インスピレーションに頼らない!機械的に物語小説を書く方法

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 「小説を書いてみたい」。そのように考え、意気揚々と白紙の原稿用紙に向かい、実際に小説を書きはじめる人も多いかと思います。ただ、ほとんどの人が、最後まで書き上げることができません。いずれどこかの段階で、断念してしまいます。

 では、なぜ途中で断念してしまうのでしょうか。「忍耐力がないから?」「途中で飽きてしまうから?」。もちろん、そのような理由もありますが、最も大きな要因は「最後まで書き上げるための訓練ができていないから」に尽きます。

 長編小説を書く場合はもちろん、短編小説を書く場合でも、それなりの量の文章を書かなければなりません。長編小説では1,000枚(40万文字)を超えるものもありますし、短編小説でも100枚(4万文字)前後はひとつの目安になります。

 そう考えたとき、普段から文章を書いていない人であれば、途中で断念してしまうのも無理はないのではないでしょうか。あたかも、運動不足の人が急にランニングをはじめたときのように、ゴールが見えず、ペースもわからず、途中で息切れしてしまうようなものです。

 やはり小説というのは、マラソンのように考えるべきでしょう。自分のペースを知り、一定のペースを守りながら、無理をすることなく書いていく。ひとつひとつの作品をきちんと完成させ、継続して書いていくことによって、小説の質も高まっていく。

 何よりも大切なのは継続です。最初からうまく書ける人はいません(小説家がつくウソに騙されてはいけません)。日々、書きながら、少しずつうまくなっていくものです。思えば、あらゆる活動が、そのような継続によって成り立っているのではないでしょうか。

 「道端を歩いているときふと思いついた」「青天の霹靂のようにアイデアがひらめいた」。そのような、いっときのインスピレーションから作品をつくりあげたというエピソードは、なるほど華々しく聞こえます。しかし、それは本当なのでしょうか。

 少なくとも、一部の天才のように、いつまでもひらめきを待っていては先に進めません。インスピレーション(降りてくるもの)に頼ることなく、マラソンのように、一歩一歩、自分のペースで進んでいくこと。目の前の原稿に全身全霊を傾けること。

 そのような活動から、より良いものを生み出していく。ある日とつぜん、天啓のようなものが降ってくるのを待っていても仕方ありません。とにかく書く。くだらなくても書く。そこに全力を投じることによってはじめて、可能性が見えてきます。

■小説家として最も重要な資質とは

 そうした前提があることをふまえると、小説家として最も重要な資質がどこにあるのかわかります。それはすなわち「続けていく力」、つまり「継続力」です。どんな作家も、書くという行為を継続していなければ、作品を生み出すことはできません。

 もちろん、作家によっては多作の人もいれば寡作の人もいるでしょう。生涯に、数えるほどの作品しか残さなかった偉大な作家もいます。ただ、発表した作品が少なかったといって、その人は本当に「大して書いていなかった」と言えるのでしょうか。

 作家の死後、作品が見つかることは往々にしてあります。また、作家の書簡などを見るにつけ、あるいは周囲の人の評判を聞くにつれ、いかに苦悩しながら、それでも書き続けていたかがわかります。そこには、書くという行為に対する類まれな努力があります。

 その努力こそ、書くことを続けていく行為にほかなりません。発表した作品の数にとらわれることなく、優れた作家たちはみな、書くという行為を続けていった。続けていくことによって、やがて、人々を魅了する作品を作り上げることができたのです。

 その点において、小説家として最も優れた資質のひとつは、間違いない「続けていく力」だと断言できます。続けていくことができなければ、いくら才能があっても、それを作品というかたちに結実させることはできません。

 ただ、早起きをするすべての人が成功者になれるわけではないように、続けていく力を有するすべての人が小説家として大成できるわけではありません。必要十分条件ではありませんが、少なくとも、作家として生きていくために不可欠な要因であるのです。

 そして、これが最も重要なことなのですが、続けていく力は先天的に与えられるものではなく、後天的に養うことが可能です。つまり、本人の意思ひとつで、作家として不可欠な要素を身につけることができます。そこに、言い訳を許さない事実があるのです。

■どうすれば続けていく力を養えるのか?

