一瞬で心をつかむできる人の文章術―1日たった15分10日間で上達!
文章を上手に書きたいと思っている人は多いが、確立された練習方法というのあまり聞かない。
「そこまでする必要はない」という大衆の声から、市場がないと判断しているのであれば再考したい。なぜなら文章は「誰にとっても必要不可欠なもの」だからだ。
たいていの人は文章が上手に書けないことで損をしている。自覚の有る無しに関わらず。だからニーズが無いのではなく、ニーズを引き出すための働きかけがないだけだ。
ちなみに確立された練習方法もある。
文章は上達する
まさかあなたは、国語の成績の善し悪しがそのまま文章力を表していると思っているのではあるまい。あれはただの「暗記」力の結果だ。努力の分だけ成績はあがる。
もっとも文章力の向上にも努力は必要だ。具体的には「継続して書くこと」である。ただ闇雲に継続して書き続けるだけでも一定の効果はあるが、以下の3点を考慮すれば、飛躍的に向上することは間違いない。
1.「感情」を盛り込む
感情を盛り込む方法はたくさんある。喜怒哀楽や5感で感じたものを書いても良いし、会話を加えても良い。あるいは「心のつぶやき」を入れてみるのも面白い。
『彼女がカモミールティーを持ち上げたとたん、やわらかな香りに心が安らぐのを感じた。「温かいわ……とても。とても」彼女の微笑が僕の心を癒す。コーヒーなんて無くても良いのだ。』
大切なのは、普段から感情に敏感になることだ。そのためには感受性を豊かにしなければならない。自分を見つめ直す時間を設けるのも良いだろう。
書き手が涙を流して書いたようなものでなければ、読み手が涙を流すことはない
(R,フロイト)
2.「ストーリー仕立て」で書く
物語が記憶に残りやすいのは、そこに「ストーリー」があるからだ。誰しも最初から上手に物語を書けるわけではない。はじめのうちは時系列で物事を書いてみるだけでも良い。
『ジョギングを終えよて一息つくと、鳥たちの声が聞こえた。スズメにヒバリにオナガもいる。僕はゆっくりと歩きながら解けかけた雪を踏み、その感触をしっかりと確かめる。「春が来るのだ」——そして一日がはじまる』
朝のひとときを思い出しながら順番に書くだけでそれらしくなる。まずはブログでも日記でも、ストーリーを意識して書いてみると良い練習になるだろう。
3.「自分らしさ」を出す
自分らしさとは文章の「クセ」とも言える。語尾、句読点のリズムといった技術的なものから、過去の記憶、抱きやすい感情など、中身にまで反映される。
技術的な部分のクセは書けば書くほど見えてくる。あまり気にしすぎると筆の走りが鈍るので、気にせずどんどん書くほうが良いだろう。 逆に、中身については「ワン文章・ワンメッセージ」を意識して書いた方が主張が明確になる。つまり「何が言いたいのか」がハッキリするのだ。
『なるほどたしかに今は就職難かもしれない。しかしお前は今までなにをしていたと言うのだ。「なあ、頼むよ」苦笑いしながら胸の位置まで中途半端に頭を下げる父を見て、私は悲しみよりも“怒り”が勝るのを感じた』
また読点については、使い方によって意味が異なる場合があるので注意したい。
ヒトコトまとめ
文章上達の近道は
感情を込めて、ストーリー仕立てに、自分らしく書く、こと。
お付き合いありがとうございました。多謝。
<目次>
プロローグ 文章力こそ最大のスキル!
1 「文章がうまく書けない」には理由がある
自分の言いたいことがうまく伝わらない
自分の気持ちを文章でうまく表現できない
知らないうちに自分の文章が人を傷つけていた
やる気はいっぱいなのにちっとも書けない
書きはじめるが最後まで続かない
「君の文章はつまらないよ」と言われてしまった
スラスラ書けるようになりたいが、すぐに詰まってしまう
熱いハートをこめて書いたのにキモイと言われた
なぜかブログが長続きしない
自分の半生を書き残したいが自信がない
自費出版にするか商業出版に挑戦するか迷っている
〈コラム1〉人を感動させる文章は自分自身の感動体験から
2 「朝・夜・休日」 家族みんなの幸福を呼び込むテーブル演出とは?
何を言っているのか話がよくわからない
考え方に柔軟性がなく思い込みも強い
なぜか言葉が出てこない
どうしてもよいアイデアが浮かばない
多角的に見る力や疑問をもつ力が弱い
自分を客観的に見るのが苦手
会議の司会進行がうまくできない
企画書がうまく書けない
〈コラム2〉言葉は炎のように広がる「マッチ棒の法則」
3 騙されるな! 文章の常識9つの落とし穴
自由に書けと言われても
感じたままに書けと言われても
話すように書けばいいって簡単にいいますけどねえ
起承転結ってなによ?
国語の勉強で読解力はほんとうに身につくの?
読書感想文にストーリーを書いたら叱られた
国語教育ってこのままでいいの?
教わったのは原稿用紙の使い方だけ
添削指導しかしてくれない文章講座
〈コラム3〉文章が伝えるのは言葉だけではない
4 1日たった15分、10日続けるだけでスラスラ書けるように
1行も書けなかった小学6年生が一気に書きはじめた
「ストーリー仕立てで書く」テクニック
1日目/昼食をストーリー仕立てで書いてみる
2日目/語尾に変化をつけてみる
3日目/5W1Hを入れて書いてみる
4日目/5感で書いてみる
5日目/心のつぶやきを挿入して書いてみる
6日目/会話を挿入して書いてみる
7日目/説明文を挿入して書いてみる
8日目/喜怒哀楽を表現してみる
9日目/自分のメッセージを挿入して書いてみる
10日目/時代性のあるテーマを盛り込んで書いてみる
毎日の15分トレーニング/日記を書いてみる
準備を怠るな
マインドマップを活用する
自信をつけるための3つのコツ
一瞬で心をつかむ文章を書くために
〈コラム4〉「4対2対4」の法則
5 もっといい文章を書くための究極テク
結論を先に書くテクニック
疑問を先に書くテクニック
論理法を利用するテクニック
じらしのテクニック
オチをつけるテクニック
5つの推敲テクニック
推敲の基本
〈コラム5〉未完成の法則
エピローグ
<著者>
高橋 フミアキ
本名:高橋文秋。文章スクール主宰、作家。株式会社東京クリエイターズネット代表取締役社長。作家・井伏鱒二と同じ広島県福山市加茂町出身。世田谷在住。20代の頃、文豪・中上健次氏と出会い、文学を志すようになる。広告代理店に10年間勤務し広告制作にもたずさわる。
<類書>