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巷では、「糖質制限ダイエット」なるものが流行しています。今さら感はあるものの、本当に痩せたいのであれば、糖質制限をするべきではありません。その理由は、痩せるために必要なある「本質」が、糖質制限ダイエットには欠けているためです。
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そもそも糖質制限ダイエットとは、食品に含まれる“糖質”に着目し、それをできるだけ摂取しない(減らす)ことで、体重および体脂肪を減らそうとするダイエット方法です。とくに米やパンなどの炭水化物には、大量の糖質が含まれていますよね。
そうなると、糖質制限ダイエットの要諦は、「炭水化物(主食)を減らして、それ以外のもの(おかず)を食べよう」ということになります。細かなことを言えば「ベジ・ファースト」など、糖質が低いものから食べるなどのテクニックもあるようです。
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ただ、このような手法で、人は本当に痩せることができるのでしょうか。よく考えてみてください。ダイエットの目的は何か。そして、その目的を達成するために、本当にやるべきことは何なのか。それは糖質を制限することなのか、と。
なるほど、糖質を制限すれば体脂肪が落ち、体重も減るかもしれません。ただ問題は、落ちた体重・体脂肪を維持できるのか、という点に尽きるでしょう。あらゆるダイエット手法にはこの視点が欠けています。維持できなければ意味がありません。
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やれ「朝食抜きダイエット」だとか「バナナダイエット」だとか(よく知りませんが)など、これまでにも数々のダイエット手法が考案されてきました。そしてそのたびに、メディアが取り上げ、関連書や雑誌が売れ、喧伝する人が増えました。
しかし、私は思うのです。なぜ、本質的でないことを何度もくり返すのか、と。
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そもそも、「痩せたい」と考えている人がまずやるべきなのは、「なぜ自分は痩せたいのか?」を掘り下げることです。そうしなければ、ダイエットの目的が明確にならず、どんなテクニックも効果は限定的でしょう。自らの意志に頼らざるを得ないのですから。
どれほど素晴らしい習慣でも、自らの動機が薄ければ、それを続けることはできません。そしてあらゆるダイエットには、継続が欠かせません。「なぜ」を追求せず、方法論だけを追いかけても、本当の意味で痩せることなどできないのです。
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「なぜ」を追求した先にあるのは、意志などという何ら信用できないものに頼る必要のない、自分の内側から生じる動機です。そしてその動機をきちんと認識し、そのうえで方法論を探ることが継続には欠かせません。これを「内発的動機づけ」と言います。
たとえば、ダイエットの目的が「見た目を良くしたい」というのであれば、「なぜ自分は見た目を良くしたいのか」を考えてみること。「異性に好かれたい」のであれば、それは特定の異性なのか、それとも不特定多数の異性なのか考えてみる。
特定の異性だとしたら、その異性は本当に痩せている人が好きなのか確かめてみること。あるいは、痩せるというアプローチ以外で好かれる方法はないのか考えてみる。もしかしたら、自分の内面を磨くことで、カバーできる部分があるかもしれません。
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このように、「なぜ、なぜ、なぜ」を掘り下げていくと、自分がなぜ痩せたいのか、その根底にある動機が見つかります。そしてその動機と、自分がこれまで痩せられなかった(太ってしまった)理由を、比較してみてください。
「痩せたい」という思いに動機があるように、「痩せられなかった(太ってしまった)」現状にも、必ず理由(原因)があります。それらを比較したうえで、自分にとって最適な手法を見極めなければ、継続して取り組める手法にはたどり着けません。
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たとえば、これまで痩せられなかった理由が、「家族や友人との食事」にある場合。その人は、痩せたいと思いつつも、家族や友人との交流を大切に思っているため、食事を減らせなかったのかもしれません。
あるいは、終業時間が遅く、つい夜中に食事してしまうという人もいるでしょう。そのような人にとって、日々の夜食(?)は、かけがえのないストレス発散になっている可能性があります。それが、精神のバランスを維持するための手法なのかもしれません。
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このような行動の背景には、これまで痩せられなかった現状を引き起こした隠れた動機、つまり「裏の目標」があります。そして、自分自身に内在する裏の目標と、「痩せたい」と思う動機、それらを比較したうえで、自分に合ったダイエットを選択すること。
そこに、本当の、目標達成への道筋があるのです。
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