こちらの記事では「研究計画書」の作成方法について解説しています。
<ポイント>
・研究計画書とは
・研究計画書の構成例
・研究計画書のポイント
・研究テーマの見つけ方
・研究計画書作成の流れ
・学習方法
研究計画書とは
とくに社会人の大学院入試において重要なのが「研究計画書」です。
そもそも研究計画書とは、「その大学院に入学して、どのような研究を、どのように行うのか」を示す計画書のことです。
大学院は大学と異なり、研究を行うことが主な目的となります。その点からも、研究計画書の作成がいかに大事かお分かりいただけることでしょう。
研究計画書の構成例
研究計画書の構成例は次のとおりです。
①研究テーマ名
②研究の概要と目的(動機を含む)
③研究内容
④研究の進め方(研究方法、計画、データの種類)
⑤研究成果に期待されるもの
⑥参考文献
これらの構成を基本とし、「テーマをわかりやすくする」「社会経験をふまえた研究を選ぶ」「オリジナリティを大切にする」などのポイントもふまえ、作成するようにしてください。
大学院側が重視する研究計画書のポイント
次に、大学院側が重視する研究計画書のポイントについてみていきましょう。大きく次の3点です。
1.研究テーマと専攻との整合性
大学院は「指導教授制」が基本です。指導教授制とは、研究するテーマに応じて指導する教授が決まるというもの。そのため、教授が指導できる範囲の内容にて、研究計画書の研究テーマを考えなければなりません。ミスマッチがあれば門前払いされる可能性もあります。
2.研究テーマに対する受験者の問題意識
大学院入学にあたり、受験者がどのくらい予備知識や問題意識をもっているかという視点も重要になります。たとえば、研究計画書の内容はもちろん、参考文献をみるだけでも、受験者の基礎知識や事前学習のレベルが把握できてしまいます。
3.修士課程(通常2年)で研究できるか
研究テーマがあまりに広範囲にわたっていると、通常2年の修士課程では研究し尽くせない可能性もあります。そうならないよう、研究計画書の段階において、あらかじめテーマの絞り込みを進めておく必要があります。
各大学院の特徴をふまえた対策を
これら3つのポイントからわかるのは、「①受験者における研究者としての適格性」および「②希望する研究領域に関する教授の適格性」という、2つの適格性が審査されていることです。つまり、それらを審査するために研究計画書の提出を求めているのです。
その点において、受験する大学院の特徴をつかんでおくことは必須です。ホームページやパンフレット、オープンキャンパスや説明会などから情報収集を進めていきましょう。
その際に、「どのような学生を求めているのか?」「どんな教授がどんな授業を行っているのか?」などについて、しっかりと確認しておきましょう。
研究計画書で要求されている3つの項目
それぞれの大学院において、研究計画書のフォーマットや文量は異なります。ただ、どの大学院においても、研究計画書に書くべき項目にの方向性は同じです。大きく、次の3つがあります。
・これまでのキャリア(前提)
・希望する研究内容の詳細(志望理由+研究の中身+参考文献)
・修了後のキャリアについて(未来)
つまり、「①なぜその大学院に入りたいのか?」「②(先人の研究結果をふまえて)どのような研究がしたいのか?」「③研究結果をどう社会に活かしたいのか?」を論理的に記載するのが研究計画書となります。
研究テーマをどうやって見つけるか?
研究計画書の作成にあたり、もっとも悩むのは「テーマの選定」です。テーマさえ決まってしまえば、所定のフォーマットを埋めていくだけなので、それほど難しくありません。論理構成や文章技術についても、基本をおさえれば問題なく対応できます。
では、どのようにしてテーマを決めればいいのでしょうか。具体的には、「①問題意識を明らかにする」「②明らかにした問題意識を研究計画書に落とし込む」ことになります。
①問題意識を明らかにする
問題意識のスタートは現場での「なぜ」にあります。現場考えたこと・思ったことについて「なぜだろう」と考え、その「なぜ」を説明する具体例を考えてみる。そのうえで、自分なりの意見をまとめます(仮説)。
②明らかにした問題意識を研究計画書に落とし込む
次に、明らかになった問題意識を研究計画に落とし込みます。具体的には、「データの収集と検討」「先行研究とのすり合わせ」「他者との議論」などの過程を経て、テーマを絞り込んでいきます。
研究計画書作成の流れ
テーマの選定も含め、研究計画書は次のような流れで作成します。
①取り組みたい研究内容の整理(社会経験との関連性、オリジナリティ)
②先行研究のチェック(書籍、論文など)
③アウトラインの決定
④執筆
⑤推敲・見直し・第三者チェック(論理構成、文章のわかりやすさ、文字数)
「②先行研究のチェック」に関しては、定めた研究テーマの書籍や論文を検索し、とくに重要だと思われるものをいくつか選び、丹念に読み込みます(「参考文献」や「注」も)。学会において権威のある教授が書いてあるものであれば間違いありません。
「③アウトラインの決定」や「④執筆」に関しては、論理的な文章の書き方をマスターしておきましょう。大学院で論文を書く際には必須のスキルとなります。論理的な文章を書く方法については、以下を参考にしてください。
学習方法
研究計画書の作成までまだ猶予があるという人は、基礎学習をしておきましょう。とくにMBA志望者にオススメの学習方法は次のとおりです。
1.社説の要約
MBA受験者であれば、問題なく日々のニュースをチェックしているかと思います。ただ、新聞を購読していない人は、この機会にあらためて新聞を読むようにしてください。とくに「社説」や「論説」は、研究計画書や小論文作成の参考になります。原稿用紙に自分なりの要約文を書いてみるなどすれば、論理構成や専門用語、漢字の学習にもつながります。
2.基本書の読み込み
専攻科目に関する総合的な視点を得るには、基本書の読み込みが欠かせません。もちろん、筆記試験対策にもつながります。MBA受験者であれば、以下の書籍がオススメです。
・入門書
はじめての経営学―日本を代表する経営学者による誌上ビジネススクール
・基本書
日本の企業システム(全4巻)
経営戦略の論理 〈第4版〉―ダイナミック適合と不均衡ダイナミズム
3.専門誌・論文の読み込み
研究テーマに関係する項目については、基本書だけでなく専門誌や論文の読み込みも実施しましょう。各学会が発行している専門誌や掲載論文については、以下のサイトなどから検索できます。参考にしてみてください。
・国立国会図書館
・CiNii(論文情報ナビゲータ)
・学術研究データベース・リポジトリ
https://dbr.nii.ac.jp/infolib/meta_pub/G9200001CROSS
参考
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