 続けていく力は、続けていくことによって証明されます。自分がどのくらい作家としての続けていく力を身につけられたのかは、実際に文章を書き続けたことによってのみ評価されるのです。その点においてシビアです。

 一方で、わかりやすくもあります。つまり、日々、書かれた文章が蓄積されていなければ、その人は作家としての続けていく力が養われておらず、文章が積み重なっているのであれば、続けていく力が伸びていると評価できます。

 ただし、ここで一つ注意点があります。書かれた文章の量は、続けていく力のひとつの指標にはなるのですが、文章を書くスピードには個人差があります。それは、続けていく力とは別に、先天的な要素、つまり才能に左右されることも多いです。

 たとえば、『すべてがFになる』で知られる作家の森博嗣さんは、小説を、1時間あたり6,000文字書くと述べています。事実かどうかはわかりませんが、それほどのスピードでものを書く人が世の中にはいる、と認識しておくことは重要です。

 このような速筆の人に比べると、「なんて自分は遅筆なんだ!」と思ってしまうかもしれません。そして、いくら鍛えても、森さんのようなレベルで文章を書くことはできないかもしれません。残念ながらそこには、厳然たる才能の差があります。

 そのため、必ずしも、書かれた文章の量を他人と比べる必要はありません。自分がどのくらいの時間でどのくらいの文章を書けるのか調べ、それを基準とし、「自分のペースで文章を積み重ねられているか」を計測するようにしてください。

 他人と比べるのではなく、自分の執筆ペースで計測していれば、「文章を書く」ことを続けられているかどうかがわかります。そのようにして、続けていく力が養われているかどうかを見ていくようにしましょう。

 ただし、実際に書き続けていると、どこかの段階でスランプに陥ってしまうかもしれません。「スランプとは単なる言い訳である」と言う人もいますが、書けないときに自分を責めすぎると、書くことが嫌いになってしまいます。

 そこで、そのようなときには「原稿に向かっている時間」で続けていく力を計測してもいいでしょう。たとえ文章を書いていなくても、とにかく原稿に向かってペンをもつ(パソコンに向かってキーボードを前にする)時間を評価するのです。

 もちろん、他のことをしてはいけません。書けないのなら、ただ、座っていること。その時間もまた、作家としての続けていく力を体現しているものです。書けないのなら座っていること。他には何もしない。それも創作の一部なのです。

 実際にやってみるとわかりますが、何もしないで原稿用紙(パソコン)に向かい、作品のことを考えてただ座っているというのは、かなりしんどいです。もちろん、スマホをいじったりネットサーフィンしたりしてはいけません。

 ただ、小説に限らず文章を書くという行為は、そのような忍耐が不可欠です。結局のところ、ペンを持って文字を書くか、キーボードを打って入力するか、あるいは口頭筆記をするかぐらいしか、方法はありません。いずれにしても、白紙に向かう必要があります。

 それが続けていく力の正体であり、はたから見ればまったく絵にならない地味なものでしょう。そしてどこまでも孤独です。地味で孤独な作業をいかに真摯に、真面目に、実直に、全身全霊を傾けてできるかどうか。それが問われています。

■機械的に物語小説を書くために必要な3つのこと

 執筆を続けていくには、「書きたい・書きたくない」という感情から逸脱する必要があります。「書けない」と思ったら、文章は書けません。そこで、「書けない」と思うことなく「書いている」状態をつくるのが近道になります。

 そのために必要なのは「機械的に書くこと」です。機械的に書くというと、あたかもいい加減に書いていると思われるかもしれませんが、そうではありません。あくまでも真剣に、しかし粛々と、一定のペースで書いていくのです。

 このときに大事なのが、「書いているものの評価をしない」ということ。書いているものが優れているか、それともくだらないかを考えていると、すぐに筆が止まってしまいます。そのため書いているときは、ただ書く。そこに徹するのが大事です。

