小説スキルが上達する!毎日やりたい小説修行5選

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 小説家を目指す人は、「小説を書ける」ようにならなければなりません。あたり前のように思われるかもしれませんが、中には、小説家を目指しているのにもかかわらず「小説が書けるようになる」ことを甘く見ている人がいます。

 小説を書くことは、ただ、原稿用紙の升目に文字を埋めることではありません。そこには舞台があり、時代があり、登場人物がいて、ストーリーがあります。短編、中編、長編など、作品の長さにかかわる区分もあるでしょう。

 それらすべてをふまえてこそ、「小説が書ける」と言えるのです。そうした理解がないまま、ただ原稿用紙の升目を埋めているだけでは、いつまで経っても「小説が書けた」ことにはならず、また小説家としてデビューすることもできません。

 厳しいようではありますが、趣味として小説を書いているならともかく、小説家としてデビューし、長く活躍したいのであれば、日々の訓練を通じて優れた作品を書き続ける必要があります。そしてそのために重要なのが「仕組みづくり」です。

 仕組みづくりとは、言い換えれば「習慣化」のことです。小説家としてデビューし、生き残るだけでなく勝ち続けるために、必要なスキルを身につけること。そのための鍛錬を、日常生活に組み込むのが習慣化です。

 では、どのような行動を習慣化すればいいのでしょうか。ポイントは、「小説を書く」ために必要な能力から逆算し、それらのスキルを身につけるための訓練をピックアップしつつ、日常に落とし込むことです。

■小説を書くには修行が必要

 本気で小説家を目指している人は、優れた小説を書くことはもちろん、小説家としてデビューすることの厳しさを十分過ぎるほど理解しているでしょう。たしかに、小説家としてデビューし、さらに活躍し続けるのは狭き門です。

 たとえば、小説家としてデビューするための王道である「新人賞の受賞」も、それだけで将来が約束されるわけではありません。新人賞を受賞したあとは、2作目、3作目と、より良いものを書き続ける必要があります。

 そこで良いものが書けなければ、せっかくデビューしても意味がありません。結果的に、書ける場がなくなっていき、また別の出版社が主催している新人賞の応募からはじめるというケースも少なくないのです。

 ただ、このような厳しい現状は、何も小説家に限ったことではありません。たとえばスポーツの世界でも、結果を残せない人はプロとして活躍できず、また長く活躍し続けるには日々の鍛錬が欠かせません。

 ビジネスの世界においても同様です。一定の成果をあげられない人は給料も役職もあがらず、やりたくない仕事を我慢して続けていくしかないのが実情です。あらゆる業界において、こうした競争は行われているのです。

 「それでも小説が好きだから小説家になりたい」と思う人もいるでしょう。大切なのはその気持ち(初心)であり、その気持ちを具体的な行動に落とし込む実行力です。さらには、継続していく力(継続力)も必要でしょう。

 加えて、小説の執筆という厳しい活動を続けていく忍耐力と精神力、さらには体力も不可欠です。裏を返すと、これらのスキルが誰にも負けず、何より自分に負けない人であれば、小説を書いて生きていくのは可能なのです。

■小説家に不可欠なスキルとは

 では、小説家にとって不可欠なスキルとは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。体力や精神力ではなく、より実践的なスキルについて考えてみましょう。たとえば、次のようなものが挙げられます。

・プロット作成力
・執筆力や推敲力
・読書力(分析力)

 これら3つのスキルは、小説を書くために不可欠なものとなります。優れたプロットを作成し、執筆や推敲を経て作品を完成させつつ、日々の読書によって感度を高めていくことが、小説家としての基本と言えるでしょう。

 前提として、小説家の中にはあらかじめプロットを書き出す「プロッター」と、プロットを書かずに執筆する「パンツァー」の人がいます。このうち後者の場合は、プロット作成力がなくてもいいと思われるかもしれません。

