特定の会社に勤めているわけではなく、定年があるわけでもないフリーランスや自営業者の場合、将来のキャリアについては自らで考えなければなりません。キャリアとはつまり、「この先、どのような仕事をしていきたいのか?」ということです。
なかには「このままでもいいや」と思っている人もいるかもしれません。ただ、果たしていつまでも「このまま」を継続できるのか、あるいは、継続されていくのでしょうか。時代が変わり、年をとれば、状況は自ずと変わるはずです。
だからこそ、どこかの段階で(あるいはつねに)将来のキャリアについて考えておくべきだと私は思います。少なくとも、いつかどこかで天啓が降るなどと期待しているというのは、ちょっと日和見主義すぎるかと言わざるを得ません。
そこで、自らのキャリアについて考察してみたいと思います。
今、どんな生活をしているのか?
まず、現段階における私の生活についてあらためてみましょう。
現状、複数のクライアントから書籍や雑誌、Webの仕事をいただきながら、どうにかフリーランスとしてやっています。仕事は主にビジネス系ということもあり、短納期のものも少なくありませんが、若さと根性、そして体力でこなしている感じです。
具体的には、朝は必ず4時起き。それからおおむね午前中いっぱいまで執筆をしています。納期が厳しいときでも、このペースはほぼ変わりません。それからジムに行って体を動かし、午後はアポイントがあれば出かけます。
アポイントがない日であれば、午後は本屋に行ったり、図書館に行ったり、あるいは散歩に行ったりしています。休日は設けていませんが、温泉が好きなので、連れ合いとともに出かけることもあります(執筆ペースは変わりません)。
希望的観測としての「どうなっていたいのか?」
次に、希望的観測を含めたうえで、とにかくあらゆる条件がクリアされた場合での「どうなっていたいか?」を考えてみます。自分はこの先、何をしたいのか。ざっくばらんに頭に浮かんだものをリストアップしてみましょう。
・より有意義な仕事をしていたい
・有能な人たちと一緒に仕事をしたい
・効率的で洗練された暮らしをしたい
・つねに成長を実感していたい(肉体、頭脳、精神)
・思いっきり仕事をして、温泉やサウナでリラックスしたい(できれば毎日)
・ゆとりのある生活をしたい
どれも抽象的なものばかりになってしまいました。ただ、「この職業に就きたい」とか「この人のようになりたい」というのはとくにありませんし、そういったことを考えることにあまり意味はないと考えているので、まあよしとしましょう。
そのために何をすべきなのか?
さて、現状と目標があきらかになったところで、やるべきことに目を向けてみます。『仕事は楽しいかね』あたりだと、計画を立てたうえで、その計画に大きくバツ印をして壁に貼り付けるのでしょうが、とりあえずは現実的に考えてみましょう。
・より有意義な仕事をしていたい
→有意義な仕事をするには、自分がそれに見合うだけのスキルを身につけなければなりません。まずは、目の前の仕事を愚直にこなし、スキルを伸ばしながら、信頼を獲得していくことが必要だと考えられます。
・有能な人たちと一緒に仕事をしたい
→これも同じく、まずは自分が有能になる必要がありそうです。とくに、私たちがしているのはあくまでもビジネスなので、「相手に対してどんな価値を提供できるのか?」という視点でさらなる成長を目指したいと思います。
・効率的で洗練された暮らしをしたい
→日々の中で効率性を追求していれば、自然と洗練された暮らしになりそうです。現に私は、タバコや酒、ギャンブルをやめていますし、少しずつではありますが、理想に近づいているような気がします。
・つねに成長を実感していたい(肉体、頭脳、精神)
→個人的に、肉体も頭脳も精神も、鍛えれば成長していくと考えています。体を動かし、本を読み、そして仕事を通して精神を鍛錬していく。そのような生活を、勤勉さをもって続けたいと思います。
・思いっきり仕事をして、温泉やサウナでリラックスしたい(できれば毎日)
→今でも思いっきり仕事をすることはできますが、温泉やサウナに毎日はいるというのは……。あまり現実的ではありません。環境を整えるには、仕事の単価をあげていくしかありませんね。
・ゆとりのある生活をしたい
→自らを整えていくと、自然にゆとりが生まれていくような気がします。はたから見れば忙しそうにしている人も、本人からすれば、それが無為ということもあるでしょう。ゆとりとは、自分の心がけ次第だと思います。
具体的な「職業」選択に意味はない
ということで、やるべきことが見えてきたような気がします。ここではあえて、目指すべき具体的な職業には言及していませんが、それはもう、あまり意味がないと考えているためです。
これから先、加速度的に時代が進めば、今ある職業すら陳腐化する可能性があります。AIやIoT、あるいはロボットなどの技術が進歩すれば、仕事のあり方そのものが大きく変わるはずです。
その中において、私たちがやるべきことは、具体的な職業にあこがれを抱くことではありません。そうではなく、自らのスキルを普遍的なもの、汎用性のあるものに抽象化し、伸ばすべきところを伸ばすことではないでしょうか。
最後に、私が大好きな書籍から印象的な言葉を引用します。
ほとんどの人にとって、自分自身がどのようにあるべきか、何をすべきかについて考えることから得るものはない。熟慮は難しい技術であり、訓練されていない人々は、すぐに落ち込んだり、絶望してしまうことさえある。他方、フローはいわば外側から内面へと人生を変革する。まず、自分のスキルを活用する機会を見つけ、次に、集中して行為する間は我を忘れなければならなくなるようなチャレンジに取り組む。逆説的なことに、こうした出来事が終われば、以前よりも強く自己が意識されるようになる。無為の原理は同様に自己の育成に当てはまる――自分の人生をよりよいと感じるのは、自分自身を変えようとすることによってではなく、実際に変化を行動に表すことによってである。そうすることで自己は苦もなく自然に変化していくのである。
『フロー体験入門―楽しみと創造の心理学』チクセントミハイ