 書いたものに対する評価は、書き上げてしばらく間を置き、推敲する際にすればいい。そのとき、どうしてもダメならお蔵入りになるだけですし、推敲してマシなものになるのなら、徹底的に推敲すればいいでしょう。

 いずれにしても、書いているときにはその文章を評価することなく、コツコツと文章を積み上げていくことが大切です。そのようにして書いている状態を習慣化できれば、機械的に物語小説を書くことができるようになります。

 そのような前提をふまえたうえで、書き続けるためのポイントは次の3つです。

1.プロットを決めておく
2.キャラクターを決めておく
3.構成を決めておく

1.プロットを決めておく

 何ら構想を練ることなく、原稿用紙に向かってスラスラと文章が書ける「パンツァータイプ」の人は、あからじめプロットを考えておかなくても問題ないでしょう。ただ、そうでないほとんどの人には、プロットが必要かと思います。

 とくに、最初から最後まで書き上げるということにおいては、プロットが欠かせません。もちろん、すべてを詳細に記したプロットではなく、全体像をいつでもイメージできるレベルの流れで構いません。それがあるだけで、執筆の方向性が明確になります。

 プロットを作るべきかそうでないかは、実際に、何作か書き上げてから考えればいいでしょう。まずは、プロットを作って書き上げてみる。そのうえで、判断するようにしてください。最初から用意しないのは、自分で挫折するきっかけを作っているのと同じです。

2.キャラクターを決めておく

 プロットと同様に、キャラクターについてもあらかじめ考えておきましょう。自分自身を主人公と同化させて書くこともあるかと思いますが、それではエッセイのようになってしまい、読者が感情移入できる小説にはなかなかなりません。

 そのため最初のうちは、キャラクター(とくに主人公)をきちんと作り込んでおくことが大事です。主人公を決めて、その主人公がどのように動くのかを考えていけば、プロットとキャラクターの関係性も見えてくるでしょう。

 もちろん、プロットとキャラクターを作る順番は、どちらでも構いません。キャラクターを作ることによってプロットが固まる場合もあれば、プロットを作ってから最適なキャラクターが生まれることもあります。まずは、やりやすい方を選択しましょう。

3.構成を決めておく

 3つ目は構成です。プロットが物語の流れだとすれば、構成は「起承転結」や「序破急」のことです。つまり、自分が考えた物語の流れを、ストーリーの王道である起承転結や序破急にあてはめたものが構成となります。

 そのため構成は、プロットおよびキャラクターが確定してから作るようにしてください。最初から起承転結を考えてしまうと、自由な発想でプロットを描けません。まずは、自由に世界を作り、そのうえで王道の構成に流し込んでいきましょう。

 たとえば、「ひとりの少年が旅立ち、仲間とともに困難を乗り越え、敵を倒し、姫の愛を得る」という大まかなプロットを作ったら、そこから「起:旅立ち、承:仲間の獲得、転:敵との遭遇、結:愛の獲得」というように、構成を決めていきます。

 このようにプロット、キャラクター、構成というのは、あくまでも小説を書き続けるための土台に過ぎません。言うなれば、途中で筆を止めてしまわないために作る、ヒント集のようなものです。そのため、必ずしもそこに縛られる必要はありません。

 むしろ、自由に書いていくためのツールとして活用してください。より書ける内容が見つかったら、途中で微調整してもいいですし、変更を加えてもいいでしょう。ただし、必ず書き上げること。書き上げる習慣を身につけることが、何よりも大切です。

■まとめ

・小説の執筆は「継続」がすべて
・最も大事なのは書き続ける力
・書き続けるために「量」や「時間」で評価する
・「プロット」「キャラクター」「構成」を決めておく
・一定のペースで、ただ粛々と、書いていくこと

 小説を書くというのは、継続的な執筆が不可欠。自分のペースでコツコツと書いていく習慣を身につけましょう!

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