自分の意見をあいてに伝えるとき。必要となるのは「結論」です。結論がなければ、話はどこにも着地しませんし、文章は到達点をなくしてしまいます。ただの言葉の羅列です。
だからこそ、最終的に言いたいことのまとめ、つまり結論を用意し、その結論をいかに納得してもらうかがコミュニケーションの基本と言えそうです。そのためにあるのが「論証」です。
論証は英語でargument。弁論や口論とも訳されます。今回は、論証(アーギュメント)について、その意義と役割について考えていきましょう。
論証(アーギュメント)とは
そもそも論証とは、伝えたい結論に正当性を与えるために、根拠や証拠を提示することです。つまり、自分の意見をあいてに理解してもらうために、裏付けを行うのが論証です。
もし、根拠や証拠を提示することなく、一方的に持論を展開したらどうなるでしょうか。子どもならともかく、まともな大人であれば、会話になりません。文章でも同様です。
しかし、この論証を軽視してしまうばかりに、説得力のない説明を続けてしまうひとは少なくありません。とくに日本人は、論理について学ぶシーンが少ないので、ムリもないのです。
なぜ論証が必要なのか
だからこそ、トークや文章でのコミュニケーションにおいては、論証という過程を意識して、根拠や証拠を提示するようにしなければなりません。初対面のあいてであればなおさらです。
大学生、あるいは社会人ともなると、多くのコミュニケーションは初対面のあいてとすることになります。そこで、論理的なやりとりができなければ、良好な関係は築けません。
もちろん、論証だけがコミュニケーションのすべてではありませんが、お互いを理解するための基礎となっているのは間違いないでしょう。理性のある人間ならでは、です。
「わかりやすさ」と「正当性」
論証の意義について、さらに掘り下げて考えてみましょう。自分の言い分を理解してもらうために必要なのは、理路整然とした根拠だけではありません。あと2つ必要です。
1つ目は「わかりやすさ」です。いくら根拠を提示しても、その根拠があいてにとって理解できないものでは、意味がありません。わかりやすさを追い求めることも、論証のキモです。
2つ目は「正当性」です。もしあいてが、社会的、あるいは法的にただしくない根拠を提示していた場合、詐欺を疑う必要があります。論証は正当性をはかるための基準ともなるのです。
まとめ
おおむね高校生までは、問題と答えがセットになっていました。ですので、ただしい手順によって、あるいは暗記によって、唯一の正解を導くことができたのです。
しかし、大学生や社会人の場合、かならずしも唯一の正解がある問題ばかりではありません。むしろ、答えのない問いに対し、自分なりの主張を求められることも多いでしょう。
そうしたとき、論証は役に立ちます。答えのない問いに対し、根拠を提示することで、説得力のある主張ができること。それが、考えの基礎となる、論証というものなのです。