相手に“伝わる”説明ができるかどうか。そのことは、私たち現代人にとって、まさに死活問題です。それにより人生は、良くも悪くもなるためです。
自らの想いを相手に伝えることができれば、ビジネスでも、恋愛でも、主導権をにぎれます。ビジネスでは、商談がうまくいき、恋愛では、意中の人を射止められるでしょう。
一方で、自分の想いを相手に伝えられない人は、あらゆるシーンで苦汁をなめることとなります。「なぜ伝わらないんだ……」と嘆き、悩み続けることになるかもしれません。
とくに社会人の場合、「あいつの説明はわかりづらい」などと思われた瞬間、それがイコール“無能”という評価につながり兼ねません。実に、由々しき事態です。
では、どうすれば相手に伝わる説明ができるのでしょうか。ポイントは説明の“順番”にあります。本書『一番伝わる説明の順番』から、もっとも伝わる説明の順番を紹介しましょう。
なぜ説明の“順番”が大事なのか?
そもそも、なぜ伝わる説明をするために、説明の順番が重要となるのでしょうか。
本書の作者であり、戦略コンサルタントの田中耕比古氏は、説明が下手な人の特徴として、次の3つを挙げています。
・何をどの順番で説明するのか整理できていない
・説明する相手の理解レベルを意識していない
・自分が何を言いたいのか決まっていない
このうち、「相手の理解レベル」と「自分が何を言いたいのか」については、事前に考えておけば問題なさそうです。ただ、正しい順番については、試行錯誤が必要です。
そこで本書では、戦略コンサルタントとして活躍されている著者の経験をふまえて、もっとも伝わる説明の順番を紹介してくれているのです。
もっとも伝わる説明の順番5ステップ
本書『一番伝わる説明の順番 』で紹介されているもっとも伝わる説明の順番は、次の5ステップから成り立っています。
①前提をそろえる
②結論・主張・本質
③根拠・理由・事実
④補足情報
⑤結論・相手に促したいアクション
それぞれの具体的な内容について見ていきましょう。
①前提をそろえる
実際の説明に入るまえに、まず、「前提をそろえる」ことからはじめます。
ここで言う「前提をそろえる」とは、これから話す内容について、相手がどの程度のレベルの知識をもっているのかを確認し、話す範囲や情報を精査することを意味します。
まさに、説明をするまえの“地ならし”のようなものと言えるでしょう。
②結論・主張・本質
次に、「結論・主張・本質」を伝えます。
このとき、結論や主張に加えて“本質”と記載されている理由は、重要なことを一言で言えるよう意識するべきだからです。本質とは、短い言葉で表現できることを意味します。
ただし、結論に至る説明に関しては、長くなっても問題ありません。
③根拠・理由・事実
さらに、結論や主張に関する「根拠・理由・事実」を伝えます。
結論や主張は、それだけでは説得力がありません。そこで、根拠となる理由や事実を紹介することで、結論や主張に説得力をもたせることが求められます。
このときに重要なのは、あくまでも客観的な事実を伝えることです。
④補足情報
そして、「補足情報」も伝えていきます。
補足情報の内容としては、根拠にいたった経緯や背景、その他の追加しておくべき情報などが挙げられるでしょう。文字通り、結論や主張の補足です。
補足情報は、結論や主張の内容によって変わってきます。
⑤結論・相手に促したいアクション
最後は、「結論・相手に促したいアクション」について伝えます。
とくに説明が長くなってしまったときは、あらためて結論を述べ、説明全体をまとめると良いでしょう。加えて、相手に促したいアクションについても伝えることが大切です。
伝えることの先にあるのは、思考を含む相手の行動なのですから。
まとめ
あらためて、もっとも伝わる説明の順番を確認しておきましょう。次のとおりです。
①前提をそろえる
②結論・主張・本質
③根拠・理由・事実
④補足情報
⑤結論・相手に促したいアクション
とくにビジネスシーンでは、この5ステップをふまえ、より伝わる説明ができるように工夫してみてください。きっと、周囲からの評価が好転することでしょう。
その他にも本書では、「相手の思考を整理するコツ」や「印象に残る伝え方のコツ」、さらには「説明力を磨くトレーニング」なども紹介されています。
自らの説明力を向上させたい人は、ぜひ、手にとってみてはいかがでしょうか。
目次
第1章 説明が下手な人は、何が間違っているのか
第2章 わかりやすい説明の順番
第3章 説明力を高める!「自分の思考」を整理するコツ
第4章 理解度が高まる!「相手の思考」を整理するコツ
第5章 印象に残る伝え方のコツ
第6章 説明力を磨く思考習慣&トレーニング