コンテンツマーケティングとはなにか。
その疑問にストレートに答えてくれるのが『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる』 です。刺激的なタイトルではありますが、いまだに商品を“ムリヤリ売ろうとしている人”(とくに経営者やマーケティング担当者)にとっては、いい刺激になるのではないでしょうか。
「あれ、なんか最近、商品が売れないな」と感じながら、ジリ貧に追い込まれている(あるいは追い込まれそうになっている)人は必読です。
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コンテンツマーケティングとは
本書によると、コンテンツマーケティングの定義は次のとおりです。
コンテンツマーケティングとは、見込み客をウェブサイトに引き付け、資料請求や商品やサービスの申込みを行ってもらうマーケティング手法だ。
つまり、端的に言えば、「自社媒体を使ってビジネスを加速するための方法」ということ。既存の営業や広告の効果が低下しているので、「そろそろマーケティングをコンテンツで考えませんか?」と提案してるのです。
具体的なコンテンツの例は、ブログ、ポッドキャスト、動画、オンラインセミナー、PDF形式の小冊子、ホワイトペーパーなど。あくまでも顧客が読みたくなるコンテンツです。
コンテンツマーケティングを理解するための3つのポイント
本書の構成そのままですが、コンテンツマーケティングを理解するために必要なのは「Why」「事例」「How」の3点です。
Why(Chapter.1)
なぜ、コンテンツマーケティングが必要なのか。すでに米国では、コンテンツマーケティングの必要性は議論し尽くされているそうですが、「定義はわかったけど、だからなんで必要なのよ?」と思っている人は、Chapter.1から読んでみてください。
事例(Chapter.2)
必要性の次は、すでにコンテンツマーケティングを実践し、成功を収めている企業の事例が紹介されています。「ああ、だからあの企業は成功していたのか」などの気づきがあるかもしれません。実践の一歩は「うちもやってみよう!」という気持ちからです。
How(Chapter.3)
さて、気持ちが高まったら行動あるのみ。Chapter.3では、実践方法が詳しく掲載されています。巻末には「チェックシート」まで付加されていて、至れり尽くせり。スピード感が武器のベンチャー企業なら、すぐにでも実践してしまうのではないでしょうか。
まとめ
本書の最後は、マーケティング関連の著述家で有名なセス・ゴーディン氏の言葉で締めくくられています。
Content marketing is the only marketing left.
コンテンツマーケティングこそが、我々に残された最後のマーケティングだ。
あまり時間はなさそうです。
感想
おそらく、本書を読んだ人の行動は次の3 つに分類されると思います。
- さっそく実践してみる
- とりあえず検討してみる
- 何もしない
3は論外だとして(なんで読んだの? って話ですよ)、1と2の人はさらに次のように分類されると思われます。
コンテンツマーケティングって、書籍にもなるぐらいですから、相当に奥深いものだと思います。マーケティングと同様に、掘り下げればどこまでも深くなる。自社で完璧に実践し、成功できるケースはごく少数でしょう。だから、著者の宗像氏はイノーバを運営しているのだと思います。
もっともムダのない行動としては、本書を読んで、コンテンツマーケティングについて理解し、そのうえで専門家を交えて実践していくことではないでしょうか。「広告をやめてコンテンツマーケティングにすれば、顧客も集まるし、経費削減にもなる! やったー」なんて……そりゃあ、ね。
<目次>
Introduction
「コンテンツ」で共感を得る「マーケティング」 ○セールスマンは、なぜ嫌われるのか?
○顧客に商品情報が届かない理由
○「いいね! 」が、スーパー口コミ社会を生み出した
○お金を使わずに売り上げアップ?
Chapter 1
商品を売らない8つの理由
■なぜ、商品を売ってはいけないのか
理由1)広告宣伝費を抑えられる
理由2)オピニオンリーダーになれる
理由3)顧客に嫌われない
理由4)顧客とのコミュニケーションが生まれる
理由5)顧客のロイヤリティを高められる
理由6)ターゲットが絞り込みやすくなる
理由7)情報を自然に拡散できる
理由8)顧客の反応が検証しやすくなる
■だから、コンテンツマーケティング
○コンテンツマーケティングとは何か
○今、なぜコンテンツマーケティングなのか―従来手法はもう壊れている
○コンテンツマーケティングを理解できない会社は生き残れない
○コンテンツマーケティングで成功するには?
Chapter 2
事例編―商品を売らずに、本当に成功するのか
■国内事例
○オウンドメディアで業界の常識を覆す。売れないはずのメガネ通販を拡大(オーマイグラス)
○営業担当者ゼロの無名ベンチャーが新規顧客を開拓できる理由(デジタルスタジオ)
○高額の遺伝子解析装置をいかに売るか。オンラインセミナーでブランド力を向上(イルミナ日本法人)
○潜在ニーズの発掘でブログを活用。ソニー子会社が挑む専門情報の発信(ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ)
○70万人が愛読するビジネスメディア。NECが面白い記事を作り続ける秘訣(NEC)
○広告では売れぬ「こだわりの育児用品」。社長自らの記事でオピニオンリーダーに(クールミント)
■海外事例
○田舎のゴルフ教室が満員御礼に! Eブックや動画でレッスンを仮想体験(レイノルズゴルフアカデミー)
○自社商品の問題点や競合商品を紹介。顧客志向の情報でプール販売を伸ばす(リバープール&スパ)
○コンテンツを通じた啓蒙活動で成長したインバウンドマーケティングの提唱企業(ハブスポット)
○ブログによる人間味ある情報提供で顧客に媚びないビジネスに転換(ベースキャンプ*旧37シグナルズ)
○専門家の応援団による良質なコラムでソーシャル活用を体現した専門サイト(ソーシャルメディア・エグザミナー)
○信用第一の金融分野で質の高いブログ。無名のベンチャーが信用を獲得した理由(ミント)
○外部リソースでビジネスブログを拡充。低予算で成果上げたITグローバル企業(SAP)
Chapter 3
実践編 ―「商品を売るな」をどう実践するか
■コンテンツマーケティングを始めるためには
■コンテンツマーケティングを成功させる五つのステップ
○ゴールの設定
○ペルソナ設計
○コンテンツ設計
○エディトリアルカレンダーの作成と運用
○KPIの測定
■キーワード別にみたコンテンツマーケティング実践法
○ブログ
○ソーシャルメディア
○ホワイトペーパー/Eブック
○動画
○インフォグラフィックス
○調査レポート/プレスリリース
[番外編] コンテンツマーケティング成功を目指すための隠れたステップ“ゼロ”
<著者>
宗像 淳(むなかた・すなお)
株式会社イノーバ代表取締役社長。福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。米ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻、GMATスコアは770点/800点で世界のTop1%)。1998年、富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理などの広汎な業務を経験。MBA留学後、インターネットビジネスを手掛けたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)でソーシャルメディアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。2011年6月に株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。
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コメント
コンテンツマーケティングという概念を初めて知りました。コンテンツ不足に陥る前に考えておかなければいけないと考えさせられました。