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「決められない」。「決断ができない」。とくに、対象が複雑であればあるほど、決断は難しくなるものだ。しかし、たとえ小さな問題でも、決断をしなければ物事は前に進まない。そして、優秀な人ほど決断が早く、的確だ。
本書では、すべての行為は「ゲインタスク」と「ペイン回避タスク」に分けられると言及している。つまり、「ほしい」か「痛みを避けたい」のいずれかだと言うのだ。そのように分けることで、誰でも最適な決断ができるようになる。
人生は“決断”で決まる!
人生は決断の産物だ。現時点に至るまでの時間を、何に使うと決めてきたかで、人生は決まる。時間は自分に機会を与えてくれるものなのだと理解すれば、生活の質を向上させ、前に進んでいくために活用できるようになる。
自分で自分の決断を支配できるようになると、結果も支配できるようになり、以前にも増して思いどおりの結果を生みだせるようになる。自分の決断を支配できれば、自分の人生を前に進めていける。支配できなければ、自分の身に起きることを管理するだけの人生になる。
「時間を管理する」という言い方があるが、実際に時間そのものを管理することはできない。何をすると決めようと、時間は刻一刻と過ぎていく。私たちに管理できるのは、自分自身の「決断」だけだ。
自分の人生は自分で決めなければならない。ごく当たり前のことではあるが、それが正しくできている人はどれだけいるのだろうか。私たちはまず、「自分で自分の決断をする」と心に誓う必要がありそうだ。
本能を知り、ゲインタスクを選択する
脳は「改善よりも生存を」「何かを得ることよりも苦痛を避けることを」「『する必要のないこと』よりも『する必要のあること』」を優先するようにできている。それが本能だ
本能のままに生きるのは簡単だ。しかし、それでは崇高な望みを実現することはできない。ペインを避けるのではなく、ゲインのための行動をする必要がある。ゲインタスクの特徴は次のとおり。
1.緊急性がない
2.しなくても困らない
3.誰にもまかせられない
また、ゲインタスクには2つのタイプがある
バランスの取れた状態を保ち、燃え尽き状態に陥らないようにするためには、消費ゴール、創造ゴールの両方を目標としてかかげる必要がある。
消費ゴールから得られる満足の持続効果は短いかもしれないが、長期的な目標の実現にはなくてはならないものなのだ。
「消費ゴール」は、たとえば買い物や休暇など。「創造ゴール」は、人生を前に進めるためにやるべきこと、大学院に入学したり、海外に留学するなどだ。
新しい優先順位のつけ方
これらを踏まえたうえで、新しい優先順位のつけ方を身につける。
・新しい優先順位のつけ方
A = ゲインタスク
B = 評価が関係するペイン回避タスク
C = 評価されることのないペイン回避タスク
・生み出される結果
A = 目標に近づける。向上・成長できる。
B = 責任を果たせる。
C = 現状維持できる。
時間そのものが状況を変えてくれることは絶対にないのだ。より良い状況を求めて前に進む努力をしない限り、5年が過ぎてもいまと同じ状態のままだ。
5年たっても何も変わらない人生と、生涯の財産となる何かを成し遂げられる人生の違いはどこにあるのか。直ちに前に進むための行動を起こし、そのための努力をするかどうかの違いである。
先送りグセがある人の頭のなかは「しなくてはいけないこと」でいっぱいで、「やりたいこと」について考える余地はない。
不安からやる気が生まれるのを待つのは、先回りではなく後手に回る対応の一種である。
これからは、「締め切り間際にベストを尽くす」ではなく、「ベストを尽くすべきと自分で決めたタイミングでベストを尽くし、締め切り間際まで手をつけないのは重要でないタスクだけにする」に変えてはどうだろう?
