進めていくこともあります。
こんなときどうする?
インタビュー時によくおこる、代表的な“困ったこと”の対処法について見ていきましょう。
相手の話が脱線する場合
取材時間は限られています。場の雰囲気を和ますための話や、相手の本音がみられる話なら多少は問題ありませんが、中には取材テーマと全く関係ない話を延々とする人もいるものです。
会話の主人公はあくまでも取材相手ですが、会話の舵取りをするのはインタビュアーの役目。話の脱線を回避するには、まずインタビュー取材の目的を事前に説明することが一番です。
読者層や、掲載先の媒体はもちろんのこと、質問の意図もしっかりと伝えておくこと。すると、相手もどんな答えを返せばいいか事前に考えられます。取材の意図を把握していないまま取材当日を迎える人は、意外と多いようです。
最初に双方の目的を一致させて共通のゴールを掲げておくと、答えにたどり着くまでの時間が短くて済むでしょう。
また、取材中に会話が脱線してしまったときには、「ところで○○についてなんですが……」という風に切り出して、話を元に戻すように対処していくのがポイントです。
会話が続かない場合
話の最中に沈黙が訪れることに対して、苦手意識をもつ人は多いと思います。気まずい雰囲気になり、「何か話さなくちゃ」とつい自分の話ばかりをしてしまったという経験はありませんか?
普段の会話であれば、それでも大丈夫かもしれませんが、インタビュー取材はそれではいけません。自分の話ばかりで終わってしまっては、記事にする素材が減ってしまい、内容の薄い記事になってしまうからです。
では、この沈黙をどう乗り切ればいいか。その答えは、相手が話し出すのを待つことです。意外に思われた方もいるかもしれませんが、沈黙が苦手というのは実は相手も同じ。沈黙が訪れると、相手も「何か話さなくちゃ」と感じていることが多いのです。
だから、沈黙が訪れたときには「話し出すのを待ちますよ」という姿勢を見せて、相手を見つめているのが効果的です。
それでも相手がなかなか話さないという場合は、「先ほどの話ですが、○○ということでよろしいですか?」という風に今までの話の内容をまとめたり、確認したりしてインタビュアーが話を繋げられるようにしましょう。
相手の話が長い場合
話下手な人よりも、おしゃべり好きな人をインタビューする方が難しいものです。おしゃべり好きな人は、自らどんどん話をしてくれるので、こちらが「何か話さなくちゃ」という状況に陥ることはほとんどありません。
ですが、たくさん話をしてくれる分、会話が全く別の方向へ脱線したり、時間が長くなってしまう傾向があります。相手がよく話してくれるのは、あなたの「聞き方がうまい」ということの裏返しでもある。
聞き上手はインタビュー取材の原則ですが、話が長い人に対しては「いい聞き役ではない仕草を見せる」と効果があります。
例えば、声の大きさやテンポなどを意識的にずらしてみる。すると、相手は話しにくくなり、会話のペースが落ちてきます。ほかには、相手と同じ姿勢や身振りをやめてみる。人は自分と同じアクションをする相手に親近感をもつ傾向があります。
この2つの「いい聞き役」とは逆の行動をすることで、相手が少し「話づらいな」と感じている様子が見えたらそこがポイントです。すかさずそこで、「そろそろ・・・・・・」という風に話の終わりを切り出すようにしてみましょう。
これはよっぽどしつこく会話を続けようとする人におすすめの方法です。しかし、相手に不快感を与えて話を終わらせようとする姿勢は、インタビュアーとしてのあなたの印象が少々悪くなるかもしれません。
個人的には「素敵な話でつい聞き入ってしまいましたが、そろそろ・・・・・・」という風に、相手の気分を持ち上げるような会話のさえぎり方が理想的だと思います。
インタビュー・チェックリスト
最後に、インタビュー記事の内容を確認するためのチェックリストがこちら。推敲・校正の指標として、ぜひ活用してみてください。
- 文字数は適切か
- 誤字脱字はないか
- 漢字とかなのバランスは適切か
- 読みやすい文章になっているか
- 事実関係にそぐわない記載はないか
- インタビューの目的を果たしているか
- インタビュイーの意向を汲んでいるか
- 読者が読みたい内容になっているか