【ライター処世術】書いて稼ぐ技術 フリーランスの方もぜひ

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書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)

書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)

 『<不良>のための文章術』でおなじみのライター永江朗さんの著書。ライターとして、いかに生き残るべきかが上手にまとまっています。さすがはプロのライター。

 ライターにかぎらず、フリーランスの処世術として、活用できるひとも多いんじゃないかなぁ。


原稿書く場所確保
原稿書く場所確保 / hirosh

【ポイント】

<頭よりも体>

編集者が新人ライターに求めているのは、頭より体です。華麗な文体なんて期待していません。文章のうまい書き手なんていくらでもいますから。でも足りないのは体を使う書き手です。

 ライターにかぎらず、健康管理ができていない人は一流とは言えません。だって、自分が倒れてしまったら、取引先や周りに迷惑をかけてしまうのだから。だからこそ、まずは丈夫な体をつくる。そのために、食事に気を使ったり、定期的に運動したり、しっかり休息をとる。それもまた、仕事の一環です。

<ちょっと隙のある人材になる>

隙のない人と一緒に仕事をするよりも、隙だらけのやつのほうが私は安心できます。

 これはつまり、編集者との立場的な問題で。あんまり完璧すぎるにんげん、優秀なにんげんは、反論されてしまう可能性がありますからね。適度に抜けていたほうが、いろいろと指摘できるから扱いやすい。いっぱい叱られるひとのほうが、なにかと可愛がられたりするんですよね。ツッコまれ上手、大事です。

<「専門分野」ではなく「得意分野」をつくる>

編集者に「このジャンルならあの人」と認識されれば、営業しなくても仕事の依頼がくるようになります。

 「専門分野」をもってしまうと、他のジャンルの記事が書けなくなる恐れがある。それは避けるべきでしょう。だからこそ、専門分野ではなく、「得意分野」にとどめておく。つまりは“強み”ですね。それがあれば、優先的に仕事をもらえるかもしれない。あたり前ですが、いざというときに頼れる要素です。

<資料代を惜しまない>

資料代をケチってはいけません。フリーライターにとって資料代は原材料費みたいなものです。資料代を惜しむのは、料理人が素材を惜しむようなもの。

 本好きがこうじてライターになって僕の場合には、なんとも至れり尽くせりの助言。ええ、ええ、惜しみませんよ、だって読みたいんだもん。そうは言っても、資料に関しては図書館も大いに活用しています。やっぱり、置き場所に困ってしまいますし。いつの日か、図書館のような家に住みたいと夢想していますが。

<いい意味での鈍感力をもつ>

あたりまえのことを異常と感じ、自明なことをあえて問い直す。まずは過敏になることです。さらにいうならフリーライターにとって「あたりまえ」や「当然」は禁句です。「あたりまえ」「当然」「自然なこと」といった瞬間、思考停止に陥ってしまいます。

 なんでもかんでも「あたり前」になってしまえば、子どもからのふいの質問に窮してしまうでしょう。素朴な疑問は、つねに持ち続けたいですね。そのためには、常識もどんどん疑ったほうがいい。そして、わからないことは、知ったかぶりしないで聞く、調べる。幸いに、現代にはGoogleという強い味方がいますから。

<「ほめ言葉」よりも「間違い」や「欠点」に耳を傾ける>

最初の読者である編集者は、年齢も権威も関係なく、疑問に思えば素直に指摘すればいい。それで腹を立てる書き手は、やがて筆が荒れて読者から見放されるでしょう。

 フリーランスのライターは、ともすれば、誰からも叱られることがない。自分の城で、自分の好きな文章を書いていればいいのだから(大抵はそううまくいかないが)。ほうっておけば傲慢になってしまう危険性がある。それでは成長しない。だから、ほめ言葉より、間違いや欠点を大事にしよう。耳は痛いけど、そのぶん、心はどんどん強くなる。

<感想>

 フリーライターに、特殊な資格は必要ありません。名乗った瞬間から誰でもなれる。ただし、食べていけるかどうかはわかりませんが。そんな、本質的なことにハットさせられた書籍でした。フリーで食べていくのって、本当に大変ですよね。営業も、経理も、もちろん実務もすべて自分でやらなければならない。どこまでも孤独で、休みもなくて、誰にも頼れなくて……、だけど、どこまでも自由。

 自由と平等をはかりにかければ、自由のほうを選択したい。そんな人こそ、フリーランスになるべきでしょう。たとえ釜の底の飯を食うことになっても、溝に顔をつっこんで前のめりに死んでいく。そんな気概がなければ続きません。逆に言えば、貧乏でも好きなことをやっていれば幸せ、なんて人はどんどんフリーランスになるべきでしょうね。自己責任を堪能できますし、なにより、日本に住んでいて挑戦しないのはもったいない!

 これからは、年金だってもらえる可能性が低い。支えなければならない高齢者はどんどん増えていく。産まれてくる子どもたちは減っていく。それは当分変わりません。なら、歳をとっても稼げる能力を身につけるしかない(貯金は溶けても、能力は溶けません)。できれば、年齢に関係なく取り組めるものがいいですね。いくら健康でも、体は衰えていきますから。その点、ライターはオススメ。

 とかなんとか言って、ライターになりたい人たちにイロハを教える講師業の需要が増えれば……とか思ってます。それこそ、フリーランスの処世術ですよね。まあまずは、本書を読んで、ライターとはなんぞやということを、学んでみてください。

<まとめ>

・太ったライターは二流かモグリ

・脳あるライターは爪を隠せ(あるいは劣ったふりをしろ)

・得意分野をつくるべきだが、専門バカになるな

・本は好きなだけ買え。ただし資料にかぎる

・素朴な疑問を大事にし、子どもの質問にも真剣に答えろ

・耳の痛い話で心を強くしよう

書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)

<目次>

1 書いて生きるということ(不況だからこそフリーライターライター業の手始め人生設計をどう立てるか)
2 読み書きのしかた(永江式発想術取材のABCライターは読者の代行業である)
3 世渡りのしかた(業界を渡る、世間を渡るお金の話リスク管理術)

<あわせて読みたい>

<不良>のための文章術 (NHKブックス)
永江 朗
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