私たちが普段、行っているあらゆる行為は、「ストレスフルなもの」と「ストレスレスなもの」に分類できます。
仕事とプライベートの境界線が希薄になりつつある昨今。とくに重要となるのは、それらの活動を上手に配分し、一日を構成することではないでしょうか。
事実、突出している人というのは、一日中、仕事をしているように見えます。しかしその実、自分自身でストレスの配分をコントロールし、適切に対処しているものです。
休みなく仕事をしていても、ストレスの配分を工夫すれば、極度に疲れることはありません。また、燃え尽きてしまうこともないでしょう。
だからこそ、ストレスをコントロールすることが大事なのです。
ストレスへの対処法「コーピング」とは
ただし、同じ仕事をしていても、ストレスフルと感じるか、あるいはストレスレスと感じるかは異なります。個々人において、ストレスへの対処法が異なっているためです。
その点、もし日々の中で、ストレスに対処できるようになったらどうでしょうか。きっと、バリバリ仕事をしていても、疲弊しない人になれるはずです。
むしろ、仕事そのものが楽しくなる可能性もあります。そのためには、ストレスと上手に向き合い、対処していく術を身につける必要があるでしょう。
そして、そのための具体的な方法論が、本書『<コーピング>でビジネスに強くなる』で紹介されているコーピングとなります。その内容について見ていきましょう。
メンタルタフネスを高める3つのコーピング手法
そもそもコーピングとは、「認知行動療法に基づいた心身調整によるストレス対処法」のことです。コーピングには、心身のひずみを解消し、平常な状態に戻す効果があります。
もっと言うと、コーピングは「自分の感情に気づき、能動的に行動することで、感情をコントロール(自己調整)する技術」というわけですね。
本書では、コーピングの具体的な方法として、次の3つが紹介されています。
- 言葉を使ったコーピング
- 心理調整術を使ったコーピング
- 身体を使ったコーピング
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
1.言葉を使ったコーピング
言葉を使ったコーピングとは、セルフトークの活用を指します。
セルフトークとは、自分が自分に対して言う言葉のこと。つまり、「心の声」ですね。そのセルフトークを工夫することで、ストレスに対処できるようになります。
たとえば、「どうせ自分なんか……」と考えるのではなく、「できることだけ考えよう!」とセルフトークを転換すれば、ストレスは自ずと軽減されます。
2.心理調整術を使ったコーピング
心身調整術を使ったコーピングとは、心理学に基づいた手法のことです。
具体的には、行動をルーティン化させる「ルーティン法」、思考をポジティブにする「引き算法」、さらには「他人をほめまくる」などの方法が紹介されています。
たとえば一流のスポーツ選手は、ルーティンを大事にしています。それに習い、自身の活動をルーティン化することで、ストレスレスな活動に切り替えることが可能となります。
3.身体を使ったコーピング
身体を使ったコーピングとは、身体から心を鍛えることを指します。
具体的な方法としては、深い呼吸を意識した「呼吸法」や、身体の緊張をほぐす「筋弛緩法」、さらには歩き方や、まず着手することの重要性についてもふれられています。
すぐにできる方法としては、お笑い動画などを活用した「笑い」や、感動する映画などをみて「泣く」など、実践的なものも取り上げられています。
まとめ
あらためて、本書で紹介されている3つのコーピング手法について確認しておきましょう。次のとおりです。
- 言葉を使ったコーピング
- 心理調整術を使ったコーピング
- 身体を使ったコーピング
これらのうち、まずはできることからチャレンジしてみてください。きっと、これまでより上手に、ストレスと向き合えるようになるはずです。
その他にも本書では、ストレスについての詳しい情報や、コーピングの具体的なやり方について言及されています。ストレスへの対処法を学びたい方は、ぜひ、読んでみてください。
目次
序章 ストレスに負けない「強いビジネスマン」になりたくないですか?(企業にしのびよる「うつ病」の現状
あなたの会社は大丈夫?知らないではすまされない!企業に求められる喫緊の対応方法 ほか)
第1章 これが新しい自分をつくる新ジャンル“コーピング”だ!(コーピングのルーツと定義
コーピングは『ストレス相手の合気道』 ほか)
第2章 あなたに合った「メンタルタフネスを高めるコーピング手法」はこれだ!(『言葉を使ったコーピング』
『心理調整術を使ったコーピング』 ほか)
第3章 コミュニケーションの改善は難しいと思っていませんか?人に好かれ、業務がうまく運ぶ人間力向上テクニック!(あなたを“職場の鏡”で見てみたら
人を認め、感謝、感謝、最大のポイントは「感謝」 ほか)
第4章 業務展開に幅を広げるコーピング(ストレスフリーのインプットで人間力を磨く「学習系コーピング」とは?
ライバルをごぼう抜きした加速学習法(学習コーピング) ほか)