インタビュー取材をする際には、事前準備がとても重要という話をしました。では、当日は特に気をつけることもなく、リラックスして取材に挑めばいいかといえば、そういうわけにもいきません。
事前準備はあくまでも、インタビューを成功させていい記事を書くための下準備に過ぎません。これをきちんと行うことで、スタートラインにようやく立てたというイメージです。
インタビュー当日、忘れてはいけない心構え
インタビュー取材の本番は、当日。この本番をうまく乗り切らずして、いい記事を書くことはできません。そこで今回はインタビュー当日に役立つ心構えをご紹介します。
1.あいさつ、身だしなみには気をつける
まず、最初に気をつけておきたいのがあいさつと身だしなみ。インタビューをする相手とは、ほとんどの場合初対面であることが多いです。インタビュアーは短い時間で相手との信頼関係を築き、いかにこちらが知りたい情報を引き出せるかが腕の見せ所になっています。
そのための印象を良くするには、あいさつと身だしなみがとても重要になるのです。第1印象はわずか7秒で決まるといいます。あいさつは笑顔を添えて、身なりは清潔感がある服装を心がけましょう。男性であれば、スーツを着る方が無難です。
2.インタビューの目的を説明する
あいさつを終えた後は、最初にインタビューの目的や主旨を相手にきちんと説明するようにしましょう。相手によっては、事前にインタビューの内容を把握していない人も意外と多くいるものです。目的や主旨が分かっていないままインタビューに入ってしまうと、話が大きく脱線してしまって、聞きたい情報が引き出せずに終わってしまうことも。
短い時間を有意義に使うためにも、インタビュー記事の掲載先の読者層や取材の意図などを事前に確認しておくことは大切です。最初にお互いがゴールはどこにあるのかを認識していれば、どういうパスを出せばいいかが分かりやすくなります。
3.いきなり本題から入らない
さて、あいさつや趣旨説明を終えて、いざインタビューへ!と行きたいところですが、いきなり「では早速、まず最初の質問は……」と本題に入ってしまってはいけません。先ほども言いましたが、インタビュイー(取材される人)とは初対面であることがほとんどです。
相手が取材を何度も受けているような人ならいいのですが、慣れていない人だとこういう時は何となく場の雰囲気がかたくなりがちです。できれば相手の緊張感をほぐしてあげられる、自然な会話から質問内容に繋げていくような話はこびを身につけていきましょう。
これは実践のなかで培っていく力なので、数をこなして自分が「これだ」と思う会話術を見つけていくことです。
4.相手の話を真剣に聞く
インタビュー中にメモを取るのに夢中になってしまう人もいますが、出来ればメモは最低限に留めておいて、相手の目を見て「話をきちんと聞いています」という姿勢を見せましょう。人は「自分の話を聞いてくれている」と思った人の方を向いて話をする傾向があるようです。講義で先生が、熱心に聞いている生徒の目をよく見て授業をしているのと同じです。
ICレコーダーでインタビュー内容は録音しているものの、あとでそれを文字起こしする作業は結構な手間になります。なので、出来るだけ録音した音声を聞かなくても記事が書けるようにとメモを一生懸命取りましょうという人もいます。1記事を書くのに時間がかかると、他の仕事に取りかかるまでの時間もその分遅くなります。
これは書き手としては困った問題です。しかし、メモを取る度にインタビュイーは書き終わるまでに話を中断させなければなりません。これではスムーズな会話ができないでしょう。
また、メモを取るのに必死になるあまり、相手のささいな表情の変化も見落としがちになります。インタビュアーは相手の言葉から伝わるもの以外のものも、敏感に察知する必要があります。それは相手の顔をよく見ていないと分からないもの。メモに一生懸命になるよりも、いま目の前にいる相手のことをきちんと見るようにしましょう。
5.自分の話をしない
リラックスしたムード作りのために世間話をするのは一つですが、インタビュアーはあくまでも聞き手です。取材がはじまれば、主役はインタビュイー。相手の話にしっかりと耳をかたむけて、インタビュアーは聞き役に徹しなければいけません。
人が話をしているのに、横から入ってきて会話の主導権を握り、いつの間にか自分の話にすり替えてしまう人を見かけたことはありませんか?インタビュアーはそんな存在になってはいけないのです。
まとめ
インタビュー当日は、インタビュアー自身も緊張するものです。でも、それは相手も同じだと考えてみてください。場の雰囲気が和やかになるようなムードづくりをこちらからできれば、インタビュイーからの信頼度も徐々に増していきます。
上記にあげた5点を知っている人は多いかもしれませんが、それを実際にできる人となると必ずしもその数がイコールにはならないでしょう。インタビューをこれからする、してみたいという人は是非この5点を頭の片隅において、インタビュー取材に取り組んでみてください。