 しかし、パンツァータイプの人も、まったくプロットを作らないというわけではありません。あくまでも、頭の中でプロットを完成させられるからこそ、小説を書き上げることができるのです。それらは単に、読書量や能力の違いでしかありません。

 とくに、小説を書きはじめてまだ日が浅い人は、頭の中だけでプロットを作るのではなく、紙に書き出すことが大切です。そのようにしてプロット力を養いながら、確実に作品を仕上げていくことが大事なのです。

 途中で筆が止まり、作品を最後まで書けない人ほど、プロットがおろそかになっている可能性があります。頭の中だけで考えているか、あるいは作成したプロットが不十分なために、自分自身で納得できていないと思われます。

 長編小説にもなると、原稿用紙200枚以上、10万文字以上を書かなければなりません。時間も労力もかかります。それにもかかわらず、自分が自分の作品に納得できていないまま書いていれば、筆が止まるのも当然でしょう。

 この場合の納得とはつまり「腹落ち」や「確信」のことですが、「この作品は絶対におもしろい!」と自ら確信できるまで、プロットを練ることが大事です。というより、そうしなければ、途中で書けなくなっても仕方ありません。

 また、執筆力や推敲力については、あえて言及するまでもないでしょう。文章を書くスキルが身についていない人は、小説をかたちにすることができませんし、また書き上げたものをきちんと推敲できないと、作品の完成度は高まりません。

 ただ幸いなことに、執筆力も推敲力も、たくさん書いてたくさん推敲すればするほど、スキルの向上が期待できます。徐々に勘所がわかってきて、工夫次第では、時間短縮・省力化も実現できるかと思います。

 一方で、ひらめきやアイデアが問われるプロット力については、日々の練習で一定水準まで高められる反面、才能や運に左右される部分も大きいでしょう。ただし、「多作」が才能や運をカバーしてくれる側面もあるはずです。

 さて、3つ目の読書力については、小説が好きな人であれば、問題なく習慣化できているかと思います。本は、読めば読むほど(その人のなかで)読むスピードが早くなります。推測をはじめとする、脳の機能が洗練されていくためです。

 一方で、読者として小説を楽しむだけでは、小説家に必要な読書力が養われているとは言えません。大切なのは「分析力」です。つまり、優れた小説のプロットやストーリー展開、文体などを分析し、「なぜ優れている(売れている)」のかを知ることが大事です。

 そのような分析的読書習慣が、自らの創作にも反映され、先人がした過ちを未然に避けたり、あるいは先人が積み重ねてきた課題に立ち向かったりすることを可能とします。「読者としての読書」からの脱却を目指しましょう。

■毎日やりたい小説修行5選

 「プロット作成力」「執筆力や推敲力」「読書力(分析力)」という、小説家に不可欠な3つのスキルをふまえたうえで、具体的に、毎日実施したい5つの小説修行について紹介しましょう。これらを毎日、時間を決めて取り組みます。

1.アイデアを練る
2.プロットを作る
3.執筆する
4.推敲する
5.読書する

1.アイデアを練る

 アイデアとは、プロットの土台となる着想のことです。着想を増やし、それらが頭の中に生じるのをそのままにせず、メモをとることが大事です。そのように、着想をメモにする(見える化)習慣が、アイデア力を養います。

 アイデアは、どんなものでも構いません。わかりやすいのは「もし〜だったら」という問いですが、それだけでなく、夢で見たシーンや人から聞いた話、ニュースなど、あらゆるところにアイデアの種があります。

 どうしてもアイデアが浮かばないという人は、『アイデア大全』などを活用し、強制的にアイデアを生み出す訓練をしましょう。トイレやお風呂など、リラックスしているときにアイデアが浮かぶこともあるため、常にメモの準備をしておきましょう。

2.プロットを作る

 ここで言うプロットには、「テーマ」「ストーリー」「舞台」「キャラクター」「あらすじ」などを含みます。つまり、「これだけあれば小説が書ける」という要素をすべて網羅し、ひたすら作ってみるのです。

