メディア運営に暗雲が!DeNAの会社としての問題点

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急成長していたキューレーションメディア業界に激震が走った12月。信憑性が低く、写真や記事内容の無断転載が多数見つかったことを受けて、DeNAという大手の会社が手がけたキューレーションサイトの記事が全て非公開となりました

12月9日には謝罪会見が開かれ、新聞などに大きく取り上げられるという事態に。それにともない、リクルートが運営する「ギャザリー」、サイバーエージェントが運営する「Spotlight」「by.S」の記事も非公開化が進んでいます。

前回は、「キューレーションメディアの問題点」について考えました。そして、今回は「DeNAの会社としての問題点」について私が思うことをまとめてみました。

DeNAの会社としての問題点とは

では、具体的に、DeNAの何が問題となっているのでしょうか。大きく3つあります。

1. 著作権法を意図的に回避している記事

通常のメディアは、記事の品質や正確性をチェックする編集部があります。しかし、DeNAが運営するメディアの中には一般ユーザーが自由に投稿できるものもありました。

一般ユーザー投稿の記事もきちんと編集部がチェックをおこなっていれば問題ありませんが、そうではなかった。その記事の情報が本当に正しいのかも、誰が責任を負うのかもわからない状態でした。

中にはライターに「他の記事を参照にしていいが、元の記事と同じだと分からないように」と指導していたマニュアルが存在していたことも判明。組織ぐるみで著作権法を意図的に回避しようとしていた姿勢がわかりますね。

確かに他サイトの記事をそっくりそのまま転載すれば、すぐにばれてしまいます。では、微妙なニュアンスや言葉を変えればいいのか。「パクりではない」と主張したいなら、それはそうなのかもしれません。

しかし、これはモラルの問題。他人が時間をかけて取材した記事を、多少手を加えて新しい記事として公開するのがいいことなのか。これに対しての問題意識が低かったことが、問題のひとつだと思います。

2.著作権者への配慮が欠けていた

今回の騒動以前から、「写真や記事の内容が無断で転載されている」という声がネット上であがっていたました。DeNAは権利者から削除申請などがあれば、個別で対応してきたとのこと。

しかし、これは今までそういう声があったにも関わらず、会社としてきちんとした対策を考えてこなかったということです。今回の件がきっかけで、相談窓口が設置されたようですので削除申請や使用料の請求の声はもっと増えるでしょう。

守安社長は「権利者さんへのコミュニケーション、配慮が欠けていた」と会見でも述べていました。キューレーションメディアでは、アクセス数をアップさせるために1日に公開する記事の本数を増やさなければならない。

記事の見栄えをよくするために、綺麗な写真も必要になるでしょう。場所や風景の写真は、素材サイトでもなかなか見つけられないものも多いようです。そうなると、ネット上にある個人が撮影した写真を使用するという場合もあったかもしれませんね。

ここで権利者にきちんと許可をとっていればよかったものの、それを怠ってしまったのが大きな問題だと思います。

3.外部からの指摘があるまで改善されなかった

DeNAの会社としての一番の問題は、こうした大騒動になるまで運営体制が改善されなかったことです。今回、ニュースサイト「BuzzFeed(バズフィード)」が、DeNAが手がける医療情報サイト「WELQ」の信ぴょう性の低い記事について取り上げたことで、問題が掘り起こされました。

裏をかえせば、こういった報道がなければ、ずさんな運営体制は続いていたということ。また、11月中旬以降にネット上を含め、外部からの声が上がっているにも関わらず、サイトの記事を全て非公開にするまでに半月もかかっています。

この問題について社内での認識が低かったのでしょう。それが余計に外部からの怒りを買い、より大きな声となって広がっていきました。こうなるまでに社内で誰かが問題提起できなかったのか。もはや企業の自浄作用がはたらかないほど、それが普通になっていたのだと思います。

まとめ

ここ数年でWEBメディアは急増しました。スマートフォンの普及により、その需要は今後も高まっていくでしょう。

DeNAのような編集部のキューレーションメディアでは、記事の品質や正確性がきちんとチェックされていない分、1記事を作成するコストはかなり低く抑えることができます。収益がアップするので会社にとっては、おいしいビジネスモデルです。

しかし、利益だけを求めた結果が今回のDeNAの顛末。メディアはユーザーに正しい情報を届けなければなりません。これはDeNAだけの問題ではなく、他のメディアにも当てはまることだと思います。今後、DeNAがどのように再建していくのかがとても気になりますね。

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