「最初はこんなものかな」と思っていた。でも──
「報酬の振込、来週でいいですか?」
「修正、ちょっと多いけどお願いします」
「今回は単価下がるけど、次に期待してます!」
副業ライターとして仕事を始めた頃、私はそんなクライアントの言葉に、ただうなずくことしかできませんでした。
「これが現実か」「自分に力がないから仕方ない」と思って。
でも、ある時、気づいたのです。
それは“現実”じゃない。ただの“地獄の入口”だったのだと。
トラブルはいたるところに存在していた
筆者はライターとして独立して10年以上になりますが、思えば、トラブルはいたるところにありました。
でも、最初の頃って、それを自分のせいにしちゃうんですよね。まあ、キレてしまうこともありましたが、それでは、仕事がなくなるだけです。
だから我慢する。
報酬、納期、修正、契約……。
フリーランスという弱い立場だと、そういうものにただ耐えるしかありません。それは今も変わりませんし、40を超えた私はむしろそういうトラブルめいた案件を担当することが少なくありません。
でも、中には、それで「フリーライターなんかやめてやる」と思う人もいるかもしれません。できれば、そうはなってほしくありません。
だから、とくに副業ライターが遭遇しやすいトラブルについて、ぜひ事前に知っておきましょう。
副業ライターが遭遇しやすいトラブル5選
1. 報酬の未払い・遅延
もっとも多く、もっともダメージが大きいトラブル。やる気が一瞬でゼロになります。
2. 修正回数の無制限地獄
「これで最後」と言われて何度目? 修正に次ぐ修正で、単価はどんどん下がっていきます。
3. 内容の無断転用(名前を消される)
納品した記事が、あなたの名前なしで公開されている。最悪の裏切りです。
4. 事前説明のない業務拡大
「ついでに画像も用意して」「CMS入稿もお願い」と、後出しの依頼が増えていく。
5. コミュニケーション不全
チャットで圧をかけてくる、レスが異様に遅い、伝達が雑。小さなストレスが積もっていきます。
なぜ初心者ほど巻き込まれるのか?
副業ライターとして駆け出した頃、トラブルは“避けられない通過儀礼”のように感じられるかもしれません。
でもそれには、いくつかの理由があります。
- 「断る経験」がない
- 「相場感」がない
- 「比較対象」がない
- 「不信感」を悪と教わってきた
つまり、誠実であろうとするあまり、「線を引く」ことができないのです。
未然に防ぐためのチェックポイント
以下の4点を満たしているかどうかで、トラブル率は大きく下がります。
- 契約書(or発注書)はあるか
- 単価・納期・修正回数が明文化されているか
- 納品前に報酬が確定しているか
- コミュニケーション頻度が適切か
どれか一つでも欠けていれば、「運任せ」になってしまいます。
トラブルに巻き込まれたときの対処法
証拠を残す
感情的にならず、やりとりを記録しておく(特にチャット・メール)。
一度だけはっきり伝える
「これは契約と違います」と明確に言う。あとは相手の反応次第です。
無理なら「切る」覚悟も必要
どんなに未練があっても、自分を守ることが優先。相手のためにもなります。
SNS・口コミは最後の手段
どうしても理不尽な場合は、同業者に共有するのも一つの手段。ただし冷静に。
本当にいいクライアントは何が違うのか?
- 返信が早く、簡潔
- 報酬の根拠や背景を共有してくれる
- ミスにも冷静に対応してくれる
- 「また頼みたい」と言ってくれる
相手の姿勢は、最初のやりとりでだいたい見えてきます。違和感を見逃さないようにしましょう。
怖がるのではなく、備えるという姿勢で
副業ライターは、気軽に始められるぶん、守られにくい働き方でもあります。
でも、知識を持ち、線を引くことはできます。
大切なのは、「疑う」ことではなく、「備える」こと。
今日からでも、自分の働き方を守る視点を、少しずつ育てていきましょう。
それと、本当に嫌になったときは逃げてください。副業のいいところは、いや、フリーランスの良いところは、いつでも逃げれることにあるのですから。