実践すれば必ず本が出版できる3つのこと『本を出したい人の教科書』吉田浩

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本を出したい人の教科書 ベストセラーの秘密がここにある

本を出したい人の教科書 ベストセラーの秘密がここにある

 「本を出版できる人」と「できない人」の違いはどこにあるだろうか?

文章力? 才能? 読書量? たしかにそれらも大切だ。しかし、本当に必要な要素は別にある。なぜなら、文章力はあとからいくらでも身につけられるからだ。ゆえに才能は関係なく、読書量についても然りである。

たとえばあなたは、文章力も、才能も、読書量も取るに足らない人が書いた「実体験に基づく借金100億円返済までの軌跡」と、文章力があり、才能も読書量も十分な人が書いた「どこにでもあるメロドラマ」の、どちらに心を動かされるだろうか?

一般常識というのはたいてい的外れである。もしあなたがいつか本を出版したいと考えているのなら、まずは

「本を書く人=特別」 という固定観念を取り払わなけばなるまい。


「本は誰にでも書ける」という大前提

日本人は識字率が高い。義務教育さえ受けていれば、ほぼすべての人が文章を読み、書くことができる。極端な話、本を書くのに必要な脳力とはそれだけだ。あとは、原稿用紙に向かうかキーボードを打てばいい。つまり、「本は誰にでも書ける」というのが大前提だ。

ただ、自費出版であればそれでも問題ないが(少くとも出版という望みは叶う)、商業的な出版となるとそれだけでは不十分である。売れる見込みの無い缶ジュースを作る商品開発部に価値がないのと同じだ。ビジネスである以上、最低でも採算が取れなくてはならない。もちろん、目的を持って出版する以上はベストセラーを狙いたい。印税収入、ブランド化、知名度の向上、宣伝など、いずれを目的として掲げるにしてもだ。

『本を出したい人の教科書 ベストセラーの秘密がここにある』 には、「出版プロデューサー」の実体験をもとに、出版からその後の戦略までていねいに記載されている。これから本を出版しようと考えている方、いずれはと思案している方には必読の書と言えよう。

本を出版するための3つのポイント

書籍を出版するための詳しい手法については本書に譲るとして、ここではとくに重要だと感じた3つのポイントをご紹介しよう。

1.独自のウリ・強みを把握する

人はなぜ本を読むのだろうか? 理由は大きく2つある。

  • 抱えている悩みを解決するため
  • 欲望を充足させるため

つまり、いずれかの欲求を達成できる内容の書籍を書けば、出版できる可能性は高まるということだ。とくに、現状変更を好まない人間の性質を考えれば、「悩みの解決」の方がより強い欲求と言えるだろう。 実体験をからめて書けば説得力も高まる。

ただ、忘れてはならないのがライバルの存在だ。既存の書籍と比較して、独自性がなければ出版される確率は低い。明確なライバルが存在しない場合でも、代替品・市場に関する書籍に目を通す必要はあるだろう。

2.時間・金・労力を投下したものを書く

執筆に際して一番悩むのは「テーマ選び」だ。

自分には他を圧倒するような内容の書籍を書くことはできない、と思っている人は大前提を思い出してほしい。「本は誰にでも書ける」のだ。雑念を払って、問題の焦点をテーマ選びに限定したい。

好きなこと、特殊な経験、仕事や趣味など、選ぶ指標はたくさんある。が、もっとも分かりやすいのは、自分がこれまでに一番「時間・金・労力」を投下した物事だろう。それが良い思い出なら「成功体験」として書けば良いし、苦い思い出なら「失敗談」として書けば良い。

いずれにしても、成功の秘訣や問題解決の糸口はあるはずだ。

3.信じて書き続ける

そして、もっとも大切なのが「信じて書き続ける」ことだ。

書けない人は、書けない理由ばかり考えている。ご存知のとおり、これはなにも出版だけに限られたことではない。恋人ができない人は自分に恋人ができない理由ばかり考えているし、幸せになれない人は自分が不幸せな理由ばかり考えている。

つべこべ言う前に書く。継続的に。それ以外に、自分の本を書き上げる方法はない。恋人がほしいなら、探しに行って愛を告白する。幸せになりたいのなら、自分が幸せを感じる瞬間を求めて飛び込んでいく。

難しいことなど何もない。

ヒトコトまとめ

本を出版するためには

自分を知り、社会を知り、死ぬまで書き続ける、こと。

お付き合いありがとうございました。多謝。

<目次>

出版に寄せて 本田健
第1章 「いい本」とは何か?
――「いい本」はあなたの人生を豊かにしてくれる
第2章 テーマとUSPの発見
――だれでも人生のテーマを持っている
■ビジネスコーチ、カウンセラー、弁護士は本が出せる
人と関わる職業の人は出版に向いている
■USPマジカルシートで企画書を売り込む
あなたの企画書の「強み」は何か?

第3章 本を書く準備、ネタ集め
――なぜ、本を出せる人と出せない人がいるのか?
■古本屋に行くとベストセラーの周期がわかる
売れる本の未来予測
■「いい本」は1%の積み重ねで作る
ひと手間の積み重ねで「幸せな人生」が手に入る

第4章 間違いだらけの本作り
――9割の作家が間違った本作りをしている
■登山をするときに3つしか持っていけなかったら?
本は「戦略」「戦術」「ターニングポイント」で作る
■書きたい本・書ける本が見つかる5つの輪
本を書くテーマの見つけ方

第5章 企画書作りのルール
――知っているようで意外と知らない企画書の書き方
■タイトルは視覚効果、0.3秒でわかること
タイトル、サブタイトル、キャッチコピーのルール
■読者ターゲットは「浅掘り」か「深掘り」か?
「潜在読者」という第3の読者

第6章 文章テクニック
――文章は「名文」ではなく「明文」で書く
■最初の3行、最後の3行をうまく書け
ヘタをうまいに変える5つの文章術

第7章 ベストセラーの分析
――ベストセラーは狙って作れるのか?
■昔のベストセラーは「富士山」、今は「スカイツリー」
なぜ、話題の本が100万部売れるのか?
■作家に書きたい本を書かせるな
「逆算方式」でベストセラーを作り出す

第8章 夢をあきらめない、書き続ける
――「いい本」を出してからが作家人生のスタート
■地方にいる作家は「小さなクジラ」になろう
地方の作家はコミュニティを作れ

<著者>

吉田浩
出版プロデューサー、童話作家。愛称は「出版業界のジャイアン」。1960年、新潟県六日町(現・南魚沼市)生まれ。幼少期は心臓が悪く、毎日、本を読んで過ごす。新聞奨学生として大学(法政大学文学部)に入学。ナンセンス童話の巨匠、寺村輝夫氏に弟子入りする。自ら執筆した童話、ビジネス書は約200冊。NPO法人『企画のたまご屋さん』創立。会長理事。学生によるベストセラー出版会『PICASO』創立。大学生による出版企画のコンテスト『出版甲子園』創立。

<類書>

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