「フリーライターに文章力は必要ない」は本当か? A.はい、ほんとうです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ライター

フリーライターとして仕事をしていると、仕事をいただくこともあれば、業務を発注することもあります。「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、とくに、業務を発注するようになると、フリーライターにとってほんとうに必要なものは“文章力ではない”ということが、実感をともなってわかるようになります。

そう、ライターに文章力は必要ないのです。


文章力とはなにか

そもそも、文章力とはなんでしょうか。深掘りすればかなりの議論になるところでしょうが、ここでは、「文章を活用し、読者に対して、適切なコミュニケーションが行えるスキル」としておきます。

これは、「文章力がない」と感じる状況を思い浮かべてみれば明らかです。

  • 必要な項目が盛り込まれていない(抜け落ちている)
  • 文章全体が、何を主張したいのかわからない
  • 論理展開がなされておらず、スラスラと読みすすめられない

つまり、必要な項目をモレなくダブり(まとめは除外)なく盛り込み、文章全体の主張を明確にし、論理展開を考慮して文章を配置できていれば、それだけで一定の文章力はあると言えそうです。

クライアントが期待しているもの

ここで、クライアント(記事の発注者)が何を期待しているのか、考えてみましょう。とうぜん、ライターに業務を発注した以上、「優れた文章」「望むクオリティの記事」を求めているのは明らかです。

ただし、どんなに優れた文章でも、どんなに要望にそった記事でも、100年後に納品されたらどうでしょうか。クライアントにとって、そんなものは何の価値もありません

また、クライアントがガチガチの大企業だった場合はどうでしょうか。上層部の鶴の一声で、書いてもらいたい記事の内容が大きく変わるということは、よくあることです。

それにもかかわらず、「連絡がとれない」「レスポンスが遅い」「融通がきかない」となれば、どんなに良い文章を書けるライターでも、心象は決して良くありません。相手には立場もあり、メンツもあるのです。

「文章力偏重主義」が“ビジネス力”を軽視させる

「自分はこんなに文章力があり、才能もあるのに、なぜ仕事がこないんだ。なぜ自分の文章力を理解してもらえないんだ」。このように考えてしまうライターは、ハッキリ言って無能です。

なるほど、あなたが村上春樹であれば、ビジネス力など不要でしょう。書きたいときに、書きたいものを、書きたいように書けばよろしい。クライアントのご意向などクソくらえだ。

しかし、わたしたちは村上春樹ではないのです。糸井重里でもなければ、林真理子でもない。だとすれば、やるべきことは明らかです。

文章力などという主観たっぷりの評価にうっとりするのではなく、社会(とくに日本社会)において重要とされている「信用力」をつけること。

信用力をつける方法

では、信用力とはなんでしょうか。ひとことで言えば「約束を守ること」です。そんなことかと思われるかもしれませんが、これが、ライターの評価に大きく影響します。他のフリーランサーはもちろん、すべての社会人に言えることです。

たとえば、

  • 遅刻をしない
  • 納期を守る
  • 連絡はこまめにする
  • レスポンスは素早く
  • 言い訳をしない
  • 最低限の礼儀作法を身につける(あいさつ、見出しなみ、メールの打ち方)

こういったことが、信用力の醸成にむすびつきます。その多くは、わたしたちが幼いころから言われてきた“アタリマエ”なことなのです。

しかし、このような信用にかかわる事項を、軽視しているライターがいかに多いことか

すべては無責任からはじまる

かつて新人のころ、酒席で上司に「オレは誰よりも仕事ができた。だが、ただ遅刻が多かったせいで、いまでも部長どまりだ」と言われたことがあります。これは明らかに間違っている。

あなたは日本式の会社にいて、日本式の評価をうけている。そこでは、仕事ぶりではなく、遅刻の有無をはじめとする基本事項(信用力)によって評価されるのです」。

遅刻や納期の遅れ、連絡の有無を「そんなこと」と思ってしまう時点で、日本社会では評価されません。少なくとも評価されにくい。それが日本というマーケットであり、日本におけるマーケティングです。

おそらく、背後にあるのは単純な「無責任」の感情だと思います。相手の立場やメンツ、気持ちを考慮すれば、アタリマエのことをしっかり丁寧に行うことが重要だと、自ずとわかるはずです。

日本のライターよ、“ちゃんと”しよう

さて、冒頭でも述べた文章力。こんなものは、後からいくらでも身につきます。「わたしは今日からライターになる!」と宣言したその日から勉強をはじめればよろしい。十分に間に合います。

しかし、モラル、倫理観、礼儀作法、相手への配慮などは、後から身につけるのは難しい。育った環境や経験が大きく関わってしまうからです。ただし、意識することはできます

ちゃんとしなきゃいけないな」。そう思うだけで、社会人としての基本的な所作に配慮することは可能です。日頃から注意していれば、人格者にはなれなくとも、人並みにはなれるのです。

日本のライターよ、ちゃんとしよう。もちろんその他のフリーランサーも。業務を発注していて、ちょっと、ひどすぎると思うことが少なくない。

裏を返せば、基本事項をちょっと意識するだけで、突き抜けた存在になれる可能性があります。少なくとも、ボクぐらいのレベルまでならカンタンに稼げると思いますよ。

ライターにオススメの書籍

実践的ライター入門
実践的ライター入門

posted with amazlet at 15.12.10
松枝 史明
PHP研究所
売り上げランキング: 509,727
ライターになるための練習問題100
雷鳥社
売り上げランキング: 69,761
調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
野村 進
講談社
売り上げランキング: 4,336
1日1時間から稼ぐ副業ライターのはじめ方
しげぞう
自由国民社
売り上げランキング: 45,178
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です