目標を実現できない人が大勢いるのは、実現に向けて動く時間を確保しようとしないからである。
カレンダーに目標に向けた作業を行う日時を確保すれば、その時間にほかの予定は入らない。たぶん、これまでそうしなかったのは、目標のための時間を“見つけよう”としていたからだろう。
そして、これが実践する方法である。
<実践する方法>
① 1日(Cタスク)、1周間(Bタスク)、1ヶ月(Aタスク)単位のスケジュールを立てることに数分費やす。
② 人生にゲインを組み込むために、カレンダーを有効に活用する。
基本事項の確認や必要となるタスクの洗いだしをする日時をカレンダーに書き込むことから始めよう。所要時間は目標の難易度にもよるが、15~30分見ておけば十分だ。
そうして洗いだしたなかから、自分が取るべき最初の行動を見つけよう。一度の洗いだしでは不十分だと感じたら、30分の洗いだしの時間を新たにカレンダーに設けて掘り下げるとよい。
洗いだしたタスクを順に並べると、実現までの流れ(フローチャート)ができる。これは、いまいる場所から目的地までのロードマップのようなものだ。
そうして進むべき道筋と最初に取るべき行動が決まったら、今度はそれをカレンダーに書く。どんあんい小さなタスクでもかまわない。直ちに予定を組もう。
そのようにして目標を実現するための、進むべき方向、知識、欲求、時間、ツール(カレンダー)が揃い、実際に取り組み始めると、行動に勢いが生まれてくる。
<他人との関わり方>
そして最後に、重要な他人との関わり方について。
他人にとって重要な案件を片づけることに専念して大きな成功を収めた人はいない。誰かの要請に応えることを中心にしたプランニングをしていると、それを優先する考え方から抜けだせなくなる。
(中略)
この落とし穴を避けるには、ほかの人から頼まれたことに優先順位をつけるとよい。そうすれば、他人にとって大事な仕事ばかりをしてしまうという事態を防げる。
<目次>
■はじめに――ベストの決断ができる思考法
自分が求めているものは何か?
■第0章:8つの質問――決め方ですべてが変わる
無数の決断を瞬間的に重ねていく
■第1章:「ほしい」のか 「避けたい」のか?――人の動機は2つしかない
自分を動かす2つの衝動
「ゲイン」だけが人を前進させる
「ペイン」が「しなくてはいけない!」と思わせる
「する必要のないこと」を選べ
ゲインタスクとは何か?
■第2章:「動き」で判断する――ゲインタスクで決断を変える
行動の細部まで「価値」にする
週60~100時間働く「高給取り」の共通点
「動く」と自分が安定する
「動いているかどうか」で決める
「ゲイン」と「ペイン回避」を同時に機能させる
■第3章:「結果」にフォーカスする――新しい優先順位のシンプルなルール
すべてが「A」になる
新しい優先順位のつけ方
それをすると何が得られるか?
「他人の期待」に行動を決められている
自分はどの「流れ」にいるか?
■第4章:すべては一瞬で決まる――エネルギーとモチベーションで計れ
ドーパミンが「行動」を繰り返させる
エンドルフィンで「苦痛」を乗り越える
アドレナリンで「挑戦」に向かう
この指針で「答え」は一発で決まる
満足を「消費」しながら目標に向かう
■第5章:「時間価値」を脳に刻む――わかっていないから浪費する
決めた瞬間 他を捨てる
「決断=結果」を支配する
習慣に「何時間」使っているか?
「5分の行動」も確実に完了させる
「望んでいないこと」で望むことを知る
■第6章:「計画」を立てる――1カ月 1週間 1日をどう決めるか?
「1カ月のスケジュール」のルール
「1週間のスケジュール」のルール
「1日のスケジュール」のルール
最短時間で最大の成果を手にできる
クオリティの高い行動ができる
■第7章:「中断」を管理する――1日の終わりも中断と考える
邪魔に「具体的」に対処する
邪魔が入った「瞬間」に対処する
自分で自分の話をさえぎる
それは「2分以上」かかるか?
1日「3分の1」の時間を有効化する
■第8章:「人生」を管理する――「合理的に決める」行動を継続する
記録情報を「仕組み化」する
すべてをフォークのように管理する
箱の中に「決断」が入れっぱなし
行動するときだけタスクが現れる
自分は何に時間を割いているのか?
■第9章:「行動」を起こす――決断だけで終わらせない
決断には必ず「結果」がともなう
決断は「ルール」である
ただちに第1章にもどれ
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