 もっとも、作成したすべてのプロットが実際の小説になるわけではありません。それでも、訓練としてたくさんのプロットを作る練習をすれば、そこから自分が書きたい作品の方向性や小説の構造、エッセンスなどがつかめるようになります。

 このとき、浮かんだアイデアを活かすようにプロットをつくることが大切です。なぜならプロットは、何もないところから生じるのではなく、優れたアイデアがヒントになって形成されるためです。アイデアをプロットにする練習を積み重ねましょう。

3.執筆する

 アイデアやプロットの練習をしつつ、同時に、執筆の訓練も行っていきます。すでに「これだ!」と思うアイデアやプロットができている場合は、1日あたりの執筆時間や文字数を決めて、粛々と文章を書いていきましょう。

 このとき、書くスピードを追求することも大切ですが、他方で、文法や文体、語彙についても意識することが大事です。辞書や辞典をかたわらにおき、格闘しながら文章を書いていくと、それだけで勉強になります。

 また、執筆に使える時間や文字数については個人差があるため、計測し、自分なりのペースを見極めるといいでしょう。とくに長編を書く場合は、その日の体調や気分に左右されないよう、一定のペースで書き続けることが大切です。

4.推敲する

 書き上がった作品については、一定の間を置き、手を入れていきます。全体を通して見るだけでなく、シーンや場面、章ごと、さらには段落や文章など、読み方を変えて段階的にチェックすると、無駄のない推敲ができます。

 また、パソコンやスマートフォンで小説を書いている人も、推敲の際はプリントアウトして手を入れるのがオススメです。紙に印刷することで、「透過光」ではなく「反射光」でチェックできるため、細かい点に気づきやすくなるためです。

 さらに、「目の負担を軽減する」「ペンを持って手を動かす」などの観点からも、プリントアウトしたうえで推敲する利点があると思います。執筆とは異なる作業なのだと理解しながら、じっくりと推敲力を養っていきましょう。

5.読書する(分析する)

 上記4つの訓練はアウトプットに関連することですが、「読書する(分析する)」はインプットの訓練となります。そのため、本を読むことだけでなく、あらゆる情報収集が読書であると認識してください。

 とくに小説を読む際には、「書き手の立場で読む」ことを意識します。具体的には、「どんなアイデアで」「どんなプロットで」「どのように執筆し」「どう推敲したのか」などを考え、分析しながら読んでいきます。

 また、「自分だったらどう書くか?」と考えることも大事です。同じアイデアや素材でも、自分なりに料理すると内容や方向性が変わるはずです。そこから、新たな着想を得られることもあります。そのような習慣もまた訓練となります。

 これら5つの訓練以外にも、小説投稿サイトやブログ、ソーシャルメディア等を活用している人は、「毎日投稿する」ことも意識してみてください。連載小説家のように、推敲を終えた作品を、毎日、投稿してみるのです。

 毎日投稿することで、作品を仕上げるまでの過程が習慣化され、さらには読者からの反応も得られます。結果的に、スキルが高まるだけでなく、書き続けるモチベーションにもつながるでしょう。

 最終的には、これら一連の動作を常態化させるのが目標となります。つまり、何も考えなくても「アイデアを練る」「プロットを作る」「執筆する」「推敲する」「読書する」ことができれば、スキルの醸成から創作まで、自動化できます。

 小説家になるだけでなく、小説家として活動し続けるというのは、つまりそういうことです。まずは、これらの行動を日々の行動に落とし込み、続けられる体制を整えましょう。続ければ続けるほど、成長を実感できるはずです。

■まとめ

・小説家に必要な3つのスキル
 ・プロット作成力
 ・執筆力や推敲力
 ・読書力(分析力)
・3つのスキルを養うための5つの習慣
 1.アイデアを練る
 2.プロットを作る
 3.執筆する
 4.推敲する
 5.読書する

 小説家に欠かせない3つのスキルを養うために、5つの行動を習慣化し、作家として成長していきましょう!

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