「読者を意識すること」の大切さについて解説しています。
読者とは
読者とは、文字どおり「文章の読み手」です。書籍、新聞、雑誌、WEBサイトなど、すべての媒体に読者がいます。ごく個人的な媒体である日記などの場合は、自分自身が読者となります。「読者は誰なのか」を意識することによって、どのような文章を書くべきかがわかるようになるのです。
「読者を意識して書く」の具体例
☆テーマ:企業とは
☆想定読者:中学生~
A(改善前)
保有するリソースをフレキシブルに発揮して、社会の多様なニーズに応えるのが企業の役割である。そこで働く人々は、相互にコンセンサスを得ながら事業を推進していくのだ。刻々と変わる情勢の中で、各人には、是々非々の対応が求められる。
→新聞に掲載される文章なら、これでも問題ありません。しかし、中学生に対して「企業とは」を説明する文章としては、内容があまりに難しすぎます。
B(改善後)
社員、商品、お金など、会社がもっているさまざまな資源を活用して、社会の役に立つこと。それが企業の役割だ。従業員は、お互いに意見をすり合わせながら仕事をしている。社会はつねに変化しているので、社員にはそのつど、適切な対応が求められる。
→難しい言葉を簡単なものに変え、理解できるであろう言い回しを積極的に使用しています。ボキャブラリーのレベルと、視点を下げることにより、読者にとってフレンドリーな内容になっています。
読者があってこその文章
読者がいなければ、文章は存在する意味がありません。そもそも文章はコミュニケーションの手段です。想定する読者がいて、その読者に対して何かを伝えるためのものとしてはじめて、文章の存在意義は生まれるのです。
そう考えると、いかに独りよがりな文章に価値がないかわかります。もし、目の前に中学生がいて、「企業ってなに?」と質問されたとき、Aのような回答をする人はほとんどいないはずです。文章の場合にも、同じように考えることが大切です。
読者への意識は企画の段階から
読者を意識するのは、文章を書きはじめたときではなく、できれば企画の段階から考えておきたいもの。年令、性別、居住地、職業、年収、家族構成、趣味、ペットなど、より具体的にイメージすることによって、ユーザーフレンドリーな文章になります。
伝えた気になっているだけで、なぜかあまり伝わっていないと感じる方は、ぜひ、読者を具体的にイメージすることからはじめてください。そのうえで、どのような言葉を使い、どのような言い回しにするべきかを考えることが、“伝わる文章”の第一歩となります。